ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、2023年10月20日にPlayStation 5(PS5)用ソフト『Marvel‘s Spider-Man 2(スパイダーマン2)』を発売した。
商品ラインアップは、本編ソフトのみの「スタンダードエディション」(8,980円)と、ピーター用のスーツ5種、マイルズ用のスーツ5種、フォトモードアイテムなどの追加コンテンツを同梱する「デジタルデラックスエディション」(9,980円)、スパイダーマンとヴェノムが戦う19インチフィギュアなどを同梱する数量限定の「コレクターズエディション」(31,980円)だ。
今回、SIEから、この「コレクターズエディション」が届いたので、目玉アイテムのフィギュアを眺めながら本編をプレイしてみよう。
19インチのヴェノムは舌のテカりまで超リアル!
では、さっそく「コレクターズエディション」の開封から紹介する。過去に発売されたほかのタイトルの豪華版である『Horizon Forbidden West レガーラエディション』や『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク ヨトゥンエディション』と比べるとややコンパクトだが、19インチ(約50cm)のフィギュアが入っているとあって、箱はそこそこ大きい。内容物はデジタルデラックスエディションの本編ゲームコードと、STEELBOOKディスプレイケース、そして限定フィギュアだ。
箱を開けると、さらにクモのアイコンがデザインされた黒い箱が登場。中には、フィギュアの組み立て方と注意事項が記された紙、STEELBOOKディスプレイケースが入っていた。それらを取り出したら、いよいよフィギュアとご対面だ。
実際に手に持ってみると、思いのほかズッシリしている。普段あまりフィギュアを持つ機会がないので重さの相場はわからないが、軽めのダンベルくらいあって驚いた。
クオリティもかなり高い。スパイダーマンのスーツのデザインなど、細部まで丁寧に再現されている。そして何と言っても、ヴェノムだ。伸ばした右手でスパイダーマンの足をつかみ、禍々しい牙を見せながら大きく口をあける。舌のツヤもリアルで、不気味さを見事に演出。2人のスパイダーマンが加わることで、躍動感も高まり、今にも動き出しそうである。控えめに言って超カッコいい。これを飾ってゲームをプレイしたら、気分はかなりアガるだろう。
細かいアイテムがあれこれと入っているわけではないが、フィギュアが圧倒的クオリティなので、これだけで満足すること間違いなし。全力を注いで制作したフィギュアの一点勝負感があって、むしろ、個人的には好感触だ。
2人のスパイダーマンを切り替えながらニューヨークの平和を守る
さて、ひとしきりヴェノムフィギュアを愛でたところで、ここからはゲームについて紹介しよう。物語の舞台は、おなじみ、マーベル世界のニューヨーク。今作では、マンハッタンだけでなく、ブルックリンとクイーンズが加わり、マップがより広くなった。主人公は、「ピーター・パーカー」と「マイルズ・モラレス」の“2人のスパイダーマン”だ。
ピーターは、教師の仕事に就くも、スパイダーマンの活動が原因でクビになってしまう。恋人のメリー・ジェーン・ワトソン(MJ)も仕事を続けられるかどうかの瀬戸際に立たされる。そんなとき、ピーターの前に現れた親友のハリー・オズボーン。自分の所属するエミリー・メイ財団で働かないかとピーターを勧誘する。そして、ピーターは、財団で働くことを決めるのだった。
マイルズは、スパイダーマンとしての活動をしつつ、進路に悩み、恋に悩みながら、学生生活を過ごす。そんな折、ヴィランを狩る謎の集団「ハンター」がニューヨークにやってきて、街がめちゃくちゃになってしまう。マイルズはそこで、父親の仇であるマーティン・リーを見つけた。その後、取り逃がしたリーの居場所を探すが、それはスパイダーマンとしての活動なのか、個人の復讐なのか。葛藤の日々は続く。
今作では、そんな2人のスパイダーマンを切り替えながら物語を進める。だが、それぞれがまったく別のことをするわけではない。ニューヨークの情報は常に共有され、お互いに協力しながら、ハンターの居場所を突き止めたり、アジトに潜入したりと、解決に向けて行動する。
ストーリーミッション進行中でなければ、キャラクターはいつでも変更可能。街中で“野良の犯罪者”たちと戦っていると、操作していない側のスパイダーマンがバトルに参加してきて、共闘することもあった。
このキャラクターが切り替わるシステムが同作のおもしろいところだろう。さらに、スパイダーマンの交代時は、画面の切り替えがスピーディなうえ、ちょっとした演出が入る。個人的には、この演出がかなりお気に入り。特にスパイダーマンが移動しているところから操作がスタートするときのスピード感にはシビれた。
なお、マップを移動するファストトラベルでも同様の場面転換が行われる。ローディングが爆速なだけでなく、エリア内なら自由にファストトラベル先を決められることにも驚かされた。
