子供の成長というのはあっという間だ。この間小学校に入学したと思っていた筆者の娘は来年度から中学生になる。

中学生になるにあたり、そろそろスマートフォンを持たせようということで、前々回の記事では料金プラン、前回の記事では機種選びについて、筆者なりの考えを述べた。

料金プランも機種も決まったとなれば、あとは娘にスマートフォンを渡すだけだが、そのまま渡してしまっては親目線では不安も多い。

有害なサイトにアクセスしないか、不要なアプリのインストールや利用でトラブルにならないかなど、スマートフォンを使わせるにしても「設定で防ぐこと」と「使用のルール」についても、先に決めておく必要がある。

そこで今回は娘用に用意したiPhoneの「あんしん設定」と「使用のルール」を紹介していこう。

  • 3回にわたってお届けしてきた「新中学生のスマホデビュー」。最後は安心・安全に使っていくための設定やルール作りについて考えておきたい

    3回にわたってお届けしてきた「新中学生のスマホデビュー」。最後は安心・安全に使っていくための設定やルール作りについて考えておきたい

スマートフォンのフィルタリングは「スマホ本体で行う」のがベスト

子供に持たせる携帯電話において、代表的な安心設定といえばフィルタリングだ。

子供用に携帯電話を契約する際、手続きの中で「18歳以下は必ずフィルタリング申込が必要です」といった案内を受けることがあるだろう。もちろんフィルタリングサービスの利用は重要なのだが、実はスマートフォンに限ってはフィルタリングを行っても完璧とは言えないのだ。

フィルタリングサービスが機能するのは原則「携帯電話網で通信を行うとき」だ。つまり、スマートフォンは自宅のWi-Fiに繋いで通信することもできるがその際はフィルタリングが機能しない。言い換えれば、Wi-Fi経由なら親としては見てほしくないWebサイトの閲覧などもできてしまうことになる。

そのため、子供にスマートフォンを持たせる場合はスマートフォン本体でも制限の設定を行う必要がある。

今回、筆者は娘用に「iPhone 15」を用意した。iPhoneで利用するApple IDには「ファミリー共有」という、Apple IDを家族としてグルーピング、管理する機能が用意されている。

この機能では「保護者」と「子供」を区別することができ、保護者側から子供のApple IDが設定されたiPhoneに様々な制限を設けたり、利用状況を確認できるようになっている。

  • 「承認と購入のリクエスト」の設定

制限できる項目はかなり多いのだが、まず筆者宅では「承認と購入のリクエスト」を有効にした。

この設定をオンにすることで、App Storeでアプリの新規購入・ダウンロードは保護者の端末で許可しなければ行えないようになる。

これは無料のアプリをダウンロードする場合であっても有効なので、子供が興味本位でダウンロードを行おうとした場合に「どんなアプリを入れようとしているのか」を保護者側で事前に確認できる。

いわゆる「便利ツール」のようなアプリであれば心配はいらないのだが、SNSやゲームなど「他人と繋がるアプリ」は使わせるにしても約束事を設けたいという親は多いだろう。

  • 課金の制限設定

もうひとつ、アプリの使用に際して心配なのが「課金」だ。

これも「許可しない」よう設定を行うことができる。また、万が一この設定を超えて利用できてしまうケースがあっても「パスワード入力を必須」にしておけば思いとどまらせることもできるだろう。

アプリ内課金というと「ガチャ」のようなゲームの課金要素が真っ先に思い浮かぶが、それ以上にタチが悪いのが便利そうなアプリで執拗に誘導してくる「サブスクリプションサービス」だ。

買いきりではなく毎月や年間で料金が請求されていくためタチが悪い。もちろん必要に応じてそうしたサービスも保護者の許可する範囲で加入、課金してもいいとは思うが、知らないところで様々なサービスに加入している状態になるのは望ましくないため、課金に関わる部分は「許可制」としておくといい。

  • Webコンテンツの制限設定

そして必ず設定しておきたいのが「Webコンテンツの制限」だ。

これが一般的に「フィルタリング」と呼ばれる設定に該当し、アダルトサイトなど子供に有害と判断されたWebサイトの閲覧を制限する機能だ。

もちろんこの設定を有効にしたからといって、絶対にすべてのアダルトサイトなど子供に有害と思われるサイト閲覧を制限できるわけではないが、有効にしないという選択肢はない。

また個別に「閲覧を許可するサイト」「閲覧を許可しないサイト」を指定することもできるので、フィルタリングで思った通りに表示制限がされないサイトがあった場合には個別に設定していくといいだろう。

iPhoneのファミリー共有で設定できる「制限」は上記以外だけでなく、iPhoneの多くの機能に対し行うことができる。

特に「使用者のプロフィールを表示する・しない」や「オンラインで他人と繋がる」といった子供のプライバシーの面で不安を感じる機能についても制限を行うことができるので、細かく設定を確認しておくといいだろう。

さらに必要に応じ、契約した携帯電話会社で提供されるフィルタリングサービスなども併用してもいいだろう。

筆者宅では最初は「がっつり制限を行った状態」で娘にスマートフォンを渡すと決めたため、ファミリー共有での各種制限とNTTドコモの「あんしんフィルター for docomo」を併用した状態で設定を行っている。

  • スマートフォン本体のフィルタリング機能と通信事業者のフィルタリングサービスを併用するのも良いだろう

    スマートフォン本体のフィルタリング機能と通信事業者のフィルタリングサービスを併用するのも良いだろう

「制限」「設定」も大事だけど、もっとも大事なのは「約束」

iPhoneのファミリー共有や通信事業者の提供するフィルタリングサービスは優秀だ。ここまでに紹介した通り、親として心配になることの多くはこれらをキチンと設定すればクリアできる。

しかし、それ以上に大事なのは子供とのスマートフォン利用の約束だ。

例えば「ゲームは1日1時間まで」のように、スマートフォン自体やアプリに対し、利用できる時間の制限を設けることはできる。もちろん、制限した時間になれば電話など重要な機能を除いて操作できないようにできるのは魅力的にも思えるが、できれば自主的に「22時になったらもう眠る」や「今日は使いすぎているからさわるのはやめておこう」と考えてスマートフォンを使えるようになってほしい。

また「なぜスマートフォンを持たせているのか」「だからこういう使い方をしてほしい・してはいけない」といったこともしっかりと子供に話しておくべきだと思う。

子供たちの間では大人が考えている以上にトレンドの移り変わりが早く、スマートフォンで利用したいアプリやそれらの使い方も最初に決めた約束事の中ではできないというときもすぐにやってくるだろう。

そのときに「制限だから」と縛り付けるだけでなく、新しい使い方をしたいという子供の希望を聞き入れながらも親子間の約束事をキチンとアップデートしていった方が、子供にとってもスマートフォンを「ちゃんと使うこと」を学んでいくことにつながると筆者は考えている。