ロスレス再生とは、ロス(損失)がない再生方法、具体的には「オリジナルのオーディオデータを正確に再生」することです。音源と出力装置(イヤホンなど)両方をロスレス対応にしなければならないため、整理してみましょう。

ロスレス再生の音源には、WAVなどのデータ圧縮されていない音源(リニアPCM音源)、またはデータを損なうことなく圧縮/復元できる音源(ロスレスコーデックで圧縮された音源)が必要です。大半の楽曲がALAC(Apple Lossless)で提供されているApple Musicなど、ロスレス音源をサポートしたストリーミングサービスを利用することが近道です。

イヤホンなどの出力装置には、USB-DACと呼ばれる周辺機器かLightningまたはUSB-C直結のイヤホンが必要です。USB-C直結のイヤホンは端子部分に小型のUSB-DACが内蔵されており、オーディオ信号を処理するプロセスとしては両者に大きな違いはありません。

iPhone 15シリーズを例にすると、Apple MusicやAmazon Musicなどロスレス音源をサポートしたストリーミングサービスと契約したうえで、2023年に端子がLightningからUSB-Cに変更された「EarPods」のようなイヤホンを用意することになります。

なお、AirPodsなど現在人気のBluetoothイヤホンは、圧縮前と展開後のデータが完全には一致しない非可逆圧縮で送信されるため、ロスレス再生にはなりません。一部のAndroid端末とBluetoothイヤホンでは、ロスレスコーデックに対応した製品が登場していますが、Bluetoothで使えるロスレスコーデックがサポートされていないiPhoneには関係のない話です。

  • iPhoneで「ロスレス再生」するためには、音源と出力装置の両方を準備する必要があります(写真はロスレス再生可能なEarPods(USB-C))