米Microsoftは10月3日(現地時間)、「The future of file management is here」というイベント開催し、クラウドストレージ「OneDrive」の新世代サービスを発表した。「Fluent Design」を用いてデザインを刷新、ファイルやドキュメントの整理/検索/共有・利用を改善し、さらにAIアシスタント「Copilot」を導入する。Fluentデザインによる新しいOneDriveの機能の一部は、3日よりBusinessプランのOneDrive.comで体験できる。

OneDriveの第1世代サービスは、クラウドにファイルを置くことで、どこからでもファイルにアクセスできるようにした。そして第2世代で、クラウドで保管するファイルを安全かつシームレスに同期し、共有・コラボレーションできる環境を整えた。モバイル時代が成熟期を迎え、クラウドでファイルを管理し、必要に応じてデバイスに同期するのがモバイル・PCユーザーの基本的なファイル管理方法として定着しており、OneDriveには毎日20億近いファイルが追加されるようになった。ユーザーは、大量のファイルを効率的に整理・管理し、必要な情報を迅速に検索、そして様々なアプリやサービスを通じて共有・コラボレーションする環境を求めている。OneDriveの第3世代(OneDrive 3.0)は、このような要求を満たすため、Microsoft 365全体で一貫性のあるリッチなファイル体験を提供することを目指している。

新デザインには、「Home」をはじめ、様々なビューが用意されている。HomeはAIを用いてユーザーにとって必要性が高いと思われるファイルを表示するパーソナライズ機能「For you」と、最近のファイルを一覧表示する機能が組み込まれている。

OneDrive、Teams、またはその他の場所にあるファイルも、OneDriveを通じて一元的に管理・検索が可能である。例えば、特定のファイルをお気に入りとしてマークすると、OneDrive、Teams、Windows 11のエクスプローラー、Microsoft 365アプリなどのお気に入りリストからアクセスできるようになる。また、共有ビューでは、ファイルがどこで共有されたか、誰が共有したか、内部共有か外部共有かに関わらず、共有状況を一目で確認でき、共有されているファイルを簡単に探し出せる。

共同作業において、ファイル名よりも共同作業者の印象が強く残ることは多い。ピープル・ビューを使うことで共有相手や共同作業者ごとにファイルが整理され、人を中心に関連するファイルに素早くアクセスできるようになる。

Web版のOneDriveで「Open in app(アプリで開く)」機能が利用できるようになる。PC内のWordファイルからWordのデスクトップアプリを開いて編集できるように、OneDriveのクラウド内にあるファイル(Word/Excel/PowerPoint、PDF、JPEG、MP4など)から対応するデスクトップアプリを開いて作業し、保存するとOneDriveに同期される。これは今年後半に利用可能になる予定だ。

さらに、OneDrive内で直接、「Add New」ボタンを押して新しいドキュメントを作成したり、様々なテンプレートから選択して作業を開始することも可能となる。この機能のリリースは、2024年夏を予定している。

オフライン機能も強化される。これまでオフラインで使用するファイルまたはフォルダを選択するには、WindowsのファイルエクスプローラやMacのFinderを利用する必要があったが、Web版のOneDrive上でも選択できるようになる。この機能の導入は2024年初頭を目処としている。

ファイルがオフラインアクセス可能な場合、オフライン状態でもブラウザでファイルを開いて作業できるようになる。オフラインで行った変更は、次回のインターネット接続時にOneDriveへ自動同期される。また、インターネットに接続せずとも、ブラウザ上のOneDriveでファイルの閲覧、並べ替え、名前変更、移動、コピー、削除などの基本操作が可能となる。これらオフライン・モードは2024年初頭に提供を開始する予定である。

OneDriveのCopilotは、Microsoft 365のCopilotライセンスを持つ顧客を対象に、12月までに提供を開始する予定だ。自然言語による会話を通じて、AIチャットボットに検索や情報収集を頼める。例えば、「XXプロジェクトについてベンが先週共有したファイルを見せて」というリクエストをCopilotに伝えると、ファイルをまとめてくれるので、それらの内容の要約を頼むことも可能だ。

しかし、これは始まりに過ぎない。Copilotがより深くユーザーの意図や環境を理解しながら対話を進め、コンテンツへのアクセスや管理、利用がこれまで以上に簡単になるように発展させていく。上の例だと、ベンが共有したファイルを集めるだけではなく、Copilotがユーザーの検索の意図やプロジェクトの内容を汲み取って、他の関連するファイルを提案する。それによって、シンプルな検索からプロジェクトに関するファイルや情報を集めた資料を短時間でまとめられる。