マウスコンピューターが、「親子パソコン組み立て教室」を開催した。コロナ禍の影響で2020年より中止していた人気イベントだったが、ようやく再開。実に4年ぶりの開催となる。2023年7月29日、長野県飯山市にあるマウスコンピューターのPC製造工場「マウスコンピューター飯山工場」に、応募抽選で選ばれた全国の小学6年生とその保護者(2名1組)の親子ペア30組が集まり、BTOパソコンの組み立てを通じて「ものづくり」の楽しさを体験した。

  • 4年ぶり復活のマウス「親子パソコン組み立て教室」を見に飯山工場へ行ってきた

    「親子パソコン組み立て教室」の会場となったマウスコンピューターの飯山工場(長野県飯山市)

子どもと一緒に親子で取り組むマウスコンピューターの「親子パソコン組み立て教室」は、2020年の休止までは毎年夏に開催していた夏休みの恒例イベント。今年も従来と同様に、イベント当日に至るまでにも、組み立てるパソコン選びから構成まで、親子で相談しながら選ぶことで、組み立てる前からパソコンに親しめ、イベント当日には工場見学、パソコンの部品の解説や実際の部品集め、組み立て体験を通して、パソコンの知識を深めることやものづくりの楽しさを感じてもらうことを狙いとしている。

今年の組み立て教室の開校にあたり、同社の小松永門社長は集まった子ども達に向け、「モノをつくる楽しさを感じてほしい。今回ひさしぶりの教室なので、先生(同社スタッフ)がちょっと慣れてないこともあるかもしないが、夏休みの貴重な1日が、有意義な体験になるよう心から願っています」と話した。また、「つくることは楽しいけれど、ものづくりはつくるだけではなくて、準備や検査、後片付けだったり、つくる前後にいろんな工程があって、そういった全部が大事なんだということも知ってほしい」とも説明していた。

  • マウスコンピューターの小松永門社長。「ものづくり」の楽しさを体験してほしいと話していた

開校式には飯山市の江沢岸生市長も同席していた。江沢市長は、「今回の参加者の方、県外のから人も多いと聞きましたので、飯山のことを少し紹介させてください」として、飯山工場が立地する長野県飯山市の魅力をアピールしていた。「うさぎ追いし彼のやま、こぶな釣りし彼の川……」とは、童謡・唱歌「故郷(ふるさと)」の歌い出しだが、曰く、「実は飯山は、『故郷』のふるさとなのです。故郷を作詞した国文学者の高野辰之先生は、今から137年前に、飯山市で生まれました。まさに、故郷で歌われた情景が、飯山市の持ち味なのです」という。江沢市長は「パソコンの組み立てで悪戦苦闘した後は、飯山を少し楽しんでから帰ってください」と笑顔で語っていた。

  • 当日は飯山市の江沢岸生市長も駆け付けた。JR飯山駅から飯山工場へ向かう道すがら、千曲川(信濃川)を橋で渡るのだが、「千曲川の全長は365キロ、その川のちょうど真ん中にあるのが、今日皆さんが渡ってきた橋で、なんと中央橋といいます。その中央橋の全長は365メートルなんですよ」と笑顔で豆知識を教えてくれたりも

  • 今年の組み立て教室の校長先生を担当したのは、飯山工場スタッフの高橋さん

組み立て教室は、まずはパソコンの仕組みや、中身を構成する部品の役割を学ぶ座学からスタート。飯山工場で生産管理を担う先生が集まった親子に講座を開いた。内容は例えばCPUは頭脳にあたり、メモリは作業机などど、部品の役割を人間の活動になぞらえて、子どもにもわかりやすく解説していた。他にもHDDの実物を分解、内部の磁気ディスクを手に「ここに磁気でデータを記録している」と、実感を伴って仕組みを理解できるようにも工夫していた。

  • 組み立て前に、まずはパソコンの仕組みや中身を学ぶ座学講座。講師陣は現役バリバリの生産管理スタッフだけに、解説は正確でわかりやすい

講座は実際、子ども達にも好評だったようで「先生の話がわかりやすかった」「仕組みがわかって嬉しい」という声が聞かれたほか、一緒に参加した親側からも「学校ではプログラミングの授業があったりするけど、パソコンの中を見る機会はなかなかない。実際に触れて学ぶと理解度がちがう。よい取り組みだと思います」という感想が出ていた。

