Xiaomi(シャオミ)のハイエンドスマートフォン「Xiaomi 13T Pro」が12月上旬以降に日本でも発売されます。SIMフリー版(オープンマーケット版)とソフトバンク版が発売予定の本機種は、約19分でフル充電できるという急速充電や高画質カメラが特徴です。
今回は開発中の試作機をお借りして、一足先に試用しました。一部、まだ製品版の最終仕様ではない部分もあるため総合的な評価は控えますが、目玉となる急速充電やカメラ機能を中心にご紹介します。
「Xiaomi 13T Pro」のスペックや外観を紹介
はじめに、そもそもXiaomi 13T Proはどんなスマートフォンなのか、スペックや外観を確認していきましょう。まずは主な仕様(ソフトバンク版)を以下にまとめました。
- OS:Android 13
- SoC:MediaTek Dimensity 9200+
- メモリ(RAM):12GB
- 内部ストレージ(ROM):256GB
- 外部ストレージ:非対応
- ディスプレイ:6.7インチ 有機EL 2,712×1,220ドット
- アウトカメラ:約5,000万画素(広角)+約5,000万画素(望遠)+約1,200万画素(超広角)
- インカメラ:約2,000万画素
- 通信方式:5G/4G
- SIM:nanoSIM/eSIM
- Wi-Fi:IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax(6GHz対応)
- Bluetooth:5.4
- バッテリー:5,000mAh
- 外部端子:USB Type-C
- 防水/防塵:IPX8/IP6X
- 生体認証:画面内指紋認証、顔認証
- その他の機能:FeliCa(おサイフケータイ)対応
- カラーバリエーション:アルパインブルー、メドウグリーン、ブラック
- サイズ:約76×162×8.5mm(アルパインブルーのみ8.6mm)
- 重量:約206g(アルパインブルーのみ200g)
Xiaomi 13T ProはMediaTekのスマートフォン向け最上位SoC「Dimensity 9200+」を搭載します。日本市場では中~高価格帯のAndroidスマートフォンでQualcommのSnapdragonシリーズ以外を採用する機種は少数派なので相対的な性能をイメージしづらいかもしれませんが、Dimensity 9200+はArm Cortex-X3×1+Arm Cortex-A715×3+Arm Cortex-A510×4のオクタコアCPUとArm Immortalis-G715 GPUなどで構成され、処理性能としては競合する他のハイエンドSoCに迫るものです。なお、今回は最終版ではない試作機を利用しているため、ここではベンチマークスコアの公表は控えます。
ディスプレイは6.7インチと大きめで、144Hz駆動にも対応したハイエンド端末に相応しいレベルの有機ELパネルを採用します。そのほか、eSIMやWi-Fi 6E(6GHz帯)など最新のハイエンドスマートフォンとして押さえておくべきポイントは一通り網羅していますし、IP68の防水・防塵にFeliCa対応と日本市場の需要にもしっかり応えます。
なお、兄弟機の「Xiaomi 13T」もau/UQ mobileから発売予定で、そちらはSoCがワンランク下の「Dimensity 8200-Ultra」となりRAM容量は8GB、急速充電は120Wから67Wにダウンといった違いがあります。内容にそれなりに大きな差があるので価格も安めになると予想されますが、デザインやサイズは変わらず、カメラ性能もまったく同じなのがうれしいところです。
日本では「Xiaomi 11T Pro」「Xiaomi 12T Pro」から3世代続けて「T」付きのハイエンドモデルが発売されますが、実を言うとグローバルでのXiaomiの製品ポートフォリオにおいては、このT付きモデルはハイエンド・フラッグシップではありません。
2023年モデルでいえば「Xiaomi 13 Ultra」を筆頭に技術の粋を集めたプレミアムなXiaomi 13シリーズがあって、その性能・機能のエッセンスを残しつつコストパフォーマンスの良い内容に落とし込んだセカンドラインがXiaomi 13Tシリーズとなります。
