10月19日のRyzen Threadripper Pro 7000 WX/Threadripper 7000シリーズの発表の際に、Previewとして紹介されたRadeon Pro W7700であるが、11月13日に正式に発表されたので、この内容をご紹介したい。
先の記事でもちょっと触れたが、今回発表のRadeon Pro W7700はNavi 32を搭載するRadeon Proという位置づけである。ターゲットとなる価格帯は$950~$1500のハイエンド(Photo01)であり、ウルトラハイエンドのRadeon Pro W7800&W7900と、ミッドレンジのRadeon Pro W7500&7600の間を埋める製品ということになる。
そのRadeon Pro W7700の製品スペックがこちら(Photo02)。Navi 32ベースとしながらも、実際にはRadeon RX 7700 XTよりちょい下あたりの性能であり、Radeon RX 7700 XTが$449である事を考慮すると価格性能比的にはどうか? と思うところもある。もっともRadeon Pro W7700でゲームをするユーザーはいないだろうし、差額がソフトウェア(Radeon Pro Software)のサポート代と思えば、まぁ納得できる金額という見方も出来る。
主要な特徴はNavi 32というかNavi 3世代に共通であり、DisplayPort 2.1への対応(Photo03,04)やNavi 2世代と比べて演算性能が倍増したCU、AV1のエンコード/デコードをサポートしたMedia Supportなどで、この点で何か違いがある訳では無い。なのであとは製品スペックが競合製品とどう位置づけられるのか、というあたりになる。その競合製品との比較がこちら(Photo05)。消費電力的に言えばNVIDIAのRTX A4500あたりが丁度ターゲットであり、その上下にRTX A4000やRTX A5000、更にRTX 4000 SFF Adaあたりがラインナップされる形である。では性能比較は? ということでSPECViewperf(Photo06)、Autodesk関連ベンチマーク(Photo07)、Adobe Creative CloudやDaVinch Resolve(Photo08)、CAD(Photo09)などで優位性がある事を示している。またAI処理に関して言えば、Topaz Video AIでの結果で、RTX A4000 SFF Adaより25%高速(Photo10)といった数字も示されている。
改めてラインナップを示したのがこちら(Photo11)であるが、こうしてみるとやっぱりW7700とW7800の間にちょっと大きなギャップがあるように感じられる。Radeon Pro W7700は32TFlops(FP32)と示されているから、動作周波数はかなり低く、ピークで1.5GHz程度に抑えられているようだ。まぁだからこそ190Wという枠で収まるという話だが、例えば動作周波数はピーク1.5GHzのままで、構成だけRadeon RX 7800 XTと同じ60CU構成にすると性能的には40TFlopsほど。消費電力は200W台前半に収まり、2Slot厚でなんとかカバーできる程度になりそうな気がする。そうした製品を出すか出さないかは不明であるが、可能性的にはありえそうに思う所だ。ただそれを例えば$1,499にして販売したとして、どの程度シェアが取れるかという辺りを現在AMDのマーケティングチームがシミュレーションしているというあたりではないかと思う。