米Mozillaは、8月1日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 116」をリリースした。Firefox 116は、Firefox 115から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 115では、2023年7月7日にマイナーバージョンアップの115.0.1が、2023年7月11日に115.0.2が、2023年7月27日に115.0.3がリリースされている。115.0.1では、以下の修正が行われた。
- Windows版:Kingsoft Antivirusソフトウェアがインストールされている環境で起動時のクラッシュ問題の修正
このマイナーバージョンアップでは、セキュリティアップデートは行われなかった。115.0.2では、以下の修正が行われた。
- 悪意をもって挿入されたDLLのインスタンスをブロックすることで、Windows 10および11の一部の環境で起動時にクラッシュする問題の修正
- 一部のWebサイトで、テキストエディター使用中キャレットを表示する際のバグの修正
- 一部のWebサイトで、オーディオレンダリングが壊れていたバグの修正
- patternTransform変換において、間違った単位を使用していたバグの修正
- Windows 7環境で、DLLブロックリストに起因するクラッシュの問題の修正
セキュリティアップデートは
- ワーカーでのメモリ解放後の再使用
の修正が行われた。深刻度はModerateである。115.0.3では、以下の修正が行われた。
- ESR版に切り替える際に、移行環境が改善
今回は、115.0.3からのアップデートとなる。
Firefox 116のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 116は、図2のようになる。
新規に、Firefox 116をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。
Firefox 116の新機能
続いて、新機能であるが、以下のとおりである。
- サイドバースイッチャーでブックマーク、履歴、同期の各タブパネルに簡単にアクセスしたり、パネル間をすばやく切り替えたり、サイドバーをブラウザウィンドウの別の側に移動、サイドバーを閉じることが可能に。将来的には、支援テクノロジの実行のいかんにかかわらず、これらのパネルにアクセスするためのキーボードショートカットを覚えなくとも、すべての操作を簡単に実行できるようになる
- 英語ロケールでは、アップデート通知プロンプトでリリースノートにアクセス可能に
- オペレーティングシステムから任意のファイルをコピーして、Firefoxに貼り付け可能に
- ユーザーの要望に応え、ピクチャー・イン・ピクチャーで音量スライダーが使用可能に
- 既存のテキスト注釈を編集する機能を追加
具体的に見ていこう。サイドバーは以前からある昨日で、ブックマークの一覧を表示させることができる。[Ctrl]+[B]ではブックマークを、[Ctrl]+[H]では履歴を表示させることができる。
ここで[ブックマーク]の右にある下向きのボタンをクリックすると、図6のようになる。
ここで、タブパネルの切り替えや操作を行うことができる。上述したショートカットキーから表示させることもできるが、メニュー(表示されていなければ[Alt]キーで表示)の[表示]→[サイドバー]からも行うことができる。
ピクチャー・イン・ピクチャーでは、ユーザーの要望に応える形で、音量スライダーが追加された。
音量スライダーが表示されないときは、ピクチャー・イン・ピクチャーの表示を拡大してみてほしい。
修正と変更点は以下の通り。
- Firefox 115.0以降、HTTP/2のアップロードでのパフォーマンスは、帯域幅の遅延が大きいネットワーク(高帯域幅と高遅延の両方を求めるネットワーク)で大幅に向上
- 閉じたタブを再度開くキーボードショートカット([command]+[Shift]+[t])で、最後に閉じたタブまたは最後に閉じたウィンドウが、アイテムが閉じられた順序で再度開くように。再度開くタブまたはウィンドウがない場合、このコマンドは前のセッションを復元する。この変更は、「最近閉じたタブ」に対する今後の変更を示唆するものとなるだろう
セキュリティアップデート
同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベースで14件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が9件、4段階で上から3番目の「Moderate」が4件、4段階で上から4番目の「Low」が1件がとなっている。
「High」では、
- オフスクリーンキャンバスでクロスオリジン制限のバイパス
- WASMコンパイル中に間違った値が使用される
- クリックジャッキング中に発生する権限リクエストのバイパス
- メモリ不足に起因するDOMParserのクラッシュ
- プラットフォームオブジェクトを解放する際の潜在的な競合状態の問題修正
- StorageManagerにおけるスタックバッファオーバーフロー
- Firefox 116、Firefox ESR 115.1、Firefox ESR 102.14、Thunderbird 102.14で修正されたメモリ安全性の問題
- Firefox 116、Firefox ESR 115.1、Thunderbird 115.1で修正されたメモリ安全性の問題
- Firefox 116で修正されたメモリ安全性の問題
などが対応された。すみやかなアップデートをすべきであろう。