ASUSから、日本の裏原宿系ストリートファッションブランド「A BATHING APE」とコラボレーションしたノートPC「Vivobook S 15 OLED BAPE Edition K5504VA」が登場。4月に台湾のASUS本社で開催された発表会で登場が予告され、世界でも人気のファッションブランドとのコラボレーションモデルとして期待感が高まっていた。
そして、実際に登場した製品は、特徴的なデザインを採用するのはもちろん、PCとしての仕様面も非常に充実した魅力的な製品に仕上がっている。今回は、CPUにCore i9-13900Hを採用する上位モデル「Vivobook S 15 OLED BAPE Edition K5504VA-MA262W ミッドナイトブラック」を紹介する。
本体天板や製品パッケージに象徴的なカモフラージュ柄を採用
「Vivobook S 15 OLED BAPE Edition K5504VA-MA262W」(以下、K5504VA-MA262W)は、世界的に人気のストリートファッションブランド「A BATHING APE」とのコラボレーションモデルということで、全面的にA BATHING APEのオリジナルデザインを採用する点が最大の特徴だ。それも、本体だけでなく製品パッケージからオリジナルデザインを採用している。
製品パッケージには、A BATHING APEを象徴するカモフラージュ柄や、ブランドのトレードマークであるAPE HEAD、BABY MILOをはじめとするブランドキャラクターをペイント。このパッケージを見ると、これがノートPCのパッケージとは思えないほどに華やかな印象だ。
もちろん、本体天板もオリジナルデザインを採用。天板には、パッケージと同じカモフラージュ柄やBABY MILOなどのキャラクターをシルエットとして彫り込んでいる。またVivobookシリーズで広く採用されている天板エンブレムには「ASUS Vivobook A BATHING APE」と刻印され、特別モデルであることを強くアピールする。
また、キーボード面のタッチパッドにも、天板と同じカモフラージュ柄シルエットを、パームレストにはAPE HEADとBABY MILOをそれぞれ刻印。
デスクトップの壁紙にも、カモフラージュ柄のオリジナル壁紙を標準でセット。この壁紙は、マウスカーソルの動きに合わせてBABY MILOなどのキャラクターがポップアップするライブ壁紙となっている。もちろんこのライブ壁紙は本製品のために用意されたオリジナルデザインだ。
このように、細部にわたってオリジナルデザインを追求している点は、ブランドファンにとってたまらないものと言っていいだろう。
ファンにはたまらないアクセサリも多数同梱
Vivobook S 15 OLED BAPE Edition K5504VAには、標準で様々なアクセサリが付属する。この点も、他モデルとは大きく異なる特徴のひとつだ。
まず専用バッグ。本体を納めるのにぴったりなサイズなのはもちろん、ACアダプタやマウスなどの周辺機器や小物を収納するポケットも配置。もちろん外装には製品パッケージや天板と同じカモフラージュ柄デザインを採用している。
次にワイヤレスマウス。カモフラージュ柄とカモフラージュシルエット柄の2つのカバーを用意し、好きなデザインで利用できる。
装飾用ステッカーは、天板などに貼って使う大きなサイズのステッカー、キーボードのキートップを装飾するステッカーの2種類を同梱。キーボード用の装飾ステッカーは、製品の個性をより引き立たせられるため、ぜひとも活用したいところだ。
そして、BABY MILOのフィギュア。BABY MILOが製品パッケージを手に持ったかわいいデザインは、ファンにとってなによりたまらないはずだ。
120Hz表示、2,880×1,620ドット表示対応の15.6型有機ELディスプレイを搭載
ディスプレイは、2,880×1,620ドット表示対応の15.6型有機ELディスプレイを採用。有機ELということで、そもそも非常に鮮やかな発色や高コントラスト表示が行える。DCI-P3カバー率100%の広色域表示や、Display HDR TrueBlack 600準拠のHDR表示に対応しており、映像などを表示してみてもさすが有機ELといった鮮やかつメリハリのある表示が確認できる。加えて、最大120Hzの高リフレッシュレート表示にも対応。応答速度も高速で、映像も残像が気にならずくっきり表示される。
4辺狭額ベゼル仕様でディスプレイ面の画面占有率は約86%に達しており、映像に没頭できる点も嬉しい。個人的には、ディスプレイ面が光沢仕様で外光の映り込みがやや激しい点は少々気になったが、表示性能に関しては文句の付け所がない。
テンキー付きキーボードはまずまず扱いやすい
キーボードは、テンキーを備えるフルサイズキーボードとなる。ほぼ全てのキーがフルピッチを確保し、タッチタイプにも余裕で対応できる。キーボードバックライトを搭載し、暗い場所でも快適な利用が可能だ。また、キーは適度な硬さで打鍵感も良好だ。
タッチパッドはクリックボタン一体型。先に紹介したようにカモフラージュ柄のシルエットが刻印されている点が魅力的。もちろんタッチパッド自体の使い勝手に不満は全くない。
ところで、個人的には15型クラスのノートPCにテンキーは不要だと考えているが、K5504VA-MA262Wのテンキーは3列に収められており、窮屈な印象はそれほど感じないのは嬉しい部分だ。可能ならEnterキーとテンキーの間隔をもう少し開けてもらいたかったが、全体的には許容できる範囲内だ。
また、キーボード自体は英語キーボードをベースとして一部キーを切り離すなどして日本語化している点は少々残念。コスト的な問題もあるとは思うが、このようなコラボレーションモデルではキーボードについてもこだわってローカライズしてもらいたかったように思う。
