高機能オーブンレンジと聞いて、シャープのウォーターオーブン「ヘルシオ」を思い浮かべる人も多いはず。そんなヘルシオシリーズに新モデルが登場します。最上位機種「AX-LSX3A」、ミドルモデル「AX-RS1A」、普及モデル「AX-NS1A」の3モデルです。

このうちAX-LSX3AとAX-RS1Aは、人気の地鶏居酒屋「塚田農場」とコラボレーション。調理が難しい地鶏を使った自動メニューを搭載しました。発売日はAX-LSX3AとAX-NS1Aが7月27日。ミドルモデルのAX-RS1Aのみ8月8日を予定。推定市場価格は、最上位機種のAX-LSX3Aが213,000円前後、ミドルモデルのAX-RS1Aが163,000円前後、普及モデルのAX-NS1Aが138,000円前後です。

  • 新製品の3モデル。左から、普及モデルのAX-NS1A、ミドルモデルのAX-RS1A、最上位モデルのAX-LSX3A

  • 発表会では、AX-LSX3Aで実際に調理した新メニュー「黒さつま鶏ローストチキン丸鶏」を試食しました

地鶏は鶏肉よりも調理が難しいって知ってた?

AX-LSX3AとAX-RS1Aで注目したいのは、塚田農場とコラボレーションした新メニューの搭載です。塚田農場は炭火地鶏焼き鶏で人気の居酒屋チェーンですが、最近は肉のオンライン販売もしています。新メニューは、このオンライン販売している「黒さつま鶏ローストチキン丸鶏」をプロの監修による最適な火加減で調理します。

ヘルシオにはもともと鶏肉を丸ごと焼く「ローストチキン」や「ガーリックとローズマリーのローストチキン」といったレシピがありますが、新メニューとして搭載したことには理由があります。それは、一般的な鶏肉と地鶏の火入れの違いです。

  • 塚田農場を運営するエー・ピーホールディングスの吉本了氏

エー・ピーホールディングスの吉本了氏によると、塚田農場では自社で地鶏のヒナを孵化(ふか)し、契約農家が育成するというこだわりの地鶏を提供。今回のコラボメニュー向けに提供される地鶏「黒さつま鶏」は、5羽/平方メートルという余裕のあるスペースで150日ほどかけて飼育したメス鶏です。

市場に流通する一般的な鶏肉(ブロイラー)は、満員電車のような飼育場で生後40日~50日ほどで出荷。対して黒さつま鶏は、3倍近い日数をかけて運動しながらゆっくりと成長します。そのぶん、引き締まった肉の食感と凝縮された旨みがあるのです。

ただし独特の食感があるだけに、調理は一般的な鶏肉より難しくなります。吉本氏によると、美味しく調理できる温度や調理時間の範囲が、一般的な鶏肉よりかなり狭く、油断すると固すぎたりパサついたりした食感になってしまうそうです。

  • ヘルシオで焼く前の「黒さつま鶏」。内臓を抜いた状態で約2kgと、かなり大ぶりの丸鶏です。昆布、スパイス、ハーブなどで味付けされ、冷凍状態で家庭に届きます

新ヘルシオのAX-LSX3AとAX-RS1Aは、塚田農場の「黒さつま鶏ローストチキン丸鶏」にあわせた専用メニューを開発。食材の「黒さつま鶏ローストチキン丸鶏」と、AX-LSX3A・AX-RS1Aの新メニューを利用すれば、家庭でも失敗なく、できたてプロの味を再現できます。

  • AX-LSX3Aの「黒さつま鶏ローストチキン丸鶏」メニュー画面。黒さつま鶏を解凍後、このメニューで焼けば失敗なく調理できます

会場では、実際にAX-LSX3Aで調理した黒さつま鶏ローストチキン丸鶏も登場。丸鶏全体に美しく焼き色がつき、皮がパリッと調理されています。目の前で解体すると、肉からはジュワジュワと肉汁があふれ、見るからに美味しそうな焼き上がりです。

  • 丸鶏が焼き上がったところ。ウォーターオーブンのヘルシオは「水で焼く」ため、調理直後は扉を開くと水蒸気! この水蒸気のおかげで、余計な脂分や塩分なども落ちるそうです

