既報の通りRadeon RX 7700 XT&7800 XTが全世界で9月6日から発売になる(日本での発売開始は9月8日の午前11時)。まだ原稿執筆時点でも日本での販売価格が判明していないが、Radeon RX 7800 XTで$499、Radeon RX 7700 XTが$449となかなか意欲的な価格である。先の記事でも書いたが、競合とされるeForce RTX 4070が$599、GeForce RTX 4060 Tiが$396(8GB)ないし$499(16GB)ということで、価格競争力はそれなりにありそうである。問題は性能、ということで早速確認して行きたいと思う。

  • Radeon RX 7700 XT&7800 XTを試す - 対GeForce RTXの有望株、価格次第で競り勝つ?

    Photo00: 今回の新モデル投入で、Radeon RXのラインアップにおける「空白地帯」が埋まる

評価機材

今回Radeon RX 7800 XTはAMDのReference品が届いた(Photo01~12)。一方Radeon RX 7700 XTについてはASRockのChallenger Radeon RX 7700 XT OC Edition(Photo13~23)を今回は利用した。

比較対象として今回はRadeon RX 6800 XTのReferenceの他、Radeon RX 7600搭載のASUS Dual Radeon RX 7600 OC Edition(Photo24~32)及びGeForce RTX 4070搭載のASUS TUF Gaming GeForce RTX 4070 12GB GDDR6X OC Edition(Photo33~41)をそれぞれ借用した。

  • Photo03: 2つのファンの位置が均等ではないというか、やや後方にずれているのがちょっと珍しい。

  • Photo04: 裏面はフルカバード。面取りしてあるので引っかかり難いのは正直助かる。

  • Photo05: それなりに質量感はあるが、Radeon RX 7900 XT/XTXに比べると一回り小さい。ちなみに寸法は265mm×106mm×50mm、重量は1501.6g(いずれも実測値)で、実際重い。

  • Photo06: 後方、面取りしてあるのにエラが張っている造形がちょっと独特。

  • Photo07: 補助電源は8pin×2。フィン3本だけに赤色が配されてRadeonであることを主張している。

  • Photo08: 底面から。一見貫通しているように見えるが、これはフィンの奥のヒートシンクが反射しているだけ。

  • Photo09: 出力はHDMI×1+DisplayPort×3。一応2.5slot厚としてギリギリ問題ない程度の厚みに収まっている(もっとも背面のプレートもそれなりにあるので実質3slot厚に近いが)。

  • Photo10: アップで見ると、なんとなく新幹線っぽい造形と思ってしまった。両方のエラの張り具合がそう感じさせるのだろう。

  • Photo11: 3840 Shaderなので60CU相当。動作周波数はスペック通り。

  • Photo12: Power Limitは-10%~15%なので、234W~302Wの範囲で可変可能ということになる。Base Clockは1603MHzと意外に結構低め。

  • Photo13: パッケージはシンプル。同社のChallengerシリーズらしいデザインである。

  • Photo14: 一見Radeon RX 7800 XTよりコンパクトに見えるが、単に横長がもう少しずんぐりした事に起因する。実際外寸は263mm×123mm×54mm(実測値)で、むしろRadeon RX 7800 XTよりも大きい。

  • Photo15: 背面にもプレートはあるが、フルカバードではない。ヒートシンクが覗いて見えるあたりがチャームポイント。ちなみに重量は961.8g(実測値)とだいぶ軽いのは助かる。

  • Photo16: やはり厚みがかなりあり、2.5slot厚というのは結構厳しい。限りなく3slot厚と考えた方が良い。

  • Photo17: 後方はこんな感じ。Radeon RX 7800 XTほど凝ってはいないが、省いたデザインの分軽くなっていると思えば、これは許容範囲。

  • Photo18: こちらも補助電源は8pin×2。基板の端に装着されているところとか、基板上のコンデンサの位置とかをPhoto07と見比べてみる限りは、基板そのものはReferenceのままだろうか?

  • Photo19: かなり厚みというか高さのあるヒートシンクが判る。

  • Photo20: 出力配置はRadeon RX 7800 XTと同じだが、このスリットは単なるデザインなのか、何か意味があるのか。

  • Photo21: 5本のヒートパイプを使っている事を強く主張しているのが判る構図。

  • Photo22: スペックと比較するとGame Clockを2171MHz→2226MHzに、Boost Clockを2544MHz→2584MHzに、それぞれ40MHz程度引き上げしている。

  • Photo23: Base Clockはこちらも1603MHzで、これはNavi 32のデフォルトだろうか。Power Limitは同じく-10%~+15%なので221W~282Wの範囲で可変ということになる。

  • Photo24: パッケージが割とASRockと似ているので取り違えそうになった。今回比較に使用した中では一番コンパクト。

  • Photo25: 相対的に大き目なファン2つの構成。寸法は241mm×120mm×49mmで、ちょっと背が高い。あとこの写真で底になっている部分が平になっていないので、この置き方だとちょっと倒れそうになる。

