NTTドコモは7月1日より料金プランを一新し、新プラン「eximo(エクシモ)」「irumo(イルモ)」を提供することを発表しました。既存のギガホプランは終了し、これにahamoを加えた3つのプランで展開します。
正直、この名称だけではどんなプランか分かりません。ドコモの説明会で語られた内容をまとめてみました。
ギガホ/ギガライトをカバーするeximo
これまでドコモの料金プランは、データ容量無制限の「(5G)ギガホ プレミア」、1~7GBまでの段階制プラン「(5G)ギガライト」の2プランと、オンライン専用・店頭サポートなしの「ahamo」、ドコモショップで手続きできるMVNOプラン「エコノミーMVNO」という4プラン制でした(実際には「はじめてスマホプラン」などの細かなプランもあります)。
ドコモ自体が提供するプランでは、エコノミーMVNOを除く3プランが主力。このギガホ/ギガライトを置き換えるのがこの日に発表されたeximoとirumoです。より正確には、ギガホ/ギガライトの大部分をeximoがカバーし、より低容量のニーズをirumoで吸収するという設計です。
eximoは1GBから無制限までの段階制プラン。1GB未満が4,565円、1~3GB未満が5,665円、3GB以降が7,315円となっています。店頭サポートは基本的には無料。段階制と無制限という、旧プランの両方の特徴を備えたプランとされています。
結果として、小容量から無制限までのデータ、充実したサポートと「多様なニーズに応えるプラン」という位置づけです。ただし、データ容量をあまり使わない人に向けた0~3GB未満のあとは、いきなり無制限にジャンプする設計なので注意が必要です。
ファミリー割引もサポートして家族間通話は無料。月額1,980円のかけ放題オプションと同880円の5分通話無料オプションも用意されています。3回線以上のドコモ回線による「みんなドコモ割」(1,100円引き)、「ドコモ光セット割/home 5Gセット割」(1,100円引き)、「dカードお支払割」(187円引き)を組み合わせると、eximoの費用は月額2,178円~4,928円となります。
eximoは、「外出先でもデータ量を気にせず動画サービスなどを思い切り楽しみたい」という声がある一方、スマホの利用に不安があってしっかりショップでサポートを受けたい、家族でお得に使いたい、などの声もあって、そうした声にまとめて応えるプランとして設計されています。
シンプルで分かりやすい料金プランがいいというニーズと、使うデータ量が毎月変わるので料金プランを安く抑えたいというニーズもあって、段階制といっても3段階に収めてシンプルかつ利用量に応じて料金が変動するプランに仕上げています。
この段階制では、全スマホユーザーの半数が毎月のデータ量3GB未満という調査を元に、3GB未満、3GB以上という区別をしたようです。とはいえ、急に3GB以上は無制限というのも急な話です。
そういった中容量にも応えられるプランがirumoです。
OCNモバイルONEを踏襲した小容量プランirumo
irumoは、自分で利用するデータ量に合わせて選択する選択式プランです。利用できるのは0.5GB/3GB/6GB/9GBの4種類。月額料金はそれぞれ、550円/2,167円/2,827円/3,377円となっています。
0.5GBの容量以外はドコモ光セット割/home 5Gセット割/dカードお支払割の適用も可能で、その場合の月額料金は550円/880円/1,540円/2,090円となります。1,980円/880円のかけ放題オプションと5分通話無料オプションも用意。ドコモメールはオプションで月額330円、ドコモショップでのサポートも提供します。
自分が使うデータ容量を把握する必要はありますが、0.5GBというごく小容量での契約ができるほか、6GB/9GBの容量ニーズにも対応できます。基本的には、ドコモと統合するNTTレゾナントが提供するMVNOサービス「OCNモバイルONE」を踏襲したものです。とはいえドコモの店頭サポートの対象となるためか、0.5GBプラン以外の料金は大幅に高くなっています。また、OCNモバイルONEにあった10GBはなく、9GBの設定になっています。
もともとドコモは、小容量のニーズを「エコノミーMVNO」として他社のMVNOサービスでカバーする方針を示していましたが、「ドコモで安いプランを利用したい」「ドコモのサポートを受けたい」という声が多かったそうで、そうしたプランがないためにドコモ外にMNPで移行するユーザーもいたそうです。
こうしたユーザーの引き留め/再契約を狙ったプランがirumoで、安価な料金でもドコモのショップサポートを受けられる点をアピールします。
これで9GBまでがカバーできました。さらに無制限との間にある中容量を埋めるのがahamoという位置づけです。
ahamoは容量20GBで月額2,970円。さらに、「ahamo大盛り」として、80GBが1,980円で追加できます。つまり100GBが4,950円で利用できます。ahamoはオンライン専用プランとして、ショップでの無料サポートが基本的にはないということで安価になっています。
ahamoについては、Z世代を中心にリテラシーの高いユーザーには人気のプランとしていますが、低価格でも店頭サポートがない点がネックになっていた模様です。そこで、低価格でも店頭サポートを組み込んだプランを用意した、というのが新料金プランの背景のようです。
そのahamoはプラン自体に変更はなく、新たにahamo光として光回線とのセット割を提供。追加料金は税込3,630円という低価格で1Gbpsの光回線を提供します。
新プラン、サポートの力でユーザーはどう動くのか
正直、「eximo」「irumo」という名称では、どんな料金プランか想像がつきません。大中小、S/M/Lといった分け方ほどの分かりやすさはありませんが、同社としてはこの名称で「分かりやすいと思う」(営業戦略部長 山本明宏氏)との考えだそうです。「irumoは、より低廉なプランということで、必要とされるような、そばにいるという思いで付けている」と山本氏。
「ドコモ」「アハモ」「イルモ」「エクシモ」とどれも「モ」を付けたところが「ドコモらしい、ドコモのブランド」という点を強調しているとのこと。
eximoはフルサポートの全部入りのプランという位置づけで、「どんどん進化させていきたいという思いもあって、"EX"をつけてeximoとした」(山本氏)という名称になっているそうです。
あくまで料金プランは料金プランなので、その名前では思いよりも分かりやすさを優先すべきではないかとも思うのですが、このあたりは今後のユーザーの反応次第でしょう。
NTTレゾナントのOCNモバイルONEがドコモに統合されることになり、それをそのまま吸収したように見えるirumoですが、6月20日の発表からわずか10日程度の7月1日には新料金プラン投入という展開の速さは気になるところ。かなり急いでいるようにも感じます。
発表会では、繰り返し「店頭サポートに対するニーズ」を口にしていたドコモ。説明会では料金の安さとサポートがアピールの中心になっていましたが、「半数以上が3GB未満」「より安くしてほしい」「店頭サポートも必要」というユーザーの声は、リテラシーが高くてARPUも高い利用者が流出して、サポートが必要でデータ利用の少ないユーザーが多く残っているというドコモの現状を示しているようにも見えます。
都心部でのネットワークの問題が頻発して、ユーザーが流出している可能性はありますが、サポートを重視することで、ユーザーの引き留めとMNPの流入拡大に繋がるか、新プランがどこまでユーザーのニースに応えられているのか、実際の動向に注目です。