IDCの調査によると、世界のスマートフォン出荷台数で2023年にAppleがSamsungを上回り、初めて年間トップに立った。前回、Mobile Phone TrackerでSamsung以外の企業が年間首位になったのは2010年で、その時の1位はNokiaだった。
2023年のスマートフォンの出荷台数(暫定値)は11億6690万台で、前年比3.2%減だった。これは過去10年で最低の水準だ。世界的なインフレ、マクロ経済の減速を背景に、スマートフォンの買い替えに消費者が消極的になり成長が低下した。
メーカー別ではAppleが前年比3.7%増の2億3460万台、シェアは過去最高の20.1%だった。2位のSamsungは同13.6%減の2億2660万台でシェアは19.4%。Xiaomiが3位で出荷台数は1億4590万台(同4.7%減)だった。
Appleは上位3メーカーの中で唯一プラス成長を継続している。買い替えサイクルが長期化する一方で、プレミアム・デバイスが市場の20%を占め、さらに増加傾向にある。ハイエンド帯でiPhone人気は高く、下取りや無利子・分割払いなど顧客の買い替えを支援する充実したプログラムがAppleの強みになっているとIDCのナビエラ・ポパル氏は指摘している。調査結果は暫定値であり、「変更される可能性がある」としているが、1月16日にCanalysが公表したスマートフォン出荷台数調査結果でも、通年でAppleがトップとなっている。
Samsungの首位陥落について、ポパル氏はAndroidスマートフォン市場の多様化の影響を原因の1つに挙げている。2023年後半にTranssionとXiaomiの廉価帯製品が新興市場で大きく伸びた。また、制裁の影響を受けていたHuaweiが中国市場で競争力を高めており、ハイエンドの低価格帯でOnePlus、Honor、Googleが存在感を増している。
2023年は前年比3.2%減だったが、最後の第4四半期(10〜12月期)の出荷台数は3億2610万台で前年同期比8.5%増だった。近年の低迷から回復する兆しが見える。Androidプラットフォームを支えるGoogleが「Pixel Fold」を追加するなどフォルダブルが定着しており、さらに生成AIブームからスマートフォンのAI機能が注目を集め始めている。「全体として、スマートフォン分野は非常に興味深い時代に向かっている」とポペル氏は述べる。