普段口にする食料の世界にもテクノロジーの波が押し寄せています。2023年7月に韓国・ソウルで開催された「AFRO 2023」(Agri & Food Tech Start-up Rising Expo 2023)には新しい食品の開発を目指すスタートアップ企業が出展していました。

  • ソウルでフードテックを取材

テクノロジーを活用した食品は様々なものが商品として販売されています。その中でも最も身近なものは、大豆など植物性のたんぱく質を原料とする代替肉でしょう。人工肉や植物肉とも言われますが、AFRO 2023の会場では小さな唐揚げサイズくらいの代替肉を開発・製造する企業が多数出展していました。おつまみ用途にもちょうどよく、カロリーも低いため健康食としても注目されています。いくつか試食してみましたが味は肉そのもの、唐揚なら食感も本物とあまり変わりません。

  • 代替肉は言われなければ普通の肉と変わらない味だった

Huenicの開発した代替肉「ワイズミート」はベースがキノコとのこと。大豆系の人造肉は味はいいものの柔らかいため食感がやや劣ります。キノコベースならしっかりとした噛み心地を味わえるので、試食したものも鶏肉と言われたら気が付かないほど肉の食感を再現していました。

  • キノコをベースとした代替肉

Meta Textureの玉子も植物原料から作られたもの。黄身と白身は別の製法で作られ、ブースでは玉子サラダや韓国海苔巻きに入れた試食品を配布していました。こちらも食感・味ともに本物と変わらないほど完成された食品と感じます。

  • 代替玉子も植物から作られる時代だ

Greencontinueは食品工場や農場から廃棄されるサボテンの葉、みかんの皮などを布地にする研究に取り組んでいます。これらの副産物から繊維質であるセルロース成分を抽出し、それを布地に加工しています。革風ジャケットなどが展示されていましたが、肌触りは革とほぼ同等。一般的な本革と比べて製造時の廃棄物量も少なく、また傷にも強いとのこと。環境にやさしい布と言えます。

  • 植物のセルロースから生まれた革風素材のジャケット

さて今回、最も気になった展示はこちら。3Dプリンターから印刷されるのは「肉」でした。Penseesが開発中のもので、細胞培養技術と3Dバイオプリンティング技術を融合させ、肉の組織をプリンターヘッドを通して印刷して固形の肉を作ることができるといいます。

  • プリンターから肉を印刷できる

ブースでは実際の印刷は行われていなかったものの、この技術が商用化されれば家畜の飼育やと殺を行わず、肉を生産することができるようになるとのこと。現在はまだ本物の肉に近づけるように肉質や食感、風味の改良に取り組んでいるとのことです。将来は焼き肉屋さんに行って、プリンターで食べたい肉を印刷する、なんて時代が来るのかもしれません。なおブースのスタッフによるとこの技術の開発は日本でもかなり進められているそうです。

  • サンドイッチのローストビーフも印刷で作る時代がいずれ来る

さて会場には最新のテクノロジーに絡んだ食品だけではなく、見た目や味に特徴のある食品の展示もありました。即売会も行われており買って帰りたいと思ったものもあったのでいくつか紹介します。

  • 食品の展示会なので即売会も多い

Danmee Foodのレインボーキューブチーズは一口大にカットされたキューブ型のチーズ。しかもレインボーの名前の通りカラフルな色が揃っており、グラスに入れてお酒のおつまみにしたり、サイドディッシュとして食事に色彩を加えることができます。

  • カラフルでかわいいキューブ型チーズ

おいしそうなスイーツはTsumaruのクルミパン。2019年創業の若い会社ですが総売り上げ100万個を突破するなど、韓国で人気の製品だそうです。

  • 韓国で人気のくるみぱん

RAFIQ Cosmeticsは植物をそのまま化粧品に加工する技術を開発し、化粧水などを展示していました。一般的な植物性化粧品は植物からエキスを抽出しますが、同社の製品は植物をそのまま使います。そのため成分の破壊やロスが少なく、同じ原料からより多くの成分を化粧品にできるとのこと。環境にやさしい化粧品です。

  • 植物をそのまま化粧品化する技術を開発

その他には「焼きアイス」など、ちょっと変わった食品の展示も見かけました。日本と韓国は食文化が似ている部分と全く異なる部分があり、日本ではみかけない展示も多くありました。

  • 「恐竜の口から火が出てアイスを焼く」イメージの展示

今回はお昼時に行ったこともあり、どのブースでも積極的に試食を勧められました。韓国伝統食品の展示もあるなど、食品関連の展示会はイベントとしても十分楽しめるものでした。今後は別の国の食品展示会も取材してみたいものです。

  • 試食するだけでも楽しいイベントだ