  • 普段はなかなか見る機会のないパソコンの中身に触れて学べる講座だった。HDDも分解して、鏡のようなの磁気ディスクや、そこからデータを取り出す物理シークバーなどを見せていた

座学が終わったら、お待ちかねのパソコン組み立てだ。マウスコンピューターの飯山工場では、パソコン完成までの生産工程を1人で受け持つセル生産方式を採用している。今回親子が参加した組み立て教室でもこの生産方式を踏襲し、部品ピックアップのカートとともに、工場内の倉庫から部品を集め、生産ブースで組み立て、ソフト導入&動作テストブースを経て、化粧箱へのパッケージング(と出荷というかお持ち帰り)までを一気に行っている。

  • 飯山工場における本来のパソコン生産の流れ。組み立て教室でも概ねこれに準拠した手順でパソコンを組み上げていく

  • パソコンの部品が積み上げられた飯山工場内の倉庫。ここを実際に部品ピックアップ用のカートを転がしながら歩き回ることになる。なお、以前に飯山工場を見学した時は、紙製の部品チェックシートのバーコードを読み込んで部品をピックアップしていた記憶があるが、今回はこれがペーパーレス化されてタブレット端末に進化していた

  • 倉庫で部品が集め終わったら、いよいよ組み立てブースへ移動

  • 飯山工場では生産工程を1人で受け持つセル生産方式を採用しており、今回の教室でも実際の組み立てブースをそのまま使ってパソコンをつくる。正面のモニタ画面には生産手順や注意点などが工程に応じて表示され、作業をサポート

  • 親子で力を合わせたり、先生と子どもが頑張っているところをお父さんが撮影しまくったり、それぞれのペースで楽しみながらパソコンを完成に近づけていく

パソコンは大きく分けてデスクトップPC型とノートPC型のどちらでも選べるのだが、今回の選択割合は半々といったところだろうか。近年のトレンドもあって、ゲーミングPCを選んで組み立てている親子が多かった印象だ。構成によって組み立ての難易度は違うし、親子によってパソコンへの馴染み度も違うので、完成まで苦戦する親子もいるのかな? と思ったが、先生のサポートもあり、全ての親子が無事パソコンの完成まで漕ぎ着けたようだ。

  • ハードウェアが組み合がったら、機能検査など動作のチェックのためのブースへ

  • 問題なく起動、動作した瞬間には思わずガッツポーズで喜ぶ子も。嬉しいですよね、わかります

  • 自らつくりあげた特別なパソコン。キレイに磨き上げてから梱包だ

  • 最後はパソコン組み立て教室を修了したことを証明する証書も授与。後は早く家に持って帰ってパソコンを楽しむだけ

完成したパソコンを手に、子ども達は「組み立て、楽しかった。(持ち帰ったパソコンで)動画を見たり、音楽を聴いたりするつもり」「自分のつくったパソコンだから特別」「持ち運べて、ゲームができるパソコンがつくりたかった。うまく作れて嬉しい」「勉強にも使うけど、ゲームで遊びたい。友達とゲームで遊ぶつもり」と、みな一様に"ホクホク顔"であった。なかには「性能が高いパソコンにした。これで動画をつくる予定」と言う子も……、そう、パソコンがあると色々と"クリエイティブ"なこともできるので、可能性の塊である皆さんには是非とも色んなことにチャレンジしてほしいと、組み立て教室を取材したオジサンは思ったのであった。

  • 実際に製品を生産している工場なので、工場内では注文を受けて生産中のパソコンが並んでいたり、開発にも使う大規模な検査装置を見ることもできた。プロのクリエイター向けのDAIVデスクトップや、新型ゲーミングPCのNEXTGEARなんかもズラリと並ぶ、ここはまさにマウスコンピューターの心臓部なのだ

コロナ禍を経てようやく再開した飯山工場の親子組み立て教室。今回も好評ということで、おそらく来年の夏休みの開催も期待していいのだろう。例年だと、6月には参加募集の案内があるはずだ。それではまた来年。

  • 今年は、先生の話がわかりやすいというのと、組み立ての体験が貴重で勉強になるという参加者の感想が目立った。来年も期待してます