2024年1月19日に発売された『The Last of Us Part II Remastered(ラスアス2リマスター)』は、2020年6月19日に発売されたPlayStation 4(PS4)向けアクションアドベンチャーゲーム『The Last of Us Part II(ラスアス2)』のリマスタータイトルだ。主人公のエリーは、謎の寄生菌によるパンデミックが発生した世界で、感染者や武装組織と戦いながら「復讐」を果たすための旅に出る。
リマスター版では、PlayStation 5(PS5)向けにグラフィックを改善したうえ、「DualSense ワイヤレスコントローラー」に完全対応。ハプティックフィードバックとアダプティブトリガーにより、あらゆる武器の手触りが鮮明に感じられるようになった。
また、何といっても、新モード「NO RETURN」が追加されたことが、リマスター版の目玉。ランダムで生成されるステージを攻略していくローグライクなサバイバルモードで、毎回、最低限のアイテムや武器を持って「ラン」をスタートし、プレイしながら物資調達や武器強化を行う。
今回、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)からコードをいただいたので、この新モード「NO RETURN」を中心にさっそくプレイしてみた。
さまざまなキャラで、多彩なシチュエーションのバトルを楽しめる
もちろん、メインストーリーを未プレイの人は、「NO RETURN」ではなく、まずそちらのクリア優先したほうがいいだろう。なぜならば、「NO RETURN」を遊んでいくと、本編に出てくるさまざまなキャラクターがプレイアブキャラクターとしてアンロックされるのだが、そのときにしっかりと感動を味わうためである。いきなり「NO RETURN」をプレイして、新しいキャラクターを使えるようになっても、それが誰だかわからなければ楽しみも半減だ。
筆者はオリジナル版を2020年にプレイ済みなので、今回は最初から「NO RETURN」にトライしてみた。なお、『ラスアス2』を購入済みであれば、PS4からセーブデータを移行することもできる。
「NO RETURN」で最初に選べるキャラクターは「エリー」と「アビー」の2人。決められた条件を達成することで、「ディーナ」「ジェシー」「レブ」「ヤーラ」など新たなキャラクターが解放されていく。
たとえば、アビーは「近接攻撃キルで体力回復」があり、レブは最初から「弓」を持っているなど、それぞれ特性や初期装備が異なるので、キャラクターに応じた立ち回りや強化戦略が求められるだろう。自分のプレイスタイルに合うキャラクターを探すのも楽しい。
ともあれ、初期キャラクターで何度かプレイしないことには、新たなキャラクターは解放されない。早速、難易度は「NOMAL」のエリーで「ラン」をスタートしてみよう。
モードが始まると、エリーはどこか薄暗い部屋にいた。いきなり敵に襲われるのかと身構えたが、そうではないようだ。武器を強化できる作業台や、写真が貼られたコルクボード(正式名称はプランニングボード)などが用意されている。ここは、いわば拠点。獲得した素材を使って次のラウンド(エンカウンター)に挑戦する準備を行う場所である。
「NO RETURN」では、いくつかのエンカウンターが用意されており、それぞれで異なる条件でミッションに挑戦する。クリア条件「エンカウンタータイプ」は、敵を殲滅する「ASSAULT」や、一定時間生き延びる「HUNTED」、感染者の襲撃から仲間を守る「HOLDOUT」などさまざま。敵勢力は、「ワシントン解放戦線(WLF)」や「セラファイト」、そしてもちろん「ランナー」「クリッカー」「シャンブラー」といった感染者たちだ。
プランニングボードを調べて、次のエンカウンターの条件を確認したら、いよいよスタート。今回は「ASSAULT」で、敵勢力は「WLF」である。ステージの「ジャクソン」で周囲を警戒するエリー。すると、「ウェーブ接近」のカウントダウンが始まった。なるほど、若干の準備時間が設定されているようだ。付近には物資が置いてあるので、まずはこれらを回収しながら敵を迎え撃つのだろう。
