Amazonは、パーソナルAIのAlexa(アレクサ)を搭載したスマートホーム製品などをまとめて操作できる、スマートホームコントロールパネル「Echo Hub」を2月22日に販売し、同日から出荷開始する。価格は25,980円。カラーはグレーシャーホワイトのみ。

  • Echo Hub

    Echo Hub

タッチ操作対応の8型ディスプレイを備え、ホーム画面にカスタマイズ可能なスマートホームダッシュボードを表示。スマートカメラや照明、スマートロック、スマートプラグ、エアコン、スピーカーといった、自宅にある対応するスマートホーム製品(別売)を簡単に一括管理して操作できる。音声でAlexaを呼び出してのハンズフリー操作にも対応している。

  • Echo Hub

    Echo Hubのパッケージ

  • Echo Hub

    本体を手に持ったところ

  • Echo Hub

    Echo Hub(上)と、Fire HD 8 タブレット(下、2020年モデル)サイズを並べてみると、サイズ感はほぼ同じ

また、照明の明るさやエアコンの調整といった一連の操作を、定型アクションとしてあらかじめ設定しておき、ワンタップで実行することも可能(ホーム画面左のリストから「定型アクション」に切り替える必要がある)。Zigbee、Thread、Bluetooth、Matterの各規格に対応したスマートホームハブを内蔵し、多様なスマートホーム製品をまとめて管理・操作できる。

  • Echo Hub

    筆者宅にEcho Hubを設置して試用しているところ

同梱の壁掛け用マウントを使った壁掛け設置を基本としており、本体サイズは202×15×137mm(幅×奥行き×高さ)、重さは365g。なお海外では、Echo Hubを自立させる専用スタンドがオプションとして用意されているが、日本国内では未発売。

  • Echo Hub

    同梱の壁掛け用マウントを木ネジで留める

  • Echo Hub

    Echo Hubの背面。ケーブルを巻き取って長さを調節できる

Echo Hubは、使われていないときはスタンバイ画面になる。Amazonが提供する「写真コレクション」や、ユーザーがAmazon Photosに保存した写真などを現在時刻と共に表示。ユーザーがEcho Hubに近づくと、赤外線を活用した近接センサーで接近を検知し、ホーム画面に戻る。ステレオスピーカーを上部に装備。カメラは内蔵していない。

  • Echo Hub

    スタンバイ画面の一例

そのほか、音楽やポッドキャスト、オーディオブックといった音声コンテンツを再生したり、天気予報やニュースを確認したりできる。Amazon Prime Videoのコンテンツを再生したり、ブラウザ(Silk)を使ってYouTubeなどの動画を見ることも可能。タイマーやリマインダーの設定、買い物の再注文といった操作にも対応する。マイクのオン/オフなどプライバシーにも配慮している。

  • Echo Hub

    Echo Hubのメインの使い方ではないが、Amazon Prime Videoのコンテンツや、ブラウザ(Silk)を介してYouTube動画などを再生することもできる

  • Echo Hub

    ウィジェットは、現行のAmazonデバイスで使えるAlexaスキルにも対応。ゴミ出し予定を確認できるスキルは、個人的に重宝している

デュアルバンド対応、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LAN機能を装備。対応するPoE(Power-over-Ethernet)アダプターを使い、Ethernet経由でのネット接続も可能だ。Bluetooth Low Energyもサポートする。プロセッサはMediaTek MT8169A。

付属の電源アダプタ(12.5W)とEcho Hub本体を、USB給電ケーブル(長さ1.8m)でつないで設置する。電源端子はUSB Type-Cで、USB Power Delivery(USB PD)に対応。5V/2.4Aと9V/3Aの両方の定格をサポートする電源アクセサリが使える。

Echo Hub本体には再生利用材料を27%使っており、さらに梱包材の97%は適切に管理された森林やリサイクル資源から調達された木質繊維を採用しているとのこと。

  • Echo Hub

    Echo Hubの製品内容

「たくさんAlexaデバイスを使う人」にうってつけの1台

Echo Hubを短時間ながら試用できたので、使い勝手を中心に紹介したい。同製品は2023年9月にグローバルで発表され、Amazon.co.jpでも販売ページを開設してメール通知登録を案内。国内発売を心待ちにしていたという人もいるだろう。