ちなみに、キーボード面には細菌の増殖を99%抑制する、ASUSアンチバクテリアガード(銀イオンコーティング)が施されている。
周辺機器との接続も心配なし。15.6型ノートPCとしては標準的な重さ
いったんデザインを抜きにして、ノートPCとしての外観や機能面もチェックしていこう。
拡張ポート類は、左側面にUSB 2.0×1、右側面に3.5mmオーディオジャック、Thunderbolt 4×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、HDMIをそれぞれ配置。15型クラスのノートPCとしてはやや少ない印象だが、必要となるポートはほぼ網羅しているため、大きな問題はないだろう。
生体認証機能は、電源ボタン一体型の指紋認証センサーを搭載。ディスプレイ上部には207万画素Webカメラを搭載しており、カメラを物理的に覆うプライバシーシールドも備える。
この他、マイクで拾った音声やスピーカーで再生する音声からバックグラウンドノイズを除去するAIノイズキャンセリング機能、カメラで捉えた映像の明るさ最適化や背景ぼかしなどを行うAiSenseカメラなども搭載しており、Web会議も快適に行える。
本体サイズは、359.3×229.4×19.35mmと、15.6型ノートPCとして標準的な大きさだ。重量は約1.6kg。実測では1,599gと公称とほぼ同等だった。軽くはないものの、1.6kg程度であれば持ち運びもそこまで苦にならないだろう。
ベンチマークで性能を確認! 高負荷時の静音性が嬉しい
今回試用したのは、シリーズ上位モデルのK5504VA-MA262Wだが、スペック面はかなり充実したものとなっている。
プロセッサにはインテルの第13世代CoreシリーズであるCore i9-13900Hを採用。P-core×6、E-core×8、スレッド数20、ターボブースト時最大5.40GHz動作の高性能プロセッサで、非常に優れた処理能力を発揮する。ディスクリートGPUは非搭載のため、AAAゲームタイトルのプレイは少々厳しい部分もある。
それでも、プロセッサ内蔵グラフィックス機能のIris Xe Graphicsは申し分ない描画能力を発揮し、ビジネス系アプリの利用や軽めのゲームのプレイ、動画編集や映像製作といったクリエイティブ用途にも余裕で対応できる。
メモリは標準で16GBと必要十分の容量を搭載。内蔵ストレージも容量1TBのPCIe 4.0 SSDを搭載しているので、大容量データを扱う場合でも安心だ。
まずPCMark 10の結果だが、高性能プロセッサのCore i9-13900Hを搭載しているだけあって、非常に優れたスコアが得られている。これなら、ビジネス系アプリだけでなく動画編集などの重い作業もかなり快適にこなせるはずだ。
また、ベンチマークテスト中のCPUクーラーの騒音もそこまで大きくなかった。通常、高性能プロセッサやGPU搭載のノートPCは、高負荷時に冷却ファンの騒音がかなり大きくなるのだが、K5504VA-MA262Wでは8mmと6mmのヒートパイプに87ブレードの大型「IceBladeファン」を組み合わせた「IceCoolサーマルテクノロジー」を採用しているという。大きな騒音を出すことなくプロセッサの熱を効率良く冷却できるとの触れ込みだが、これによる効果はかなり優れていると言って良さそうだ。
続いてプロセッサーの処理能力を計測するCINEBENCH R23の結果だが、こちらもCore i9-13900Hの処理能力を十分に反映したスコアとなっている。これだけ優れた処理能力なら、クリエイティブ用途も快適にこなせそうだ。
次は3DMarkの結果だ。今回はTime Spy、Speed Way、Port Royalの3種類を計測した 結果を見ると、さすがにディスクリートGPU搭載のノートPCよりスコアは低くなっている。製品のターゲットを考えると、適当なディスクリートGPUを搭載していても良かったような気もする。
とはいえ、AAAタイトルのゲームを快適にプレイしたいといった要望がなければ、そこまで不満に感じることはないだろう。ゲームも表示設定を落とせば十分快適に動作するはずで、オールラウンドな用途に対応するPCという意味では大きな問題はないと言える。
さすがにディスクリートGPU搭載PCの結果には及ばないが、このクラスのノートPCとしては十分満足できるスコアであり、大きな不満はない|
最後に、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用してバッテリ駆動時間を計測してみた。計測の条件は、ディスプレイ輝度が50%、Windowsの省電力設定は「バランス」、キーボードバックライトをオフ、として行っている。
結果は7時間12分と、なかなかの駆動時間が計測された。これなら、通常の使い方でも6時間は余裕で利用可能なはずだ。本体はやや大きく重いが、外出先でも多少ヘビーな作業をこなしたいという要望にも申し分なく対応できそうだ。
デザインだけでなく性能面でも魅力的
今回見てきたように、K5504VA-MA262Wは、人気ストリートファッションブランドとのコラボレーションモデルということで、特徴的なデザインが最も大きな特徴だ。しかし、それだけでなく中身も高性能ノートPCとして申し分ない仕様となっている。
よくあるコラボレーションモデルでは、デザインだけにこだわって中身が残念、ということもよくある。しかしK5504VA-MA262Wに限っては、デザインも中身も高いレベルの完成度を誇る、非常に魅力的な製品に仕上がっていると強く感じた。
これなら、ブランドのファンはもちろんのこと、他にはない特徴的なデザインの高性能ノートPCがほしいという人にも自信を持ってお勧めしたい。