10月4日、Googleの新型スマートフォン「Pixel 8」「Pixel 8 Pro」が発表されました。いずれも10月12日に発売予定で、価格はPixel 8が112,900円から、Pixel 8 Proは159,900円から。本記事ではどちらを買うかお悩みの方向けに、両機種の主な違いを整理してお伝えします。

  • Pixel 8とPixel 8 Proの違いは?

    Pixel 8(画像左)とPixel 8 Pro(右)の違いは?

なお、共通事項に関しては見やすくするために説明を省略している部分もありますので、各機種の詳細については発表時のニュース記事もあわせてご覧ください。

サイズやデザインの違い

スタンダードなPixel 8に対して、一部の機能・性能をさらに強化した上位モデルがPixel 8 Proです。同時に画面サイズや本体サイズの違いもあるため、大きく分ければ「大きさの好み」「求める性能」それから「デザインの違い」あたりが決め手になるでしょう。iPhoneの無印/Plus/Pro/Pro Maxの関係に当てはめれば、無印とPro Max相当の2択に近いです。

まずはサイズから見ていくと、Pixel 8は画面サイズ6.2インチで本体サイズが約150.5×70.8×8.9mm/約187g、Pixel 8 Proは画面サイズ6.7インチで本体サイズが約162.6×76.5×8.8mm/約213gです。

  • Pixel 8はPixel 7より若干小型化され、Zenfone 10などの小型スマホを検討している人も購入候補になり得るサイズ

    Pixel 8はPixel 7より若干小型化され、Zenfone 10などの小型スマホを検討している人も購入候補になり得るサイズ

Pixel 8に関しては、大画面化や高性能カメラの搭載などによって大型化・重量化が進む昨今のフラッグシップ級Androidスマートフォンのなかでは小柄な部類です。実は先代のPixel 7よりもわずかに小型化されており、明確にコンパクトモデルとして位置付けられている「Zenfone 10」「Xperia 5 V」あたりに迫るサイズ感なので、小型スマホを望む方が選んでも満足度は高いでしょう。Pixel 5以前からの買い替えにもマッチしそうです。

一方、Pixel 8 ProはPixel 8と比べればサイズの差は大きいですが、昨今のフラッグシップモデルとしては平均的。大画面で動画やゲームを楽しみたい方ならこれぐらいの画面サイズがあると良いかと思います。Pixel 6シリーズやPixel 7シリーズではProのみ画面の左右がカーブしたエッジディスプレイになっていたので数値上の画面サイズの大きさがコンテンツの視聴体験に活きにくい部分もありましたが、今回からProもフラットディスプレイになったので単純にサイズの違いが効いてきます。

  • Pixel 8 Proは6.7インチ。今回からディスプレイがフラットになり、大画面を活かして動画などのコンテンツを楽しみやすそう

    Pixel 8 Proは6.7インチ。今回からディスプレイがフラットになり、大画面を活かして動画などのコンテンツを楽しみやすそう

ちなみに、8と8 Proのディスプレイは細かく見ればサイズ以外にも仕様の違いがあり、高輝度のLTPO OLEDを採用しているProのほうが画質は一歩上と予想されます。表面の強化ガラスもGorilla Glass VictusとVictus 2で差別化されていますが、これはどちらもトップクラスに高耐久なものなのでバージョン違いでダメージが大きく変わるケースは少ないでしょう。

メタルフレームとガラス製の背面パネルを組み合わせ、Pixel 6以降の顔として定着しつつあるカメラバーを配した外装の基本的なデザインは共通ですが、仕上げは各機種で異なります。Pixel 8はマット仕上げのアルミフレームに光沢のあるガラス、Pixel 8 Proは光沢の強いポリッシュ仕上げのアルミフレームとマットガラスという組み合わせで、質感の組み合わせが逆になっているので印象が変わります。

カラーバリエーションもObsidian(黒)以外はそれぞれ異なり、8にはHazelとRose、8 ProにはPorcelainとbayというカラーが用意されます。

  • Pixel 8のカラーバリエーション。左から順にRose、Hazel、Obsidian

    Pixel 8のカラーバリエーション。左から順にRose、Hazel、Obsidian

  • Pixel 8 Proのカラーバリエーション。左から順にPorcelain、Bay、Obsidian

    Pixel 8 Proのカラーバリエーション。左から順にPorcelain、Bay、Obsidian

基本性能の違い

CPU、GPU、モデムなどを内包するスマートフォンの心臓部・SoCは、どちらも第3世代のGoogle独自チップ「Tensor G3」を搭載しており共通です。同じくGoogle独自のセキュリティチップに関しては、Pixel 6から使われている「Titan M2」を引き続き搭載します。