ひと言でいえば、Echo Hubは「毎日自宅で複数のAlexa対応デバイスを使っている人」に適した製品と言える。だが裏を返せば「Echo PopとかFire TV Stickは持っているけれど、スマートホーム製品はほとんど持ってない」という人や、スマートホーム化はしているけれど赤外線リモコン(スマートリモコン)を介して操作することが大半……というユーザーには、Echo Hubの良さや恩恵は受けられないかもしれない。

自宅で活躍しているさまざまなAlexa対応デバイスを、8型タッチパネルでまとめて操作・管理できるところがEcho Hubの最大の特徴。宅内のどの照明がついているか、エアコンの電源状態や室温がどれくらいなのか、といった情報をひと目で見渡せ、室内に置いた見守りカメラでペットや子どもの状態をチェックしたり、さらにはRingドアベルで来客に応対したりすることもできる。

  • Echo Hub

    4台のRingカメラから送られてくる静止画をウイジェットに表示する「スナップショット」機能(有料のRingプロテクトプランへの登録が必要)

  • Echo Hub

    対応するRingカメラなどのライブ映像を最大4つまで同時表示できる

  • Echo Hub

    自宅に設置した「Ring Doorbell 4」(Echo Hubには付属しない)

  • Echo Hub

    Ring Doorbell 4の映像をEcho Hubで表示すると、ドアモニターのように使える

Amazonでは、Alexa対応デバイスを管理するための「Alexaアプリ」を従来から提供しているので、「ここまで挙げてきたことは、スマホがあればぜんぶ事足りるのでは?」と感じる向きもあるだろう。

確かにそれはそうなのだが、筆者の場合、家の中では四六時中スマホを持っているわけではないし、「そういえばさっきダイニングのエアコン消して出てきたっけ……」と不安になったときにいちいちスマホをみるのはわずらわしい。また、複数のAlexa対応デバイスを使いこなしている人であれば分かっていただけると思うが、Alexaアプリの狭い画面で10台以上ものデバイスの状況をひと目で確認するのは、なかなか難しい。

  • Echo Hub

    Alexaアプリの画面(iOS版)

筆者宅はダイニングと仕事部屋が5mほどの廊下でつながっている縦長の間取りなので、Echo Hubの試用機を、洗面所や手洗いにも近い中間地点に設置して使ってみている。こうすることで、たとえばスマホが手元になくても、トイレに立ったついでなど、各部屋のAlexaデバイスの状況をいつでもチェックできるようになった。地味なことだが結構助かる。

  • Echo Hub
  • Echo Hub

    照明を一括操作しているところ。玄関から上がってすぐの位置だと、外出時や帰ってきたときに便利

Echo Hubを有効活用するには、自宅のスマートホーム製品の設定や整理がきちんと行われ、自宅の環境に合わせたグルーピングになっていることが前提だ。これだけでもそれなりのリテラシーというか“スマートデバイスへの慣れ”が求められるので、「Echo Hubは万人向けとはいえない」点が弱点かもしれない。ついでにいえば、壁掛け設置が標準スタイルとなっているのも、賃貸住まいの人にはハードルが高いと感じられそうだ(メーカー推奨の設置方法ではないのであくまで自己責任だが、筆者は今回、突っ張りタイプの木製パーテーションに木ネジで取り付けてみた)。

また、Echo Hubにあったらよかった機能として、海外でiOS用のAlexaアプリ向けに提供されている「Map View」にも触れておきたい。平面の間取りの中に複数のスマートデバイスを表示し、各製品のステータスを確認したり数回のタップでシームレスに制御したりできる、ということなのだが、これがEcho Hubにも提供されていたら意外と便利なのでは……と夢想する。

  • Echo Hub

    Map Viewのイメージ

筆者はEcho Hubのような使用感を、現行の「Echo Show 15」に期待していたのだが、微妙にそのニーズを満たしてもらえなかった(同様の機能はあるが、ユーザーインタフェース的に今ひとつ使いにくかった)ので、Echo Hubはその使いにくさを解消してくれる“待望の逸品”だと感じた。ある意味ニッチな製品だし、価格も25,980円とそれなりに値が張るのだが、確実に需要はあるだろう。スマートホーム制御のために、既存のタブレットを壁に貼り付けてなんとかしよう……と一度でも考えたことがある人には、うってつけの1台といえる。

  • Echo Hub

    Echo Hub(左)と、Echo Show 15(右)を並べたところ