オーディオ/ビデオをワイヤレスで伝送するAirPlayは、Wi-Fiベースのピア・ツー・ピア接続を基本とします。なにやら難しそうに感じられるかもしれませんが、「Wi-Fiを利用した送る側と受け取る側が1対1の接続」と理解すればいいでしょう。

AirPlayでは、送信側と受信側の役割が明確です。iPhoneで再生したビデオをテレビにAirPlayするときを例にすると、iPhoneが送信側(トランスミッター)でテレビが受信側(レシーバー)、iPhoneで再生した音楽をAirPlayスピーカーに出力するときも同様です。

このように、AirPlayにおけるiPhoneの役割はもっぱらトランスミッターですが、技術的にはレシーバーとしても動作可能です。2台あるiPhoneのうち1台をテレビに接続し、もう1台で再生した映像をワイヤレス送信して大画面に映し出す、といった使い方が考えられます。

ところが、これまでiPhone/iOSにAirPlayレシーバーとしての機能は用意されてきませんでした。音響/映像機器におけるiPhoneの立ち位置を考慮したとき、需要は小さいと判断されたのかもしれません。macOS 12 Monterey以降のMacでは、MacがAirPlayレシーバーとして機能するようになったにもかかわらずです。

そしてついに、iOS 17.2でAirPlayレシーバーがサポートされました。空間コンピュータと呼ばれる「Apple Vision Pro」の映像/音声をミラーリングするための機能、という位置付けですが、AirPlayレシーバーであることに違いはありません。Vision Pro以外のAirPlayトランスミッターには反応しませんが、「設定」→「一般」→「AirPlayとHandoff」の順に画面を開き、「AirPlayレシーバー」スイッチをオンにすれば、AirPlayの待ち受け状態になりますよ。

  • Vision Proがあれば、iPhoneは「AirPlayレシーバー」として動作します