  • Photo26: 一応背面プレートも実装。重量は769.5gで、今回の比較の中では一番軽量。

  • Photo27: コンパクトではあるのだが、ファンの直径を稼ぎたかったためか結構背が高いので、小さめのケースだと蓋が厳しいかもしれない。

  • Photo28: AMDのReferenceとは異なるが、こちらも角を落としたちょっと複雑な形状になっている。

  • Photo29: 補助電源は8pin×1。

  • Photo30: 底面からは3本のヒートパイプの配置が伺える。

  • Photo31: 出力は同じくHDMI×1、DisplayPort×3なのだが、なんでHDMIをこの位置に持ってきたのだろう?(いやこういうパターンのカードも結構多いのだが)。

  • Photo32: 後方は完全にカバーに覆われている。ケースの中に収めた状態で配線とかをごちゃごちゃいじってると、ヒートシンクの角で怪我をする事は意外に多く、その意味でもきちんとフルカバードになっている事は好感が持てる。

  • Photo33: 今回テストした中では抜群にデカい。ファンも3連である(が、一番重い訳では無いあたりが面白い)。

  • Photo34: こちらも底面に当たる部分が全然平でないので、このアングルでの撮影には苦労した。

  • Photo35: 背面も当然フルカバードである。ヒートシンクの裏が抜いてある辺りがちょっと他と違う所か。

  • Photo36: 完全に3slot厚。寸法は298mm×124mm×62mmで、正直かなりデカい。にも拘わらず重量は1195.9gと、Radeon RX 7800 XT Referenceより軽く、サイズの大きさと相まって持つと「あれ?」となる。

  • Photo37: 上面が平ではないのはデザイン上の問題もあるのだろうが、結果として猛烈にデカい(今回比較のカードでは文句なく一番大きい)のはどうしたものか。

  • Photo38: 補助電源は8pin×1。ヒートシンクの構造が良く判る。

  • Photo39: 底面は結構実装密度が高く感じる。

  • Photo40: ブラケットから大きくはみ出すシャーシが威圧感すら感じる。出力の並びはRadeon RX 7600と同じく。

  • Photo41: 後方もフルカバードなのは嬉しいが、リテンション取付用の金具がちょっと出っ張ってるのが気になる。

その他のテスト環境は表1の通りである。製品グレードで言えばRadeon RX 7600のみが1080P Gaming向けで、その他が概ね1440P Gaming向けという感じになっている訳だが、今のラインナップだとRadeon RX 7700 XTの下がRadeon RX 7600になっているので、その性能差がどの程度あるのかの確認のために今回採用した。逆にGeForce RTX 4060 Tiが無いのは筆者の手配のミスであるが、時間の関係もあって今回はこのままとさせていただく。

■表1
CPU Ryzen 7 7700X
M/B ASUS TUF Gaming X670E-PLUS
BIOS Version 1636
Memory Corsair emgeance CMK32GX5M2D6000Z36
(DDR5-5600 CL48)
Video ・AMD Radeon RX 6800 XT Reference
・ASUS Dual Radeon RX 7600 OC Edition
・ASRock Challenger Radeon RX 7700 XT
・AMD Radeon RX 7800 XT Reference
・ASUS TUF Gaming GeForce RTX 4070
Driver Radeon Software Adrenalin Edition 23.8.1 WHQL Radeon Software Adrenalin Edition 23.20.01.05 β4 GeForce Driver 573.13 DHC WHQL
Storage Seagate FireCuda 520 512GB(M.2/PCIe 4.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 11 Pro 日本語版 22H2 Build 22621.2134

グラフ中の表記は

RX 6800 XT:AMD Radeon RX 6800 XT Reference
RX 7600 :ASUS Dual Radeon RX 7600 OC Edition
RX 7700 XT:ASRock Challenger Radeon RX 7700 XT
RX 7800 XT:AMD Radeon RX 7800 XT Reference
RTX 4070 :ASUS TUF Gaming GeForce RTX 4070

となっている。また解像度表記も何時もの通り

2K :1920×1080pixel
2.5K:2560×1440pixel
3K :3200×1800pixel
4K :3840×2160pixel

としている。

またゲームに関しては、DirectX Ray Tracingは基本無効(無効化できないものはそのまま)としており、またFSRやDLSS/XeSSなどのSuper Samplingも全て無効の状態で比較を行っている。

◆3DMark v2.27.8160(グラフ1~3)

3DMark v2.27.8160
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

  • グラフ1

  • グラフ2

  • グラフ3

今回は同一CPUなので、Physics/CPU Benchmarkを比較しても仕方ない(実際データは取ったがほぼ同一)ということで割愛し、3DMark/Graphics/Combinedだけを。グラフ1が3DMark Scoreであるが、ラフに言えば

  • Radeon RX 7800 XT: GeForce RTX 4070とほぼ同等、Radeon RX 6800 XTよりも少し上
  • Radeon RX 7700 XT: Radeon RX 7600とは比較にならないが、Radeon RX 7800 XTには結構明確な差がある

という感じだ。これはGraphics Test(グラフ2)でも共通で、フレームレートがそれだけハッキリ違うという事である。Combined Test(グラフ3)も概ねGraphics Testの結果を反映した格好になっており、Radeon RX 7800 XTは負荷が低い(2K)とGeForce RTX 4070にやや劣るが、Extreme(2.5K)/Ultra(4K)だと最高速だったりするあたりは両者のアーキテクチャの違いがこういう所に出てくるのだな、と感じる。