日本の夏は年々気温が上がっているように感じます。今年も毎日暑い日が続いていますね。冷房の効いた室内で仕事に籠る日が多いのですが、ふと今年の取材写真を振り返ってみたところ、3月にフィンランドを訪れたときの雪景色の写真が出てきました。思い起こすと冬のフィンランドは気温は0度以下。訪れたときは日々寒さが辛かったのですが、暑い日本の夏の気温からすれば天国でした。ということでトランジットで1日だけ訪れた首都ヘルシンキの様子を振り返ってみました。

  • フィンランドの冬は極寒だった

フィンランドと言えばムーミンが有名ですが、IT企業として世界でも有数の通信企業、ノキアの本社があります。ノキアの本社へ立ち寄ってみましたが、一面雪に覆われており、外を歩いている人は皆無、とにかく寒いのです。

ノキアは1865年創業、100年以上続く歴史ある企業です。設立時はパルプなど重工業を手掛けていましたが、その後、通信機器事業者へと変身を遂げました。携帯電話の黎明時代から製品を展開し、スマートフォン投入後は世界シェア1位の時代もあったのです。しかし2014年に端末事業をマイクロソフトへ売却後、現在はHMD Globalがブランドライセンスを受けて製品を販売しています。そして現在のノキア本体はネットワークやソリューションなどB2B向けのビジネスに特化しています。

  • ノキアはネットワーク企業に。6Gの開発も行っている

2023年2月には長年親しまれてきたロゴを一新。本社に掲示されているロゴも新しいものになっていました。デジタルデザイン風の新しいロゴは5G時代に向け新しいテクノロジーを開発する企業のイメージに似合っていると感じます。

  • ノキアはロゴデザインを一新した

こちらは数年前に同じ本社を訪問したときの写真です。ノキアのロゴは従来の見慣れたロゴですね。

  • 以前のノキアのロゴ。見たことのある人も多いだろう

観光する時間はあまりないので市内のショッピングモールでお土産などを見て回ったのですが、IT系ストアがあったのでどんなスマートフォンが販売されているかも見てみました。

  • ショッピングモールに入っていたIT系ストア

すると、さすがはフィンランド、ノキアのスマートフォンが目立つ位置に展示されていました。なおスマートフォン事業は先ほど書いたようにHMD Globalが展開していることもあり、ノキアのロゴは従来と変わらないままです。スマートフォンのラインナップは100ユーロ台のエントリーモデルから、500ユーロの上位モデルまでいくつもあります。日本ではノキアのスマートフォンはみかけませんが、ヨーロッパでは結構メジャーな存在です。

  • ノキアのスマホが目立つ位置に展示してある

最上位モデルの「X30 5G」は5,000万画素カメラを搭載。本体に再生素材を使っている点が大きな特徴で、フレームは100%リサイクルアルミニウム、背面などは65%リサイクルプラスチックが採用されています。またパッケージも再生紙に植物由来のインクを使った特別仕上げ。サステナブルなスマートフォンでヨーロッパの消費者の心をつかもうとしています。

  • スノーホワイトカラーも上品なノキア「X30 5G」

サムスンのGalaxyシリーズやアップルのiPhoneなどおなじみの製品も売られていましたが、ソニーのXperiaシリーズもフルラインナップを販売。Xperiaはヨーロッパの一部の国で販売されていますが、フィンランドでも動作するデモ機が展示されているなど人気はあるようです。

  • Xperiaシリーズも展示されていた

他にはヨーロッパで販売されている年配者向けスマートフォン専業メーカー、Doroの製品も販売されていました。簡単メニューや手ごろな価格など、高齢者でも手軽に選べるスマートフォンです。

  • 年配者向けに特化したDoroのスマートフォン

またフィーチャーフォンもまだまだ需要があるようで、ノキアの製品が販売されていました。フィーチャーフォンを作るメーカーは今やかなり限られていますが、ノキアのフィーチャーフォンはそれこそ長い歴史があり、今でも過去モデルのリバイバルデザイン製品など特徴的な端末を毎年リリースしています。

  • 昔の音楽ケータイのリバイバル、ノキア「5310 XpressMusic」

さて冬のフィンランドは室内は暖かく、外がマイナス10度以下であることを一切感じさせません。そのためついつい室内でのんびりしてしまうのですが、夕方4時を過ぎるとあっという間に空は暗くなり始めます。ちなみに1月の日没時間は夕方3時半くらい。一方、夏は夜10時半くらいと、北欧は夏と冬で日の出ている時間が大きく異なります。

  • 室内にいる分には外の寒さは感じられない

夜6時を過ぎるとあたりはもう真っ暗。そして気温もさらに冷え込みます。手袋無しで歩いている現地の人も見かけましたが、日本から渡航した場合は耳当て、マフラー、手袋が無いとかなりきついです。他にも厚手の靴下、靴の中に使い捨てカイロを入れるなど厳重な寒さ対策をしたほうがいいでしょう。

  • 夜6時をすぎればもう真っ暗だ

なおヘルシンキ市内は路線バスのほかにトラムも走っており、車を使わずとも、ある程度移動できます。トラムの車内は暖房は効いていないようですが、これはメガネやスマートフォンなどが結露しないようにしているのでしょう。

  • トラムとバスで移動も自在だ

交通機関はスマートフォンアプリで切符の購入ができます。ただし外で長時間トラムを待っているときなどは、あまりにも寒くて指先がかじかんでしまい、画面タッチがしにくい、なんてこともありました。想像以上にフィンランドの冬は寒いです。

  • スマホがあればトラムやバスに乗れる

たった1日のヘルシンキ滞在、食事時間もままならなかったのですが、現地らしいものを何か食べようと空港でカルヤランピーラッカを買ってみました。フィンランドの伝統的な軽食で、パイのような見た目をしています。日本でいう、おにぎりのようなものでしょうか。

  • フィンランドを代表する食品、カルヤランピーラッカ

1日では観光する余裕も無かったのですが、ノキアの新しいロゴを見に行ったり現地のスマートフォン事情を見てくるなど、簡単な取材ができたのは収穫でした。次回は夏のフィンランドの様子がどのようなものなのか、暖かい時期に訪問したいと考えています。

  • 次回は夏に訪問したい