マランツは、CINEMAシリーズのAVアンプ最上位機として、“マランツが考える最高峰の音”を追求した11.4ch 一体型AVアンプ「CINEMA 30」を3月15日に発売する。価格は77万円。カラーはブラック。

  • マランツ「CINEMA 30」

CINEMA 30は、2022年にラインナップを一新したマランツのAVアンプ「CINEMA」シリーズにおいて、セパレート型のAVプリアンプ「AV 10」、AVパワーアンプ「AMP 10」に次ぐ一体型のフラッグシップに位置づけられているモデル。AV 10およびAMP 10の開発技術やチューニングのノウハウが最大限活用されており、「一体型でマランツサウンドの頂点を実現した」としている。

  • マランツCINEMAシリーズのラインナップ

チューニングを担当したマランツサウンドマイスターの尾形好宣氏は、「AVアンプではあるがAVアンプ用の音作りはしておらず、Hi-Fiオーディオをチューニングするときのアプローチと同じように、映像ではなく音楽をメインにして音質を追求した」として、ジャンルにとらわれずマランツが考える最高峰の音を追求したことをアピールした。

  • マランツサウンドマイスターの尾形好宣氏

デザイン面でも、ポートホールのような伝統的なデザインエレメントを継承しつつ、現代的な解釈で再構築された新世代のマランツデザインを採用。インテリアに調和するエレガントなデザインとなっている。

  • インテリアに調和する新世代のマランツデザイン

最新の3Dオーディオ規格を網羅

Dolby AtmosやDTS:X Pro、IMAX Enhanced、AURO-3D、MPEG-H(360 Reality Audio)といった最新の3Dオーディオ規格に対応。新4K/8k衛星放送で使用されるMPEG-4 AAC(最大5.1ch)にも対応する。本体のみで11.4chのサラウンド再生が行え、パワーアンプを追加すれば最大13.4chのプロセッシングも可能。使用しないパワーアンプをチャンネルごとにオン/オフ設定でき、高品位なプリアンプとして使用できる「プリアンプモード」も搭載する。

HDMI入力はすべて8K/60pや4K/120pの映像信号に対応しており、「HDR 10+」や「HDCP 2.3」などの最新の映像コンテンツを楽しむための新規格もサポートする。

  • 本体背面

高音質パーツをぜいたくに使用したアンプ&電源回路

Hi-Fiオーディオに匹敵するチャンネセパレーションや空間表現力を実現するため、11chのパワーアンプすべてを1chごとに独立させたフルディスクリート・パワーアンプを搭載。

パワートランジスタには、サプライヤーと4年の共同開発を経て完成したカスタムトランジスタを新たに採用するほか、電源コンデンサにはCINEMA 30専用に開発された大容量カスタムコンデンサ(22,000μF×2)、電源トランスには大型のトロイダルトランスを採用するなど、プレミアムグレードならではの高音質パーツを多数採用している。

  • 新設計の11ch独立基板型ディスクリートパワーアンプ

  • 電源トランスに大型のトロイダルトランスを採用

さらに、アルミ材を使ったヒートシンクとパワートランジスタのあいだに1mm厚の銅版を追加し、放熱効率を高め大音量時でも安定性の高いスピーカー駆動を実現している。実用最大出力は250W(6Ω/1kHz/THD 10%/1ch駆動)。

プリアンプには、13.4chすべてにマランツ独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA2」を用いた電流帰還型回路を搭載。このHDMA-SA2はAMP 10で新たに採用された「小型コンプリメンタリー低ノイズトランジスタ」と、サウンドマスターがリスニングテストを繰り返して厳選した「高音質カスタム電解コンデンサ」を採用した改良版となっている。

  • HDAM-SA2を搭載した13.4ch電流帰還型プリアンプ

アナログオーディオ回路には、入力セレクター、ボリューム、出力セレクターをそれぞれの機能に特化したカスタムデバイスを採用。これにより不要な回路の引き回しを排除し、音質最優先のレイアウトおよび信号ラインの最短化を実現した。

フラッグシップの筐体・回路設計を継承

DAC変換回路は、HDMIなどのデジタル回路やアナログオーディオ回路から独立した専用基板にレイアウトすることで、回路間の干渉を最小化し、信号経路の最適化を実現。DACチップはAV 10と同様、音質面で有利な電流出力型を採用。DAC回路に供給される電源の品質にもこだわり、電源トランスの巻き線から完全に独立したDAC回路専用の電源回路を採用している。

  • DAC変換回路は独立した専用基板にレイアウトし、干渉を最小化

このほか、AV 10やAMP 10の開発で培われたキャビネット設計を継承し、高剛性な銅メッキシャーシや新設計の銅メッキビスを使用するなど、ハイエンドなHi-Fi-オーディオ機と同等の徹底的なノイズ・振動対策が施されている。

  • 銅メッキシャーシを取り入れた新プレミアムキャビネット

無線LAN機能を搭載し、独自の「HEOS」テクノロジーによるネットワークオーディオに対応。Amazon Music HDやSpotifyなどの音楽ストリーミングサービスや、インターネットラジオを再生できる。LAN上のミュージックサーバー(NAS/PC/Macなど)やUSBメモリーに保存した5.6MHzまでのDSD音源や、192kHz/24bitまでのPCMファイルも再生可能。他にも、iPhone/iPadやMacからApple Musicなどの音声を手軽にワイヤレス再生できるAirPlay 2や、Bluetooth機能もサポートする。

本体の操作や設定は、iOS/Androidアプリ「Marantz AVR Remote」からコントロール可能。。消費電力は最大780W。アンテナを寝かせた状態の本体サイズは442×457×189mm(幅×奥行き×高さ)、重さは19.4㎏。