  • 焼き上がった丸鶏。全体にムラなく美しい焼き色がついています。野菜にしたたり落ちている脂や肉汁も美味しそう。こちらはソースにしても良さそうですね

さっそく、できあがった地鶏のローストチキンを試食。食べてみると、最初にカリッとクリスピーな皮を感じます。香ばしい香りを楽しみながら肉をかみしめると、日ごろ食べている鶏肉では味わえないプリッとした弾力と旨みが――。

筆者が試食したのは地鶏の胸部分とモモ部分だったのですが、部位ごとに旨みや食感が変わるのも面白かったです。骨近くは特に旨みが強く、骨などの余った部分で出汁をとって雑炊にしたくなりました。これだけ大きい丸鶏だと、自宅なら次の日も楽しめそうですね。

試食したエー・ピーホールディングスの吉本氏は「水で調理するからか、中がしっとりとしていて炭で焼くより美味しいかも」とのこと。大きな丸鶏にここまで均一に美しい焼き色をつけるのは難しいと、ヘルシオで調理した丸鶏を絶賛していました。

  • ローストチキンを試食するマイナビニュース +Digitalの林編集長。「一言でいうと“鶏肉”の味が濃い! ウマ~!」(林)

より使いやすくなった解凍機能。ミドルクラス以下も「おいしさ復元」に対応

今回のモデルチェンジで進化したのは、メニュー関連だけではありません。AX-LSX3AとAX-RS1Aの2モデルは扉にソフトダンパーを搭載し、いままで扉を閉めるときに「バタン」と大きな音がしていたものが、ソフトに閉まるようになりました。

【動画】前半はソフトダンバーなしの普及モデル「AX-NS1A」。占めるときにバタンと大きな音がします。後半はソフトダンパーありの最上位モデル「AX-LSX3A」。勢いよくドアから手を離しても、フワッと優しく閉じます
(音声が流れます。ご注意ください)

  • 従来は最上位モデルのみ備えていた、まな板や食器を除菌できる「清潔除菌コース」が、ミドルモデルのAX-LSX3Aにも搭載(メニュー番号:46・47)

ヘルシオの最上位モデルは、昨年の2022年モデルから「ヘルシオあたため(おいしさ復元)」機能を搭載しています。今回のモデルチェンジでは、このヘルシオあたための「揚げ物」「焼き物」「蒸し物」「パン」メニューを全機種に展開しました。

  • 「ヘルシオあたため(おいしさ復元)」-「焼きたてパン ふんわり」メニューで温め直ししたパン。パンの中が固くならず、柔らかいのに弾力ある食感でした

ヘルシオの上位モデルはまた、「たべごろ解凍」機能も搭載しています。一般的な電子レンジの「解凍」機能よりも、デリケートな解凍ができるメニューです。

たとえば、お取り寄せした冷凍ローストビーフ、冷凍されたケーキといった「絶対に加熱しすぎたらいけない食品」を、水蒸気が水に変化するときの「潜熱」を利用して解凍します。難しい解凍だけに、これまで「たべごろ解凍」で解凍できる食材は「ローストビーフ」「かつおのたたき」「チーズケーキ」といったように、厳密に決まっていました。

今回の新モデルでは、たべごろ解凍に手動モードが加わっています。こちらは「チーズケーキなど」と、類似の食材も解凍可能。たとえば「笹団子など」なら団子系の解凍だけでなく、豆大福や生どら焼きも解凍できます。

  • 従来の「たべごろ解凍」は【自動】メニューで継続搭載。新しく「メニューと時間を設定する」(【手動】モード)という項目が増えました

  • 「【手動】クリームパンなど」なら、クリームパン以外にドーナツやマカロン、「【手動】笹団子など」なら生どら焼きも解凍できます

正直な感想をいうと、今回のモデルチェンジは従来モデルからそれほど大きな変更点はありません。とはいえ、オーブンレンジはほとんど毎日使うものだけに、ソフトダンパーの搭載は魅力的でした。

そして塚田農場とコラボレーションした地鶏メニュー。日本農林規格によると「地鶏」とは10羽/平方メートルの飼育スペースで75日以上飼育することが定められていますが、「黒さつま鶏」はスペースも飼育日数も地鶏の基準の倍という良条件で飼育されています。新モデルはそんな希少な肉を、失敗なく自宅で味わえます。専用の鶏肉が必要なので普段の生活ではなかなか登場しないかもしれませんが、クリスマス、誕生日、ホームパーティーなどで、いざというとき「絶対に失敗しない美味しくて見栄えのする豪華な料理」を作れるのは心強いですね。