ワコムは8月10日、「Wacom One 液晶ペンタブレット13 touch」をはじめとするエントリー向け液晶ペンタブレット / ペンタブレットの新製品4モデルを発表しました。いずれも、これからデジタル制作をはじめたい人にぴったりな製品となっています。
現行モデルとの違いは?使い勝手は?いち早く実機に触れるメディア向け発表会がありましたので、そのあたりを本稿でご紹介しましょう。
新「Wacom One」シリーズの概要
Wacom Oneはもともと液タブ1製品のみでしたが、今回から液タブは2製品に拡大。さらに、板タブも2製品追加となりました。
新たにリリースとなる4モデルの、ワコムストアにおける価格は以下の通り。いずれの製品も、8月29日から順次発売されます。
- Wacom One 液晶ペンタブレット13 touch:92,180円(USB-Cケーブル接続版は89,980円)
- Wacom One 液晶ペンタブレット12:62,480円(USB-Cケーブル接続版は59,180円)
- Wacom One ペンタブレット small:15,180円
- Wacom One ペンタブレット medium:22,880円
好みに応じてカスタム可能な付属ペン「Wacom One スタンダードペン」だけでなく、複数の文具メーカー発デジタルペンに対応。今回新登場するパイロットの人気文具をベースにしたデジタルペン「Dr. Grip Digital for Wacom」(後述)のほか、ステッドラーのデジタル鉛筆「ノリスデジタル」や「三菱鉛筆9800デジタイザペン」、「LAMY safari twin pen all black EMR」「LAMY AL-star black EMR」など、鉛筆や万年筆、シャープペンシルなどでなじみのあるペンが選択肢になるのは魅力的。
また、バンドルソフトがお絵描き用途、ならびに教育用途で充実。丁寧なチュートリアルや多彩なサービスを用意することで、ユーザーが製品を購入して開封し、使い始め、さらにスキルを磨くところまで、ワコムが寄り添ってサポートしていきます。
エントリー向け液タブに初のタッチ機能!
「Wacom One 液晶ペンタブレット13 touch」は、13.3型のディスプレイを備えるモデル。製品名に“touch”とある通り、エントリーモデルとして初めてマルチタッチに対応しました。スマホを操作するのと同じように、2本の指でキャンパスを拡大・縮小したり、回転させたりできるので、作業効率が格段に上がります。
Wacom Oneの液タブ2モデルは、どちらも解像度が1,920×1,080。注目したいのは、新たにUSB Type-Cケーブル1本で外部機器と接続できるようになったこと、そしてドライバのインストールが不要になったこと(Macはドライバーのインストールが必要)。セットアップが簡単になったので、ITに詳しくない人でも、購入したその日から絵を描きはじめられます。
また両モデルとも、ディスプレイ仕上げが「AG(アンチグレア)+AF(アンチフィンガープリント)ガラス」に進化しており、視差が小さくなったことで描きやすさが向上しています。
これは現行モデルの「Wacom One 液晶ペンタブレット13」と比較したときの、あくまで筆者の感覚的な話ですが、新製品ではディスプレイ表面の硬さが増したことでペンが走るようになり、またペン先のすぐ真下から線を描き始められるようになった、そんな印象を受けました。
ワイヤレス&コンパクト、板タブも着実に進化
一方で、Wacom One ペンタブレットもUSB Type-Cに対応し、プラグアンドプレイ(Windows)対応によりドライバインストールが不要になり、こちらも使いやすさが向上しています(Macはドライバーのインストールが必要)。
Bluetooth対応により、ワイヤレスでも使えるのが非常に便利。ワイヤレスの連続駆動時間は15時間となっています。また、現行製品と読み取り範囲は同じでありつつ、本体サイズがより小さくなりました。特にsmallサイズはストレスなく持ち運びできる手のひらサイズです。
Wacom One液タブ・板タブ共通の「Wacom One スタンダードペン」は、自分の好みにあわせてカスタマイズできる設計です。ホワイト / グレーのペン先+別売りのペンリアパーツを組み合わせることで、最大14通りの組み合わせが楽しめます。
人気文具「Dr. Grip」がデジタルペンに!
そして、Wacom Oneシリーズの発売にあわせて「Dr. Grip Digital for Wacom」が同時リリースとなります。ワコムストアにおける価格は6,380円で、発売日は8月29日。あのドクターグリップがデジタルペンとして使用できるのは大きな魅力と言えるでしょう。
特徴的な太いペン軸、その握りやすさも完全再現。ノック式でペン先が収納できるため、持ち運びにも不安なし。カラバリはアクアブルーとブラックを用意しています。過去にワコムのイベントで参考出展されていましたが、ついに製品化となりました。
ちなみにプロは、新製品をどのように見ているのでしょうか。イラストレーターとして活躍中のnajucoさんが発表会に来場し、一足早くWacom One 液晶ペンタブレット13 touchを試用した感想を教えてくれました。
najucoさんは、「ソフトが充実しているので、電源を入れたらすぐに描き始められる状態でした。いま使っている液タブでは『戻る』『拡大』など、よく使う操作をキーボードに登録しているんですが、新製品はマルチタッチに対応しているので、より直感的に使えるのも嬉しかったポイントです」と説明。難しいことを考えないで良くなった、イラストに集中できるようになった、と笑顔を見せます。
本体サイズについては「持ってみると、本当に軽かった。これならカバンにポンと入れておいて、出先で本格的な作業ができるので助かります」とのこと。ちなみに普段から様々な用途で液タブを使っているそうで、「イラストを描くだけでなく、動画の編集作業もしています。慣れてしまえば、マウスよりもデジタルペンのほうが使いやすいんですよ。また仕事の資料を画面に映して、手書きで説明を加えるということもしています」と、イラスト以外でも便利に使えると話していました。
そして最後には「こういったデジタルガジェットを手にすると、モチベーションもあがりますよね。新製品は見た目もカスタマイズしていけるのが気に入りました。まずは『カワイイ』から入ってもらって、やがて『楽しい』に変わっていく、そんな瞬間を味わってもらえたらと思います」と、これからデジタルイラストを始める人たちへのエールで締めくくりました。