料理をする家庭の悩みのひとつが生ごみの臭い。とくに、夏はゴミをちょっと放置するだけでも臭いが発生することも……。我が家ではエビや魚の内蔵といった「強烈な臭いを出すゴミ」は冷凍していますが、今度は冷凍庫を圧迫するという別の問題が出てきます。
この問題を根本から解決すべく、パナソニックの「家庭用 生ごみ処理機 MS-N53XD」(以下、MS-N53XD)を導入。「光熱費が高いのでは?」「臭いは大丈夫?」といった心配もあったので、MS-N53XDを実際に使って気になる疑問点をチェックしてみました。
このMS-N53XD、2023年7月からサブスクリプションサービスの対象になっています。月額2,600円、4年間の満期契約を完了すると、ユーザーの所有物となります。MS-N53XD自体の直販価格は117,200円と高価ですが、まずはサブスクで使って効果や家庭のライフスタイルに合うかどうかを確認するのもよいでしょう。詳細は直販サイト「Panasonic Store Plus(パナソニック ストア プラス)」で確認してみてください。
そもそも生ごみ処理って?
MS-N53XDの本体サイズは幅268×奥行き365×高さ550mm、重さは約12kgです。数字では大きさをイメージしにくいかもしれませんが、台所によくある「ペダル式ゴミ箱」くらいのサイズ。
最近はコンパクトサイズの生ごみ処理機もありますが、MS-N53XDは本体サイズが大きいだけに、処理できるゴミの量も2kgとかなり大容量。我が家は夫婦2人暮らしなので、最初は「ここまで大容量じゃなくてもよいのでは?」とは思いましたが、実はこの「大容量」が重要なポイントでした。
大容量でよかった点は後半に紹介するとして、そもそも生ごみ処理機はどうやってゴミを処理するのでしょうか?
生ごみ処理機には「乾燥式」「バイオ式」「ハイブリッド式」があり、MS-N53XDは取り扱いがラクな「乾燥式」です。本体のフタ部分にあるヒーターとファンで約130℃の温風を作り出し、タンク内の生ごみをすばやく乾燥させる処理方法です(そのほかの方式については割愛します)。
一回の処理にかかる光熱費は30円前後
では、実際に生ごみを処理してみましょう。まずは生ごみを標準モードで処理。処理にかかる時間は生ごみ自体の量や含まれる水分量で変わるのですが、今回は約664gの生ごみが2時間11分で終了。これは生ごみ処理機としてもかなり速いスピードです。処理後の重さは約664gから約88gまで減っていました。
標準モードで2時間11分の処理にかかった電力は1.067kWh。電気代は電力会社や契約種別などによって変わりますが、1kWhあたり30円の電気代なら約32円になる計算です。これくらいの電気代なら、毎日処理しても気にならないのではないでしょうか?
「熱風で処理する」となると、外に出てくる臭いが気になるかもしれません。MS-N53XDは排気口に臭い抑制用のフィルターを搭載しているからか、そこまで強い臭いはしませんでした。
とはいえ無臭ではなく、オーブンでなにかを焼いているような印象。臭いは生ごみによって変わり、スイカの皮やバナナの皮を中心に処理するとプリンのカラメルのような香り、コーヒー豆のカスが多かった日は炭火焼きのような香ばしい香りでした。
塩焼きにした魚の骨や内蔵を処理すると、さすがに普段より臭いが強く漏れ出ていましたが、なぜかショウガを使った煮魚のような美味しそうな香りでした。この日のゴミにはショウガも醤油もないのに不思議です。魚の臭いは稼働後に処理したゴミが冷えると消えましたが、その後もフタを開けるたびに煮魚の香りが……。臭いが気になるときは、処理が終わって乾燥したゴミをすぐポリ袋などに移動するとよいでしょう。
燃えるゴミとして捨てるなら「標準」モード、肥料に向いた「ソフト乾燥」も
MS-N53XDは内部センサーを使ってゴミの状態にあわせて処理をするため、操作パネルはシンプルです。「入」ボタンを押せば標準運転でスタート。「入」→「ソフト乾燥」を押すとソフト乾燥処理となります。
ソフト乾燥は、低温でゆっくり処理するモード。せっかくなので、最初に処理したゴミと同じ内容・重さのゴミを用意し、標準モードとソフト乾燥の違いを比べてみました。
結果は、標準モードの処理は2時間、電気代は26円だったのに対して、ソフト乾燥は2時間42分、電気代は29円でした。処理前後の生ごみの重さは、標準モードが「450g→41g」、ソフト乾燥が「450g→50g」です。電気代の面でも、ゴミをコンパクトにするという目的としても、標準モードが優れています。
ただし、ソフト乾燥で処理した生ごみは、標準モードよりも即効性のある有機堆肥(たいひ)になるそう。自宅でガーデニングや野菜を育てているという場合は、ソフト乾燥で「生ごみを材料にした即効性のある堆肥」を作って活用できます。一方、「生ごみの臭い対策」「生ごみの量を減らしたい」という目的には、標準モードが向いています。もちろん標準モードで処理したゴミも、ソフト乾燥のような即効性の堆肥ではなく、じんわり長く有効な堆肥として利用できます。
「追加処理」でき、処理ごとのケアが必要なくてラク!