ただし、メモリやストレージの容量は異なり、Pixel 8はメモリ8GB+ストレージ128GB/256GB、Pixel 8 Proはメモリ12GB+ストレージ128GB/256GB/512GBとなります。

  • Google独自SoC「Tensor」も第3世代に進化

    Google独自SoC「Tensor」も第3世代に進化

バッテリー容量は4,575mAhと5,050mAhで1割ほど違いがありますが、これは画面サイズの違いによる消費電力の差で吸収される程度ということか、公称の電池持ち時間はどちらも「24時間以上」(スーパーバッテリーセーバー使用時72時間)でまったく同じです。

処理性能や駆動時間で差は付かないとわかったところで通信性能に目を向けてみると、5Gのミリ波(n257)に対応するのはProだけという差があります。ただ、日本国内の各キャリアのミリ波展開状況を考えると利用シーンはごく稀で、購入の決め手としては弱いように思います。それ以外の対応バンドは日本で使える部分では変わりません。

処理性能・電池持ち・通信性能に関しては大きな違いはなく、他の部分で気に入った方を選んで良いでしょう。

ちなみに、Proだけにある少し珍しい機能として、温度センサーが搭載されており、対象物に5cmぐらいまでスマートフォンを近付ければ非接触温度計のようなことができます。

カメラの違い

Pixelシリーズといえば、カメラの性能・機能は代々力を入れてきた部分です。Pixel 8/8 Proは背面のメインカメラ(広角)とフロントカメラのスペックは共通で、ハードウェアとしては超広角カメラと望遠カメラに違いが見られます。

  • 望遠カメラを搭載するのはPixel 8 Proだけ。細かい点ではレーザーAFの検出ゾーン数にも違いがある

    望遠カメラを搭載するのはPixel 8 Proだけ。細かい点ではレーザーAFの検出ゾーン数にも違いがある

まず超広角から見てみると、Pixel 8は約1,200万画素(画素ピッチ1.25μm)のセンサーに画角125.8度・F2.2のレンズ、Pixel 8 Proは約4,800万画素(画素ピッチ0.8μm)のセンサーに画角125.5度・F1.95のレンズという仕様です。使われているセンサーの違いはスペック上は目立つものの、従来はProのみだった超広角カメラのオートフォーカスとマクロモードがPixel 8にも搭載されており、差は縮まったといえます。

一方、望遠に関してはPixel 8 Proのみ光学5倍相当の望遠カメラ(約4,800万画素 ピクセル幅0.7μm F2.8)を搭載しており、Pixel 8はメインカメラのデジタルズーム(超解像ズーム)で対応することになります。5倍撮影時の画質も差が付くでしょうが、Proの5倍望遠に超解像ズームをかければ最大30倍まで撮れる(Pixel 8は最大8倍)というのも大きな違いです。

また、AIや画像処理技術を活用した撮影モード・編集機能についても、使える機能に若干違いがあります。目玉機能の「ベストテイク」「編集マジック」「音声消しゴムマジック」あたりはどちらの機種でも使えますが、マニュアル撮影ができる「プロ設定」、動画を後処理で鮮明にする「動画ブースト」、静止画で好評のモードを動画にも持ち込んだ「ビデオ夜景モード」はPro専用です。特に動画をよく撮る人でPixelならではの機能の恩恵をフルに受けたいならPixel 8 Proを選ぶべきでしょう。

価格の違い

駆け足ではありますが、Pixel 8とPixel 8 Proの主な違いを一通りチェックしました。とはいえ、やはり最終的には良い機種を選びたくてもお財布と相談して……という方が多いはず。

Pixel 8は128GB/256GBモデルの2種、Pixel 8 Proは128GB/256GB/512GBモデルの3種で、Google ストアで販売される直販SIMフリーモデルの価格は下表のとおりです。

機種 128GB 256GB 512GB
Pixel 8 112,900円 122,900円
Pixel 8 Pro 159,900円 169,900円 189,900円

全体的に前世代と比べて値上がり傾向にありますが、恒例となっている好条件の下取りの利用も含めて検討してみてはいかがでしょうか。あるいは残価型割引プログラムの利用を前提にキャリア版を選ぶという手もあります。各キャリアの価格や割引については、発表があり次第、引き続きお伝えしてまいります。