Micronの個人向けブランド「Crucial」では、小型、軽量、高速の外付けSSDシリーズを展開しているが、さらに小型化、高速化した新製品「Crucial X9 Pro Portable SSD」と「Crucial X10 Pro Portable SSD」が2023年7月26日に発表された。気になる実力をPCとPS5でチェックしてみた。

つまんで持てるサイズの外付けSSD、しかも高スペック

「Crucial X9 Pro Portable SSD」(以下X9 Pro)と「Crucial X10 Pro Portable SSD」(以下X10 Pro)は、USB接続の外付けSSDだ。どちらも容量は1TB/2TB/4TBの3種類を用意しており、サイズは幅65mm、奥行き50mmと非常にコンパクトなボディで厚みも筆者の実測で約10mmしかない。重量は筆者実測でX9 Proが37g、X10 Proが41g(いずれも2TBモデル)しかなく、つまんで持てる小ささだ。

実売価格は、X9 Proが1TB/15,000円前後、2TB/27,000円前後、4TB/48,500円前後、X10 Proが1TB/22,000円前後、2TB/35,000円前後、4TB/57,000円前後となっている。

  • 上のシルバーが「Crucial X9 Pro Portable SSD」。下のブラックが「Crucial X9 Pro Portable SSD」

    上のシルバーが「Crucial X9 Pro Portable SSD」。下のブラックが「Crucial X9 Pro Portable SSD」

  • どちらもサイズは同じ。軽くつまんで持てる手軽さが強みだ

  • X9 Pro(2TB)は筆者実測で37g

  • X10 Pro(2TB)は筆者実測で41g

両者の大きな違いは速度だ。X9 Proは読み書きが最大1,050MB/秒、X10 Proは読み出し最大2,100MB/秒、書き込み最大2,000MB/秒となっている。小型サイズの外付けSSDとしてはどちらも高速だ。インタフェースはX9 ProがUSB 3.2 Gen2(10Gbps)のType-C、X10 ProがUSB 3.2 Gen2x2(20Gbps)のType-Cだ。付属のケーブルはどちらも両端ともType-C形状のもの。Type-A形状のポートに取り付けたい場合は、別途Type-C←→Type-Aのケーブルまたは、Type-C→Type-Aへの変換アダプタを用意する必要がある。WindowsやMac OSのほか、Linux、Android、iPad、PlayStation、Xboxにも対応。保証は5年間と長期だ。

  • 付属のケーブルは両端がType-C形状だ

なお、同社からは同じく外付けSSDの「Crucial X8 Portable SSD」(最大1,050MB/秒)と「Crucial X6 Portable SSD」(最大800MB/秒)が発売されているが、サイズはやや大きい。より小型で高速なモデルが登場したことになる。

  • Crucial X6(左上)、Crucial X8(右上)との大きさ比較。よりコンパクトになった

  • 持ち運びに便利なストラップホールも用意。動作時に光るライトも内蔵されている

X9 Pro、X10 Proとも標準ではexFAT形式でフォーマットされている。中には利用可能なアプリやサービスへのリンク、製品紹介のPDFが収録されている。注目したいのは無料でAdobe Creative Cloud All Appsの1カ月プランが使えること。普段からAdobeのアプリを使っている人はもちろん、これから使ってみたいと思っている人にとってもうれしい特典と言える。

  • 標準ではexFAT形式でフォーマットされている

  • 関連アプリやサービスへのリンク、PDFが収録されている

パソコンとプレステ5で実性能をベンチマークテスト

ここからは実際の速度をチェックしてみよう。テスト環境は以下の通りだ。X9 Pro、X10 Proとも2TBモデルを使用している。

【検証環境】
CPU Intel Core i9-13900K(24コア32スレッド)
マザーボード MSI MPG Z790 CARBON WIFI(Intel Z790)
メモリ Micron Crucial DDR5 Pro CP2K16G56C46U5(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)
システムSSD Western Digital WD_BLACK SN850 NVMe WDS200T1X0E-00AFY0(PCI Express 4.0 x4、2TB)
ビデオカード MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC(GeForce RTX 4060)
CPUクーラー Corsair iCUE H150i RGB PRO XT(簡易水冷、36cmクラス)
電源 Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold)
OS Windows 11 Pro(22H2)
  • マザーボードのUSB 3.2 Gen2x2ポートに取り付けて測定

  • X9 ProのCrystalDiskMark 8.0.4cの結果

  • X10 ProのCrystalDiskMark 8.0.4cの結果

X9 Proはシーケンシャルリード1,086.33MB/秒、シーケンシャルライト1,021.55MB/秒とほぼ公称通りの速度が出ている。X10 Proはシーケンシャルリード2,068.93MB/秒、シーケンシャルライト1,846.19MB/秒とやや公称より遅いが、外付けSSDとして非常に高速だ。動画編集の素材など、大容量データを扱うならX10 Proのほうが快適と言える。

大容量なので、ゲームのインストール先として使いたいという人もいるだろう。「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」を実行してロード時間をチェックしてみた。

  • ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

X9 ProとX10 Proでほとんど変わらないという結果だ。ゲームのインストール中心ならば、価格の安いX9 Pro選ぶのもよいだろう。

続いてPS5の拡張ストレージとして接続した場合のPS4用ゲームの起動とロード時間が内蔵SSDとどう変わるのかチェックしてみよう。PS5用のゲームは内蔵SSDまたは拡張スロットに装着したM.2 SSDからしか起動できないが、PS4用のゲームは外付けSSDからも起動可能となっている。使用したのは型番がCFI-1100のPS5で、ゲームは「モンスターハンターワールド:アイスボーン」を用意した。起動とロードを3回測定したときの平均を掲載している。

  • PS5の外付けSSDとして使ってみる

  • PS5の拡張ストレージとして接続し、起動とロード時間を測定した

  • モンスターハンターワールド:アイスボーン

起動、ロード時間は内蔵SSDとほぼ変わらず、PS4のゲームをプレイするのに外付けSSDでまったく問題ない。また、X9 ProとX10 Proで速度差はほぼなかった。どちらでも問題なく利用できる。

小型で高速なので動作時の温度も気になるところ。CrystalDiskMarkを3回連続で実行するという高めの負荷をかけた直後の温度をサーモグラフィーのFLIRでチェックした。

  • X9 Proは41.6℃

  • X10 Proは42.7℃

速度が上のX10 Proのほうが温度がやや高いが、どちらも触ってほんのり温かい程度。大容量データのコピーも安心と言える。

従来よりも、さらに小型で高速となったCrucialの外付けSSD。大容量データも高速に保存でき、手軽に持ち運べるのは大きな魅力。ゲームのインストール先やPS5での利用にも問題なく、幅広いシーンで活躍できる。使い勝手のよい外付けSSDを求めているなら、チェックしておこう。