生ごみを処理したあとのメンテナンスは、処理容器を取り出して洗うだけ。ヒーター部分が汚れていたら、格子状のカバーを外して掃除することもできます。
メンテナンス時に効いてくるのは、冒頭でも触れたMS-N53XDの大容量です。コンパクトな生ごみ処理機の多くは「処理ごとのメンテナンス」が必要なのですが、MS-N53XDは処理したゴミの上に生ごみを追加投入して繰り返し処理できます。毎日400g前後のゴミを処理する家庭なら、2週間は処理後のゴミ捨てなしで済む計算です。
生ごみが臭わないように毎日処理したいというユーザーも多いと思いますが、毎日使ってもメンテナンスは月に2回でよいのです。これは筆者のようなズボラ人間にはとてもうれしい! 処理したゴミの保管場所にも困りません。我が家で1週間ゴミを処理し続けたところ、処理したゴミの総量は3.63kgでしたが、処理後は385gと、10分の1くらいの重さになりました。また、これも先述したように、魚など臭いが強いゴミを処理してMS-N53XDに入れたままだと、MS-N53XDのフタを開けたときにどうしても臭いが気になることもあります。状況に応じて、処理後のゴミを捨てたり処理容器を洗ったりすればよいでしょう。
「追加で生ごみが処理できる」メリットはほかにもあります。「処理後の状態を均一化できる」ことです。生ごみ処理後の状態は、処理する食材によっても変わります。たとえば、天ぷらカスなど大量の油ものを処理すると濡れたようなベトついた状態になり、大量のごはんなどデンプン質のゴミを処理すると処理後に塊(かたまり)ができたりします。
これらも追加で処理をすると、最終的にはサラサラの状態にできるのです。しかも、前述した魚の臭いども複数回の処理を繰り返すことで、フタを開けても気にならないレベルまで抑えられます。もうひとつ、処理後のゴミがMS-N53XDに溜まった状態で臭いが強いゴミを入れると、処理中の臭いが減る? という効果も(あくまで筆者が試した限り)。処理後のゴミが溜まってきた4日目にエビの殻を処理したときは、処理中もエビの臭いはしませんでした。
初期費用はかかるけど、日常生活のストレスが減る
我が家の地域は週に2回「燃えるゴミ」の日がありますが、いつもスーパーのプラスチック袋(大)×2袋ほどのゴミを捨てていました。MS-N53XD導入後は、なんとこのゴミの量が半分に。しかも、生ごみがないので臭わず軽いゴミばかり。ゴミ捨てを1週間に1回まで減らしても大丈夫だと感じています。
そんなわけで、MS-N53XDは我が家の中でも優秀な家電として活躍しています。ゴミ袋の節約にもなりますし、ゴミを捨てるまで家に「臭いモノ」がないという心理的なストレスの軽減にもなります。庭がある家庭なら「ゴミを肥料として再利用」できるのもうれしいところです。