PlayStation 5 / PlayStation 4用ソフトウェア『Marvel's Spider-Man:Miles Morales』の主人公は、“新米スパイダーマン”として活動する「マイルズ・モラレス」。先輩スパイダーマンの「ピーター・パーカー」にヒーローとしてのイロハを教わりながら、ともにニューヨーク・マンハッタンの平和を守っている。
ところが、ある日、ピーターは仕事兼バカンスで数週間ニューヨークを離れることになる。先輩スパイダーマンが不在の間、街は新人スパイダーマンに託された。
「1人でやれる自信がない」
そう弱音をこぼしつつも、マイルズは、ピーターの留守を預かることを誓う。
ピーターが不在でもマンハッタンの日常は変わらない。武器の密輸に強盗など、右も左も犯罪だらけだ。そのうえ、ハイテク犯罪集団「アンダーグラウンド」の企みに気づいたり、エネルギー企業「ロクソン」のきな臭さを感じ取ったりと、騒動に巻き込まれていくマイルズ。はたして、新米スパイダーマンは街の平和を守れるのか。
高層ビルの間をハイスピードで駆ける爽快感が気持ちいい
同作の魅力は、なんといってもフィールドを駆け回る爽快感。ウェブと呼ばれるクモの糸を貼り付け、高層ビルの間をすり抜けていくスリリングさがたまらない。リアルなグラフィックのマンハッタンをハイスピードで自由に動き回れば、まるで自分がスパイダーマンになった気分が味わえるだろう。
高速移動中のビルに激突しそうな瞬間なんかは、迫力がありすぎて怖いくらいだ。ジェットコースターやフリーフォールといったアトラクションに乗るときの、みぞおちあたりが“ヒュン”ってなる感じとでも言えばいいだろうか。どんな高さのビルから飛び降りても、スパイダーマンはケガひとつしないのだが、地面に激突しそうになる瞬間はちょっとドキッとする。
ゲームでは、そのスピード感を思う存分体験できるよう、さまざまなアクションシーンが用意されている。
たとえば、猛スピードで移動する逃走車に飛び乗って、運転する犯人を捕まえるといったシーン。走る車の上で犯罪者の攻撃を避けつつ、器用にウェブで犯人を拘束する。車から振り落とされてしまったら、ウェブを駆使して再び追跡。迫力満点のチェイスは興奮必至だ。ほかにも、事件現場に素早く駆け付けるシーンなど、プレイヤーはスパイダーマンを操作して、とにかくマンハッタンのあちこちを駆け巡る。
移動コマンドはそこまで難しくはないので、ゲーム初心者でも気持ちよくマンハッタンを飛び回れるはずだ。
スパイダーマンらしいアクションも豊富。敵のアジトに潜入するときには、壁や天井に張り付いたり、建物のダクトを移動したり、クモの糸を垂らしてぶら下がったりと、幅広い“スパイディーな動き”を活用しながら進む。
アクロバティックなバトルアクションが楽しい
もちろん、ゲームの目的はニューヨーク観光ではない。あちこち移動するだけでも楽しいが、スパイダーマンのミッションは街の平和を守ること。犯罪者がいたら、とりあえずボコボコにする必要がある。
そのときのバトルアクションは、かなりアクロバティック。しゃがんだ状態から飛び上がってキックを放ったり、敵の股の下をくぐって背後に回ったり、壁に飛び移ってからドロップキックしたりと、新米スパイダーマンは目で追えないほど動き回る。
しかも、ほとんどの場合、スパイダーマンは複数のヴィランたちを相手に、大立ち回りを演じる。少ないときでも4~5人、多いと30人くらいはいるだろう。複数の敵に囲まれると不利な状況に陥ってしまうが、ずっと正面からの殴り合いを続ける必要はなく、危険を察知したら天井にウェブを放ち、すぐに緊急離脱すればいい。
フィールドを縦横無尽に動き、ときには戦略的撤退後に一度身を隠し、相手を翻弄しながら戦う。それがスパイダーマン流バトルスタイルだ。どんなに多勢に無勢でもスパイダーマンは屈しない。
己の拳だけでなく、ホログラムで相手を惑わすドローンや遠くから投げて設置する地雷といった多彩なガジェットを駆使すれば、戦闘をより有利に進めることができるだろう。
さらに、フィールドにあるゴミ箱やマンホールなど、街中のさまざまなものが武器に早変わり。遠くにあるゴミ箱をウェブで引き寄せて、相手にぶつけるといった芸当で相手の意表をつく。
ただ、実際にバトルが始まると、上下左右あらゆる方向から攻撃が飛んでくるのでテンパってしまい、ついつい「敵が倒れるまで殴るのをやめないッ!」マンになってしまうことが多かった。
