アメリカではおよそ4世帯に1世帯が所有しているというコーヒーマシンブランド「KEURIG」(キューリグ)が、4年ぶりとなる日本向け新モデル「KB-01」を11月1日に発売しました。
従来の「BS300」も併売されており、新型はエントリーモデルという位置付け。しかし、日本の住環境とも相性が良さそうなスリムボディや立ち上がりの速さなど、安さ以外でも新型を選ぶ理由のある魅力的なマシンとなっています。
また、KEURIGは「コーヒー&ティーマシン」とうたっており、コーヒー以外も含めたカプセルラインナップの豊富さも強みです。今回は新型マシンの体験とあわせて、この秋に発売された新作カプセルも試飲してきました。
新型マシンは置き場所を選ばないスリムさが魅力
まず、KB-01の第一印象はとにかくスリム。横幅が10cmしかないので、すでに調理家電でいっぱいのラックにも難なく収まるでしょうし、一人暮らし向け物件の狭いキッチンでもすき間を有効活用して設置できそうです。
従来型のBS300が高機能モデル、新型のKB-01がエントリーモデルという位置付けになりますが、抽出温度などコーヒーをいれる根幹の部分は同等の性能を持っています。
BS300はサイズが幅18.0cm×奥行31.8cm×高さ30.0cm/重量3.8kgで価格が19,800円。KB-01は幅10.0cm×奥行32.0cm×高さ29.0cm/2.8kgで14,000円です。
主な違いとしては、KB-01はスリムな代わりにタンク容量が500mlと少なめですがBS300は1,500mlで家族でも使いやすいこと、カプセルを経由せずお湯だけ出せるモードがBS300だけにあることが挙げられます。そのほか、細かい部分では抽出量の設定の細かさ(KB-01は3段階でBS300は無段階調整)、最大抽出量の違い(KB-01は最大240mlでBS300は最大300ml)もあります。
「タンク容量って500mlで足りるの?」という疑問も浮かびますが、カプセルの定期購入の仕組み(よりどり定額便)などから平均的な使われ方は1日2杯ぐらいだそうで、1人で使うなら毎朝給水すれば500mlでちょうどよさそうです。 エントリーモデルとは言いつつ、新しいKB-01のほうが優れている部分もあり、それは立ち上がりの速さです。BS300では起動から抽出までに約30秒かかっていたところ、KB-01なら半分の約15秒で済むので、忙しい朝や仕事の合間に使うには助かります。
家族で使うなら大容量タンクやお湯機能のあるBS300を選ぶのもありですが、“タイパ”や“スペパ”を求める若者にはKB-01が魅力的に映るだろうと感じました。
また、BS300とKB-01に共通する長所として「動作音が静か」というのも特筆すべき点です。日本でカプセル式コーヒーメーカーとしてシェアの高い「ドルチェ グスト」や「ネスプレッソ」は圧力をかけて抽出するエスプレッソ式なのでどうしてもそれなりに音が大きくなってしまうのですが、KEURIGはドリップ式なので静かに抽出できます。子育て中の家庭であったり、夫婦で朝起きる時間が違うライフスタイルの方などであれば、選ぶ上で重要なポイントになるでしょう。
新作&おすすめカプセルを試飲!コーヒー以外も充実
マシンの特徴を見てきたところで、続いてはカプセルをチェック。KEURIGのカプセルはマルチブランド・マルチドリンクを目指したラインナップとなっており、1台のマシンでさまざまな有名チェーンやご当地カフェ、そして紅茶や緑茶も楽しめます。
2023年11月時点では、上島珈琲店、丸山珈琲、小川珈琲、英國屋、セガフレード・ザネッティ、プロント、AMAZING COFFEE、ヒルス、タニタコーヒー、カフェ・ド・クリエ、トミヤコーヒー、サンマルクカフェ、カフェグレコ、雪室珈琲、ドトール、モリヒコ、ハーニーアンドサンズ、カフア、アフタヌーンティー、LIPTON、辻利、中村藤吉本店の22ブランドを取り揃えています。
今回は新作カプセルやおすすめカプセルを中心に、コーヒー4種類と紅茶・日本茶5種類を試飲してきました。
まずはコーヒーのラインナップから、オーソドックスな「上島珈琲店 オリジナルブレンド」、酸味のあるフルーティーかつライトな味わいの「丸山珈琲のゲイシャ」、濃厚で深みのあるストロングな味わいの「HIDE IZAKIドリップカプセル」、牛乳で割ることを前提に作られた「With MILK カフェオレ用ブレンド」の4つを飲み比べました。
昔ながらの喫茶店のような飲み慣れたスタンダードな味から、いわゆるサードウェーブコーヒーと呼ばれるようなスペシャルティコーヒーの素材の良さをそのまま味わう浅煎りのものまで、同じマシンで出せる守備範囲の広さにびっくり。
特に印象に残ったのは「HIDE IZAKIドリップカプセル」(11月9日発売)で、これはアジア人初のワールド・バリスタ・チャンピオンとなった井崎秀典氏と共同開発したカプセルだそう。原料の質にこだわり、濃いながらも雑味なく飲みやすいものに仕上がっています。目覚めの一杯や仕事中のリフレッシュにはとても良さそうだと感じました。
また、「With MILK カフェオレ用ブレンド」(9月28日発売)も興味深いものでした。名前の通り、そのまま飲むのではなく牛乳で割ってカフェオレにして飲む前提で作られたカプセルです。これが不思議なもので、ミルクの甘さを引き立たせるようチューニングされているおかげで、ごく普通の牛乳で割っているのに「ちょっとお高めの牛乳を使ったのかな?」と思うような味わいになっていました。
後半はコーヒー以外のカプセルを試飲しました。「HARNEY & SONS イングリッシュ・ブレックファースト」「HARNEY & SONS パリ」「HARNEY & SONS ソーホー」「中村藤吉本店 中村茶」「辻利 宇治ほうじ茶」の5種類です。
HARNEY & SONSのカプセルはいずれも11月1日に発売されたばかり。ニューヨーク発の世界的紅茶ブランドとのタッグで作られたカプセルです。カシスやキャラメルを組み合わせた「パリ」、チョコレートやココナッツ、アマランサスの花びらが入った「ソーホー」のフレーバーティーとしての個性的で繊細な香りもしっかり引き出されています。
一般的に、紅茶を美味しくいれるには沸騰させた高温のお湯(95度以上)が良いとされていますが、KEURIGのマシンはカプセルの種類によって湯温を変えているというわけではなく、コーヒー用に決められた湯温(92度)なので少し低めです。そこを茶葉の砕き方やカプセル内にあるドリップフィルターの工夫で乗り越え、本格的な味わいを実現しているのが見どころです。
日本茶の場合は逆に、湯冷ましなどの道具があるように沸騰したお湯から80度ぐらいまで冷ましていれるのがセオリーです。今度はコーヒーマシンの湯温では高すぎるということになりますが、茶葉の配合を工夫して中村藤吉本店の名前で出すGOサインを得られたそう。
コーヒーだけでなく紅茶や日本茶も本格的でおいしい一杯が手軽に味わえるという点はKEURIGの長所ですし、たとえば「家族のなかでコーヒーを飲むのは自分だけ」というケースでもお財布を握っている人の理解を得やすいのではないでしょうか。