パナソニックは9月13日、マイクロフォーサーズ規格のミラーレスカメラ「LUMIX G9 PRO II」を発表しました。見た目や操作系がLマウントの「LUMIX S5II」と同じになったのが驚きですが、機能や装備もLUMIX S5II譲りの内容に強化。LUMIX史上最強の手ぶれ補正機構や、ライカとの協業で実現したモノクロ撮影など、LUMIX S5IIを超える部分も。「パナソニックはもうマイクロフォーサーズに注力しないのでは…」の心配を一蹴し、マイクロフォーサーズファンの期待に応えるLUMIX G9 PRO IIの魅力をいち早くチェックしました。
価格はオープンで、予想実売価格はボディ単体モデルが230,700円前後、標準ズームレンズ「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」が付属するレンズキットが303,900円前後。発売は10月27日です。
機能や装備はLUMIX S5IIを上回る部分も
製品名から分かるとおり、LUMIX G9 PRO IIは2018年1月に発売したマイクロフォーサーズ機「LUMIX G9 PRO」の後継モデルです。しかし、LUMIX G9 PROの面影はまったくなく、デザインや操作性、装備はLマウントのフルサイズミラーレス「LUMIX S5II」そっくりに一新。「LUMIX S5IIのマイクロフォーサーズ版」と表現するのがふさわしい改良になりました。
事実、機能や装備はさまざまな点がLUMIX S5IIと共通に仕上げられています。おもなLUMIX S5IIとの共通点は以下の通りです。
- 像面位相差AF
- 新世代のヴィーナスエンジン
- リアルタイムLUT
- 進化した人物認識、動物瞳認識
- 車、バイク認識
- バッテリーグリップ「DMW-BG1」(LUMIX S5IIと共通で使える)
- アクティブI.S.
- 8方向ジョイスティック
一方で、LUMIX S5IIにはないLUMIX G9 PRO IIだけの特徴も存在します。
- 新開発の2500万画素CMOSセンサー
- プリ連写
- 5軸8段分相当のボディ内手ぶれ補正機構
- USB-SSD記録
- フォトスタイルに「ライカモノクローム」を追加
- ダイナミックレンジを広げるダイナミックレンジブースト
本体は、重量を除いてLマウントのLUMIX S5IIとまったく同じボディを採用しています。設計のコストダウンのためではなく、「2つのマウントを使い分ける人に最適な操作環境を提供したい」という思いによる設計です。LUMIX S5IIは、ペンタ部に冷却ファンを内蔵していましたが、LUMIX G9 PROはファンではなく、ボディ内手ぶれ補正機構用のジャイロセンサーに置き換わっています。ボディは、LUMIX S5IIと同じく防塵防滴構造を採用します。
大きなポイントが、マイクロフォーサーズのLUMIX Gシリーズ初の像面位相差AFの搭載。リアルタイム認識AFは動物の瞳認識や車・バイクの認識にも対応し、大幅に改良されました。センサーは、有効画素数はこれまでの2,000万画素から2,400万画素に向上。画素ピッチが狭くなることで高感度撮影時の画質が気になるところですが、センサー自体の改良や新画像処理エンジンのおかげで、描写性能はしっかり維持しています。
ボディ内蔵の手ぶれ補正機構は、補正効果が8段分相当に高まったほか、アクティブISに対応して歩きながらの大きな揺れの補正効果を高めています。8段分の補正効果は、「これ以上の補正は地球の自転の影響を受けてしまうほど」で、現在最上級の補正効果といえます。
LUMIX S5IIにはない機能の1つとして、プリ連射が挙げられます。さかのぼりの秒数を0.5/1/1.5秒から選べるようになり、より決定的瞬間をとらえやすくなりました。
さらに、フォトスタイルに「ライカモノクローム」を追加したのもポイント。これはライカとの協業による改良点の1つで、ライカの味のモノクロ撮影が楽しめます。
新たに、バッテリーグリップ「DMW-BG1」をオプションで用意しています(予想実売価格は38,300円前後)。このバッテリーグリップはLUMIX S5IIと共通なので、LUMIX S5IIユーザーにとっても待望のオプションといえます。
このように、評価の高いLUMIX S5IIと同じ小型ボディや位相差AF、リアルタイムLUTなどの機能を継承しつつ、プリ連写や強力な手ぶれ補正機構、ライカ風味のモノクロ撮影機能などを追加したLUMIX G9 PRO II。特にスチル撮影派には注目の1台となりそうです。