それにしても、懐かしい。眼前に広がるのは、生きのびた人たちがコミュニティを形成して暮らす「ジャクソン」の街ではないか。オリジナル版をプレイしたのはたしか2020年。約3年半のときを経てリマスター版が発売されたわけだが、相も変わらずグラフィックは美しい。
そんなことを考えていたら、右側から話し声が聞こえた。どうやら敵が現れたようだ。「ASSAULT」はいくつかのウェーブで構成される。それぞれ、敵を殲滅したら次のウェーブに移行するルールだ。今回は「WLF」が3人×3ウェーブでエンカウンタークリア。本編ではもっと大勢の敵を相手にしてきたのだから、これくらいは余裕だろう。そう思っていた。
実際、3ウェーブまでクリアできた。だが、予想以上に苦戦を強いられる。資材不足だ。弾薬や治療キットを全然持っていないことを忘れていた。「3人なら」と、いきなり銃をぶっ放したのもよくなかっただろう。銃声を聞きつけたほかの敵が一斉に襲いかかってくる。こうなったらもう泥仕合だ。ただ銃弾を探してとにかく撃ちまくる。スマートさのかけらもない立ち回りだった。
怖い怖い怖い。感染者相手の「HUNTED」は超怖い
なんとか最初のエンカウンターを突破した筆者。拠点に戻ると、銃の強化ができるようになっていたので、「装弾数」を増やす。これで乱戦になっても少しはマシになるかもしれない。呼吸を整えたら次のエンカウンターに挑戦だ。今回は分岐があったので、異なるエンカウンタータイプ「HUNTED」を選択してみた。感染者が相手らしい。
「HUNTED」のクリア条件は一定時間生き残ること。いきなり銃撃戦に持ち込むのではなく、じっくりチャンスを伺おうと思っていたが、もしかして、いきなり敵の真ん中に放り込まれるのだろうか。そう思っていたら、「TV局」ステージの薄暗い部屋からスタートした。「ASSAULT」と同じでまずは物資回収タイムだ。
そして、敵襲来。もちろん、そのまま隠れていればいいわけではなかった。感染者が「キィー」と叫びながら一直線に走ってくる。待って待って。超怖い。
想像以上の恐怖にブレる銃口。度重なる操作ミス。パニックである。心臓の弱い人には正直オススメできない。しかも、逃げ場のない部屋でスタンバイしていたことが仇となり、開始数秒であえなくデス。「NO RETURN」初の「ラン」はここで終了となった。
まあ初めてだし、こんなものだろう。慣れればいい感じにプレイできるはず。と考えていたが、その後、何度チャレンジしても、一向にクリアできる気配がない。しかも、キャラクターがアンロックされるだけでなく、プレイを重ねるうちに「MOD」と呼ばれる特殊ルールも次々と解除される。
「MOD」は、ランダムで付与される状況オプション。「瀕死ダメージボーナス」や「スタンで近接武器の耐久値回復」「ワイヤートラップ」など、プレイヤーに有利に働く効果がある一方で、「敵の体力増加」「敵が透明化」といった、一気にエンカウンターがハードモード化するものも用意されており、「ラン」完走がますます遠のく。
特に「敵の透明化」は怖すぎた。さすがに目を凝らせばうっすら見えるくらいだろうと思いきや、そんなことはない。「R1」ボタン長押しで耳を澄ましているうちは、ぼんやり白い影が現れるため(ちなみに、最高難易度だと聞き耳は無効)、大体の位置を把握できるものの、解除したら、声や足音は聞こえるのに、敵の姿がまったく見当たらなくなる。明るい場所ならば、近づいてきたときに影だけ見えるので、それを頼りに撃ち抜くしかないのだ。
また、「フォトモードのフィルター」なら影響は少ないだろうと思っていたら、これもクセモノ。画面全体が薄暗いモノトーン調に変化しており、周囲の視界がスーパー劣悪になる。この状況で、仲間を守りぬく「HOLDOUT」に挑戦したら、かなり近くにくるまで感染者を視認できず、対応が後手後手にならざるを得なかった。
せめてボスまで――
このままではまずい。記事を書く前に、せめて……、せめてボスまでは経験しておきたい。そう思った筆者は最終手段に出る。「VERY EASY」なら、クリアできるかもしれない。