さらに、獲得した経験値によってスキルを開放していくと、新米スパイダーマンは強力な力に目覚める。「ヴェノム・パワー」と名づけられる帯電攻撃や、「カモフラージュ」と呼ばれる透明化だ。
ヴェノム・パワーを使えば相手をひるませられるうえに、ガードのうえからでも大ダメージを与えられる。また、敵に囲まれたときに緊急離脱して身を潜めたあと、カモフラージュを発動して透明化すれば、敵の目を欺きつつ、背後からの「ステルスフィニッシュ」も行える。
物語を進めていくと、兵器などを使って襲ってくる強力なヴィランも現れるので、何も考えない正面突破のパワープレイだけではうまくいかない場面が出てくるだろう。そのため、シーンに応じて多彩な技を使い分けることが必要になってくる。そんな戦術の工夫もおもしろさの1つだ。
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ゲームを進めると、スパイダーマンのスーツも増えていく。見た目だけでなく、「ダメージ軽減」や「ヴェノム・スタン中の敵にダメージを与えるとライフ回復」、「ステルス中に見つかりそうになったらカモフラージュを自動で発動する」など、さまざまな効果も
巣ごもりしながら街に出かけよう! 美しいマンハッタンは隅々まで探索する価値あり
メインストーリーだけを一直線に進めると、ゆっくりやっても10時間前後でクリアできるだろう。ストーリーのボリューム的には、映画1本分といったところ。だが、もちろんメインストーリー以外の楽しみも多い。
『Marvel's Spider-Man:Miles Morales』には、「タイムカプセル」「音源サンプル」「絵はがき」など、マンハッタンの街のあちこちを巡って、まるで宝探しのように課題をクリアするサブクエスト要素が用意されている。街並みを眺めながら、宝探しを楽しむのもいいだろう。
「親愛なる隣人スパイダーマン」アプリに届く依頼の解決もスパイダーマンの役目。盗難車の探索から、迷い猫探しまで、マンハッタンの住民はさまざまな問題を抱えているので、困っている人がいたら助けてあげよう。
また、街の治安は最悪だ。リアルタイムで次々と犯罪が発生する。目の前で犯罪者がイキっていたらいざ成敗。突発的に発生する事件については、「親愛なる隣人スパイダーマン」アプリに情報が届き、相棒の「ガンケ・リー」がサポートしてくれる。マップで場所を教えてくれるので、現場へ向かおう。ストレス発散がてらボコボコにしたらいい。
犯罪であふれるマンハッタンだが、レイトレーシングで描かれる街並みの美しさには息をのむ。ゲーム内はクリスマスシーズンなので、街はきらびやかな装飾が施されており、キラキラと輝いて見える。
ビルの屋上から眺める夜のマンハッタンは、まさに絶景。思わずフォトモードで記念撮影したくなる。特にマンハッタンの南側、ウォール・ストリートあたりは高層ビルが立ち並んでおり、一番高い建物の先端までのぼることができた。
2021年になっても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、なかなか外に出かけられない日が続く。気軽に旅行やイベントなどに参加できるようになるのは、まだまだ先になりそうだ。だが、『Marvel's Spider-Man:Miles Morales』なら、巣ごもりしながらマンハッタンを隅々まで探索できる。実際に街の装飾やショップの様子など、いろいろとチェックしてみた。
散策してみると、同じマンハッタンでも、ハーレムやミッドタウンなど、場所によって雰囲気が異なることに気づく。ショッピングセンターなどが多くにぎやかな場所もあれば、オフィス街のような場所もあって、散歩しているだけでも楽しめるだろう。スパイダーマンのファンがいたら握手を交わすなどのコミュニケーションも可能だ。
また、建物は基本的に入れないようになっているが、カーテンをしていない家が多かったので、ガラス越しの“お宅拝見”はできる。家具設置済みの賃貸なのか、同じ建物には同じソファを置いてある家が多い。たまにオシャレなインテリアを見かけると、なんだかうれしくなる。
マンハッタンは行ったことがないので、どの程度現実の施設とリンクしているかはわからなかったが、よく訪れる人であれば、見たことのあるショップや通りを楽しめるかもしれない。巣ごもりしながら海外旅行気分を味わえる『Marvel's Spider-Man:Miles Morales』で、マンハッタンを歩いてみてはいかがだろう。
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