物語を進めると、2人のスパイダーマン以外のキャラクターを操作することもある。たとえばピーターの恋人のMJだ。もちろん、スパイダーマンとまったく同じ立ち回りはできないが、銃を使った遠距離射撃やステルス行動といったアクションで敵ハンターと戦い、ときには、相手の攻撃を切り抜けながら近づいて直接スタンガンで相手をノックアウト。そんなMJの頼もしさに、もはやスパイダーマンより強いのでは?と思うこともあった。
驚いたのは、マイルズの同級生ヘイリー・クーパーを操作するパートだ。ヘイリーは、耳が聞こえないため、手話やテキストでコミュニケーションを取るキャラクター。MJのようなアクションはなく、ちょっとしたミニゲームをする程度ではあるが、彼女を操作している間はゲーム音がほとんど聞こえなくなるではないか。そんな演出にもこだわりが感じられた。
多彩なスキルや「ウェブ・ライン」によるステルスでバトルはさらに奥深く
バトルアクションはかなりアクロバティック。敵の股下をくぐって背後を取ったり、近くにあるマンホールやゴミ箱をウェブで掴んで投げ飛ばしたりと、簡単な操作でスパイダーマンらしいアクションが楽しめる。
もちろん、2人のスパイダーマンの立ち回りはまったく同じではない。パンチや回避といったバトルの基本アクションや、敵にクモの糸を飛ばす「ウェブ・シューター」などのガジェットは共通だが、スキルはそれぞれ異なるものが用意されている。
ピーターは、スパイダーガジェットを使った技のほか、物語を進めていくとヴェノムスーツの影響から「シンビオート」を獲得。また、マイルズは、電気を帯びたスキルで攻撃できる。スキルの種類も豊富で、どの技をセットして戦うか考えるのも楽しい。
スキルは、ツリー形式で取得するスタイルだ。2人の共通アクションのツリーと、それぞれのスパイダーマンのツリー、合計3つのツリーを解放していくので、自分が得意なスタイルに合わせて成長させられる。ただし、ストーリーを進めるには、2人のスパイダーマンの力が必要だろう。
また、ステルスアクションも進化。新たに追加された「ウェブ・ライン」がクリエイティブでおもしろい。ステルスアクションといえば、敵に見つからないよう、フロアにある障害物に隠れて行動するのが一般的だろう。しかし、スパイダーマンは、「ウェブ・ライン」を使って、自分が戦いやすいよう糸を張り巡らせて、敵の頭上に足場を作れる。
そして、上空からウェブを放って敵の注意をそらし、1人になったところを「ウェブ・ライン・フィニッシュ」で静かに拘束。糸でグルグル巻きにして、再起不能にする。さらに、マイルズには透明になれる「カモフラージュ」の能力もあるので、ダブルで使えば、より見つからずに敵の戦力を削れるだろう。
ほかにも、バトルをするうえで特に重要だと感じたのが「パリィ」。敵の攻撃に合わせてタイミングよくガードボタンを押すことで相手の近接攻撃をはじくアクションだ。
「パリィ」と聞くと、難しそうに感じる人もいるだろうが、同作の場合、ボタンを押すタイミングを教えてくれるため、かなり親切な設計になっている。敵が攻撃を仕掛けてくると、スパイダーマンの顔のところに白いエフェクトが発生。それが赤くなったら「パリィ」すればいい。ただし、「回避」で避ける必要がある遠距離攻撃でも同様のエフェクトが発生するので、見極めが必要だ。
スピードを感じる街の移動はさらに進化した
そして、同シリーズ最大の特徴とも言えるのが、フィールドをスピーディに駆け抜ける爽快感。「ウェブ・スイング」を駆使して高速ビルの間を移動するのが気持ちいい。
今作では、フィールドアクションがさらに進化した。空中で「ウェブ・ウィング」を展開すると、モモンガのように滑空できるのだ。街中で気流に乗れば、よりハイスピードな移動が楽しめる。「ウェブ・ウイング」を使って鳥型ドローンを追いかけるサブクエストも用意されており、思う存分ニューヨークの空を飛びまわれるだろう。
各エリアでサブクエストなどをクリアしていくと、その場所へのファストトラベルが解放されるが、移動自体が楽しいので、「ウェブ・スイング」や「ウェブ・ウイング」で目的地に向かうことが多かった。広くなったマップはかなり探索しがいがある。
また、マーベル世界のニューヨークの治安は最悪なので、いつどこでスパイダーマンの助けが必要になるかわからない。そのため、散歩がてらパトロールすることも重要だ。突然犯罪が発生することもあるし、あちこちにサブクエストが用意されているので、目的地への移動も退屈しない。
2人のスパイダーマンを切り替えながら進める『Marvel‘s Spider-Man 2』。アクロバティックなバトルと「ウェブ・ライン」によるステルスアクション、そして、広くなったフィールドをハイスピードな移動で探索できる楽しみなど、シリーズの醍醐味がより進化した。ハプティックフィードバックの作り込みも上々で、バトルや移動の臨場感を高めてくれる。
メインストーリーは中だるみすることなく、テンポよく進められる。物語を進めるだけなら、ゆっくりプレイしても20時間程度。もちろん、サブクエストの量はかなり豊富なので、無限にやり込むこともできるだろう。