コストパフォーマンスの良い冷蔵庫や洗濯機を探すと、ほぼ確実に候補となるメーカーがハイアールです。ハイアールは大物家電ブランドとして世界で最大のシェアを誇る超巨大家電メーカー。

そんなハイアールの日本法人、ハイアール ジャパン セールスが4月1日から、日本国内で初めて室内機・室外機のセパレート型エアコン市場に参入します。新製品のブランド名は「huu(フー)」、第1弾として普及価格帯のCSシリーズから投入です。CSシリーズは、室内機・室外機ともに「Wフリーズ洗浄」機能を搭載。高い清潔性能をもちつつも、市場想定価格が7万7000円前後~というコストパフォーマンスの高さが魅力です。

  • 6畳用のJAA-CS224A、8畳用のJAA-CS254A、10畳用のJAA-CS284A、14畳用のJAA-CS404A2の4モデル。室内機の形状は共通で、14畳用のJAA-CS404A2のみ室外機が大きくなります(写真右)

低価格でスリムなエントリー向けエアコン

huuのエントリーモデルとなるCSシリーズはすべてオープン価格。推定市場価格は、6畳用のJAA-CS224Aが77,000円前後、8畳用のJAA-CS254Aが88,000円前後、10畳用のJAA-CS284Aが99,000円前後、14畳用のJAA-CS404A2が121,000円前後と、各モデルとも価格を抑えています。

室内機本体のサイズは全モデル共通。幅798×奥行き248×高さ228mmとコンパクトです。近年、各メーカーが子ども部屋などの窓枠上に設置するために高さを抑えた「スリムタイプエアコン」を発売しており、スリムタイプは高さが24~25cm前後のものが多いのですが、huuのCSシリーズは高さがギリギリ22cm台。スリムタイプのなかでも高さが抑えられています。

  • マイナビニュース・デジタルの林編集長と6畳・8畳・10畳用CSシリーズと比較(14畳用も室内機のみ同サイズ)。人と並ぶとCSシリーズがコンパクトであることがよくわかります

  • 各社のプレミアムエアコンは、省エネ性能を追求するために室内機の奥行きが長くなっていますが、CSシリーズは奥行きも24.8cmとスッキリ。省エネ性能は6畳・8畳・10畳用が87%、14畳用が74%(目標年度2027年度)と、一般的なエントリーモデルのエアコン相当

  • 室外機サイズは、6畳・8畳・10畳モデルが幅675×奥行き275×高さ546mm、14畳モデルのみ幅800×奥行き285×高さ556mm。電源電圧も、14畳以外は単相100V対応、14畳のみ単相200Vタイプです。写真は14畳用の室外機と林編集長とのサイズ比較

エントリー向けながら清潔さと掃除のしやすさにこだわり

「コストパフォーマンス」「コンパクトな本体」というのは、エントリーモデルのエアコンに求められる条件でもあります。加えてhuu CSシリーズは、高度な内部洗浄機能「Wフリーズ洗浄」を搭載したことも大きな特徴です。

フリーズ洗浄とは、金属でできた熱交換器を一度凍らせ、一気に溶かすことで水(結露)で汚れを押し流す洗浄方法。カビなどが発生しないように、洗浄後は熱交換器を56℃に温めて水分をしっかり蒸発させます。現在、同じ仕組みの機能は各社プレミアムエアコンの多くが備えていますが、huu CSシリーズはエントリーモデルながら全製品に搭載した点に注目です。

  • リモコンのECO(内部洗浄)ボタンを長押しすると、フリーズ洗浄がスタートします。リモコンも比較的スリムでコンパクトですね

  • 室内機の本体内部にあるスリット状の金属パーツが熱交換器。ミリ間隔で金属板が連なっているため、普通の方法では掃除が難しい場所でもあります。水が付着しやすく、カビも発生しやすい場所です

「Wフリーズ洗浄」の「W(ダブル)」は、huuが室内機と室外機の両方に「凍らせて洗う」機能を搭載するという意味です。

「室外機が汚れても、家の外なら問題ないのでは?」と感じるかもしれませんが、室外機の熱交換器が汚れるとエアコンの運転効率が下がり、電気代に影響してきます。室外機の洗浄機能は、省エネの観点からもうれしい機能なのです。ちなみに、室外機の熱交換器まで水で洗うエアコンは、各社のプレミアムエアコンでも一部に限られます。

  • 室外機は本体背面と内部側面に熱交換器を配置。普段は目に見えない位置なので、掃除することを思いつかない人も多いのでは?

なお、室内機のプレフィルターを掃除する「自動お掃除機能」は搭載していませんが、プレフィルターの形状と位置がポイント。現在の一般的なエアコンは、室内機の天井部から前面を覆うように、「L」を逆さにしたような形でプレフィルターを配置します。

一方、huu CSシリーズはエアコン天井部にしかフィルターがありません。室内機の前面パネルを開かずにプレフィルターを外せるほか、フィルターサイズも通常の半分ほどです。

  • エアコンのプレフィルターを外す林編集長。前面パネルを開く必要なくワンタッチでフィルターを外せる……はずなのですが、天井近くの見えない位置にあり、外し方にもちょっと慣れが必要。背の低い人はイスや脚立に乗って作業したほうがよいでしょう

  • プレフィルターは室内機の左右に1枚ずつ。フィルターサイズはかなり小さく、シンクでジャバジャバ水洗いするのも簡単そう

欲しい機能をしっかり搭載

huu CSシリーズは複雑な機能は搭載していませんが、夏は天井に向けて冷気を送風する「快適シャワー冷気流」、冬は冷えやすい床面から温める「快適あしもと暖気流」などは採り入れています。

また、室温が暑すぎたり(約31℃以上)、低すぎたり(約15℃以下)する状態が続くと、電源オフでも自動的に運転を開始する「温度みまもり運転」は、小さな子どもや高齢者がいる家庭にはありがたい機能でしょう。「外気温度50℃以上でもしっかり冷房」「外気温度-15度でもしっかり暖房」といった機能も備えています。

  • 発表会の会場で運転中のhuu CSシリーズ。運転モードにあわせた気流制御が可能です

  • 一般的なエントリーモデルは、送風方向をリモコン設定できるのは上下だけ――ということが多いのですが、huu CSシリーズは左右もリモコンで調整可能。上下は8段階、左右は8段階と、細かな送風調整ができるのもうれしいところ

7万円台からのエントリーモデルといいつつも、エアコンとして重視したい「快適さ」「清潔さ」「安全」にかかわる基本機能はしっかり装備。相対的に見ると、機能面はミドルクラス以上の印象です。コストパフォーマンスに優れた高機能なエアコンということで、なかなか魅力的な製品ではないでしょうか。