ZOTACのブースで興味深かったのは、米Frore Systemsが開発した冷却ユニット「AirJet Mini」を搭載した超小型PC「ZBOX PI430AJ」だ。AirJet Miniは、縦横が41.5×27.5mmという、切手サイズの小型デバイス。厚さはわずか2.8mmしかないが、4~5W程度の冷却能力を持つという。価格は未定で、年内の発売を予定している。
AirJetは、世界初の「Solid State Active Cooling Chip」だという。通常、冷却にはファンを使うが、AirJetには、ファンのような回転体は無い。技術的な詳細は分からないものの、同社の説明によれば、内部には薄い膜があり、高い周波数で振動させることで、エアフローを生成しているという。
PI430AJには、CPUとしてCore i3-N300(8コア、7W)を搭載。この冷却用に、AirJet Miniを2ユニット使用する。AirJet Miniは、上面の細いスリットから吸気し、横から排気を行う仕組み。PI430AJの背面に手を当ててみると、熱い空気が排出されているのが確認できた。ファンよりも薄くできて、静音性にも優れるという。
Frore Systemsのブースに行ってみると、そこでは、PI430AJのAirJetをオン/オフしたときの比較を行っていた。オン時の消費電力は20W程度で、ベンチマークソフトはスムーズに動作。一方、オフ時の消費電力は9W程度で、ベンチマークソフトはカクカクの動作だった。発熱の影響で、CPUの性能が低下していることが分かる。
AirJet技術は、1月のCESで発表。それを見たZOTAC側からアプローチし、そこからわずか数カ月の開発期間で、超小型PCに実装したという。AirJetの超小型PCへの搭載はこれが初めて。Frore Systemsによれば、そのほか、ノートPCやデジカメなど、様々な用途での活用が見込まれるという。