選んだのはアビー。近接戦を得意とするキャラクターだ。エイムに自信がない筆者でもチャンスがあるとすれば、脳筋プレイしかない。
すると、思っていた以上に、近接戦のプレイスタイルがハマった。アビーには「近接攻撃キルで体力回復」があるので、多少の被弾覚悟で近接バトルに持ち込める。しかも、いくつかエンカウンターをクリアしたあと、敵に掴まれたときに一撃のカウンターを入れられる「ナイフ」に加えて、超強力な「火炎放射器」をゲット! ボスの感染者「ブローター」は火に弱い。これは見えた! クリアまでの道筋がはっきりと見えた! ――かに思えた。
使い切ってしまったのだ。道中で。「火炎放射器」を。あますことなく――。序盤であれば恐れるに足らない「ASSAULT」だが、開始時から「交戦」状態の感染者を相手にするエンカウンター。5体の感染者が一斉に襲ってくる状況で、しかもガスを放出するシャンブラーが2体同時に近づいてきた。軍用ピストルも弾切れになり、絶体絶命のピンチだ。
……気づいたら無我夢中で「火炎放射器」を使っていた。黒こげになる「シャンブラー」。立ち尽くすアビー。近接武器ももうない。このエンカウンターをクリアするには仕方がなかったとはいえ、次がいよいよボスステージだというのに、いったいどうすればいいのだろう。
そして、満身創痍のままスタートした「ブローター」戦。拠点で急ごしらえした「設置爆弾」をメインに、どうにか立ち回れるだろうか。と、1つ目の爆弾を床に置こうとした瞬間、重たいパンチを正面から受けてしまった。よろめきながら立ち上がるアビー。まずい、逃げなければ。そう思って1歩後退りするも間に合わず、続けざまに鋭いボディブローが入り、アビーは散っていった。わずか30秒の出来事だった。
その後も幾度となく挑戦したが、未だにブローターを倒せていない。相変わらず「HUNTED」は怖いし、さまざまなMODも解除されていくので、臨機応変さが求められる。しかしそれでも、「もう一度」とまた新たな「ラン」にチャレンジしたくなるおもしろさがあった。
バレないよう敵に近づき、ステルスキルで数を減らしていく立ち回りや、レンガを投げて注意を引き、敵が集まったところに火炎瓶を投げて一網打尽にする戦略など、基本的な要素は『ラスアス2』本編のバトルと同じ。それらを息つく暇なくさまざまなシチュエーションで「バトルラッシュ」のように戦闘を楽しめる、まさに『ラスアス2』の戦闘のおもしろさをギュッと濃縮したモードと言える。
しかも、本編とは違って「リトライ」できない。失敗したら終わりの緊張感が、感染者に襲われるドキドキ感と合わさって、毎回エキサイティングな「ラン」にしてくれるのもいい。ヒリつきながら、『ラスアス』の戦闘を思う存分楽しみたい人にオススメだ。
腕に自身のあるプレイヤーは、同じランダム生成の「ラン」でスコアを競う「デイリーラン」でランキングに挑戦してもいいだろう。1日1度のみトライ可能なので、より緊張感あるバトルが楽しめる。
そのほか、開発初期段階の「未公開ステージ」や「ギター演奏」モードも追加されている『ラスアス2リマスター』。DualSense ワイヤレスコントローラーへの完全対応やローディングの高速化など、グレードアップした体験が待っているので、すでにプレイ済みの人でも満足できるだろう。
なお、PS4版『ラスアス2』のセーブデータがあれば、リマスター版へ引き継ぐことが可能。ソフト単体の価格は5,480円だが、『ラスアス2』を持っていると、『ラスアス2リマスター』(ダウンロード版)を1,190円で購入できる。PS5アップグレードにはPSNのアカウントが必要だ。
ただし、PS4向けソフトウェア(パッケージ版)を保有している人が、ディスクを使用しない「PS5デジタル・エディション」を購入した場合は、PS5向けソフトウェア(ダウンロード版)を1,190円で購入することができない。
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