Windows 10時代は「切り取り領域とスケッチ」に置き換わる予定だったSnipping Toolだが、ここに来て機能強化を重ねている。たとえば2023年の年初には動画撮影に対応。筆者は業務で動画ファイルを使用する場面はほぼないため、検証以上には使い込んでいないが、便利に活用しているユーザーもいるだろう。
Snipping Toolが続いて搭載する新機能は、OCRだ。公式ブログによると、ディスプレイに映し出されたアプリやスクリーンショットから任意の範囲を指定すると、その内容をテキスト化してクリップボードに取り込み、ほかのアプリで利用できるというもの(もちろんテキスト化が可能なものに限られる)。コピー&ペーストを禁止したドキュメントや、ドキュメント内の表を分割して再利用する場面で有益である。
この機能、スクリーンショットを作成してからSnipping Toolに加わったテキストアクションボタンを押すと、OCR機能が働いてテキスト化する仕組みだが、メールアドレスや電話番号をマスキングする機能も用意する。今回は日本語の読み取り精度を見るために日本語サイトで試してみたが、英文は問題ないものの、日本語は大半の文字列に半角スペースが加わり、再利用には少々厳しい結果だった。
現時点ではPowerToysの「Text Extractor」を使用したほうががよい。ただし、OCR用言語パッケージをインストールしても日本語・英語の同時取得は難があり、実行時は各ウィンドウの描画を一時停止するため、動画サイトを視聴しながら実行すると動画が停止してしまうことも。Windows InsiderのCanarチャネルおよびDevチャネルへの展開が始まった段階では手厳しい評価かもしれないが、現時点でOCR機能に関する設定も見当たらず、使用言語に応じた微調整が加われば興味深い機能になりそうだ。
他方で、ペイントには「背景の削除」が加わった。画像内の被写体を検出して、背景部分を取り除く機能だ。どのようなロジックで動作しているのか公式ブログでも説明していないが、試した限りでは問題なく動作する。
また、別の公式ブログを見ると、フォトアプリに背景をぼかす機能が加わったようだが、筆者の環境では発見できなかった。背景に対する加工という意味では同種のため、ベースの仕組みとしては同じものかもしれない。
一連のアプリに今後加わる新機能はユーザーの利便性を高める有用なものだが、あくまでもアプリを対象にしたものであって、Windows 11本体の改善ではない。このあたりは開催セッションを明らかにしていないので希望的観測の域を出ないが、AIを主題とする2023年11月開催予定のMicrosoft Ignite 2023に注目している。一般的なWindowsユーザー向けに何らかの新しい情報が発表されたら、この連載でもご報告したい。