ソフトバンクから2月9日に発売された「あんしんファミリースマホ」は、子どもに持たせる端末としてもうれしい機能が搭載されたAndroidスマートフォン。いったいどんなものなのか、お借りして試してみました。
“ある機能”を除けば拍子抜けするほど普通のスマホ
公式サイトの紹介にある表現を借りれば、「どの世代のスマホデビューにもおすすめ」だという本機種。とはいえ、小学生に人気のキャラクター「すみっコぐらし」とコラボした限定モデルを用意しているところや搭載されている機能を見ても、やはりメインターゲットとしては子どものスマートフォンデビューを想定していると思われます。
子ども用に作られたスマートフォンといえば、ドコモがかつて販売していた「スマートフォン for ジュニア」シリーズやauがかつて販売していた「miraie」など、機能制限や保護者の安心感につながる機能を多く盛り込んだり、見た目もいかにも子どもっぽいデザインにしたものになりがちです。
ところが、そういった「子ども向けスマホ」を想像しながらあんしんファミリースマホを手に取ってビックリ。のちほど紹介する1つの特別な機能を除けば、拍子抜けするほどごく普通のスマートフォンなのです。
製造はZTEが担当しており、スペック的にはMediaTekの「Dimensity 700」に4GBメモリ、128GBストレージと6.7インチフルHD+の有機ELディスプレイを搭載したミドルレンジ相当の内容。5,000万画素のトリプルカメラに4,420mAhの大容量バッテリー、IP67の防塵・防水など十分な機能を備えています。
ソフトウェアの面でも、どこを見ても至って普通のAndroidスマートフォンといった雰囲気で、特にイレギュラーな仕様や制限に戸惑うところはありません。
直営店価格は21,984円ですから、性能・機能的には妥当どころかむしろ安く感じるほど。特殊な立ち位置の機種でありながら、普通のスマートフォンと比べて割高になっていないのは立派です。
実はソフトバンクでは「ジュニアスマホ」という普通のスマートフォンに機能制限をして子どもに安心して持たせやすくするためのオプションサービスも提供していましたが、2023年5月に新規受付を終了しています。そのことや本機種の仕様を見るに、もう子どもにスマホを持たせるうえで必要な制限の仕組みは標準のもので十分整っているという判断なのでしょう。
たとえば、Googleが提供している「ファミリーリンク」という機能を使えば、利用時間の制限や特定のアプリのブロックなど一通りの管理はできますし、Webコンテンツのフィルタリングや現在地の把握にはソフトバンクの「あんしんフィルター」「位置ナビ」が使えます。
端末のデザインもシンプルで普遍的なもので、妙な「子ども向け製品らしさ」のようなものを出していないのが好印象です。実際に使う子どもたちの「大人と同じものを持ちたい」という少し背伸びしたい思いも叶えてくれるでしょうし、子ども同士の人間関係は繊細ですから、「あの子のスマホだけ子ども用だ」といった悪目立ちをしないのも良いと思います。
「タッチでメール」を使えば通学・通塾の状況を把握できる
機能も見た目も普通のスマホ、ソフトウェアにも特別な制限はない……となると、「だったら普通のスマホを持たせても同じなのでは?」と思われるでしょう。そこで本機種を選ぶ最大のメリットとなるのが「タッチでメール」という機能です。
オプション加入(月額550円)と管理者設定をしたうえで、付属の専用ケースにあんしんファミリースマホと交通系ICカードを入れて駅の改札を通過すると、利用駅や通過時刻が保護者に通知されます。通知内容は一部変わりますがバスでの利用にも対応しています。スマートフォンを持たせるような学年になると通塾などで1人で電車に乗る場合も多いでしょうから、位置情報を毎度確認するよりも手軽な見守りツールのひとつとして便利に使えそうです。
ちなみに、最近は半導体不足のあおりでカードタイプのSuicaやPASMOの販売が軒並み中止されていますが、子ども用や定期券は通常通り買えるのでその点は心配ありません。
「タッチでメール」自体は「キッズフォン3」向けにも提供されている機能なので、お子さんの学年や家庭の方針にあわせて、子ども向け携帯でもスマートフォンでも同機能を使える選択肢が広がったのはありがたいところです。
このタッチでメール機能に魅力を感じるかどうか、言い換えれば子どもだけで電車・バスに乗らせる機会が多いかが本機種を選ぶ決め手になるでしょう。もっとも、先述の通り「普通のエントリースマホ」として見てもお買い得感のある内容の機種なので、ソフトバンクでスマホデビューさせるならとりあえずこれを選んでおくというのもアリかもしれませんね。