そういった事情から、他のハイエンドスマートフォンと見比べると「性能と価格のバランス」は抜群なものの、外装の質感など「上位製品として、モノとしての良さ」まで求めてしまうとやや見劣りするかな、というのがこれまでのTシリーズの印象でしたが、Xiaomi 13T/13T Proはデザインにも注目です。
アルパインブルー、メドウグリーン、ブラックという3色のカラーバリエーションのうち、アルパインブルーのみ背面にヴィーガンレザーを用いており、しっとりとした手触りで手になじむ質感に仕上がっています。
樹脂製のフレームやカメラの土台部分などチープさが残る部分も無くはないのですが、メッキなどの装飾を控えたクリーンなデザインは嫌味のないものですし、フレームなどに金属素材を多用していない分、大画面のスマートフォンとしては軽め(6.7インチで200g)なことも扱いやすく好印象でした。
1%→100%の充電が19分で済む「神ジューデン」
Xiaomiは上位寄りの機種では急速充電に力を入れており、日本では昨年のXiaomi 12T Proを皮切りに、取扱キャリアであるソフトバンクが「神ジューデン」と銘打って充電性能をアピールしています。
ちなみに、神ジューデンはメーカー側の呼称ではなくあくまでソフトバンクのものなので、OPPO Reno10 Pro 5Gのように他社の急速充電スマートフォンにも使われています。なんでも、ソフトバンク側としてはかつての「写メール」(前身のJ-PHONEのサービス名)のように、一般名詞化するぐらいのインパクトのあるキーワードに育てていきたいのだとか。
話を戻すと、Xiaomi 13T Proは5,000mAhもの大容量バッテリーを搭載しながら、電池残量1%から100%までわずか19分で充電できるという驚きの充電速度が売りです。
USB PDではなく独自規格での急速充電となり、「120Wハイパーチャージ対応急速充電器」と専用のケーブルが必要です。専用充電器・ケーブルは端末に同梱されているほか、Xiaomi公式サイトなどで単品での追加購入もできます。この120Wの独自規格はXiaomi 11T Proから変わっていないので、そろそろ2年で買い替えを考えている人なら前の充電器も取っておけば自宅と職場など複数の場所で充電しやすくなりそうですね。
実際に電池残量を1%まで減らして試してみたところ、公称値の通り19分でフル充電できました。これなら寝る前に充電を忘れても、朝起きてから出かけるまでの間にしっかり充電して1日我慢せず使えるでしょう。なお、フルスピードで充電するには「充電速度のブースト」という設定をONにしておく必要があるのでお忘れなく。
ライカ印ではなくともカメラ性能は一流
実は海外版のXiaomi 13Tシリーズでは、昨年まではTが付かない真のハイエンド製品にだけ与えられていたライカ監修カメラがTシリーズにも降りてきたことが最大の注目点でした。
しかし残念ながら、スマートフォン分野においてライカブランドのライセンスを同時期に受けられるのは1市場1社限りとされているため、すでにシャープがライセンス契約を結んでいる日本市場ではXiaomi 13T/13T Proは「ライカなし」仕様での登場となりました。
余談ですが、同様の事情でシャープの海外向けモデル「AQUOS R8s pro」「AQUOS R7s」などもライカブランドではない仕様で各市場に投入されています。
Xiaomi 13T Proのカメラは、1/1.28インチの大型センサーを採用した5,000万画素のメインカメラに、センサーサイズは異なるものの同じく5,000万画素の2倍望遠、1,200万画素の超広角という3眼構成。先代のXiaomi 12T Proには望遠カメラがなかった(3番目がマクロ用だった)ので、対応できるシーンの幅が広がったのは良いところです。
以下に作例をいくつか添えておきますが、「ライカ印」でなくともそのカメラ性能は確かです。ハードウェア的にデチューンされているわけではありませんし、ソフトウェアにしてもライカ監修の有無はあれどチューニングのノウハウはXiaomi側の技術陣に蓄積されているわけですから、目に見えてレベルが下がるはずはないでしょう。わかりやすい違いはライカ特有の写りを再現する画質モード「Leica Authentic」が搭載されないことぐらいで、ライカの看板は掲げられていなくても、カメラ重視のスマートフォンとしては変わらず十二分に高い実力を備えています。