Google純正のスマートフォン「Pixel」シリーズの最新モデル「Pixel 7a」が登場しました。ハイエンドのPixel 7 / 7 Proに対して機能を削減した低価格モデルという位置づけですが、上位モデルに匹敵するスペックでお手頃なモデルです。

今回、Pixel 7aを試用する機会を得たので紹介します。

  • Pixel 7ファミリー

    Pixel 7シリーズに新たな仲間が加わりました

コスパでは「Pixel 7」とどちらを選ぶか悩ましい「Pixel 7a」

まずは基本スペックをおさらいします。「Pixel 7a」は6.1型FHD+(1、080×2,400)のOLEDディスプレイを搭載。リフレッシュレートは最大90Hz、Corning Gorilla Glass 3のカバーガラスを採用しています。

  • Pixel 7a 正面

    Pixel 7a

  • Pixel 7a 背面

    光沢のある背面。カメラ部のバー状のデザインは他の「Pixel 7」シリーズと共通です

SoCはGoogle Tensor G2で、Titan M2セキュリティコプロセッサを搭載しています。メモリは8GB(LPDDR5)、ストレージは128GB(UFS 3.1)、バッテリー容量は4,385mAh、本体サイズはH152×W72.9×D9.0mm、193.5g。前モデルである「Pixel 6a」にはなかったワイヤレス充電もサポートしました。

Pixel 7a Pixel 6a Pixel 7 Pixel 7 Pro
SoC Tensor G2 Tensor Tensor G2
メモリ 8GB 6GB 8GB 12GB
ストレージ 128GB 128GB/256GB 128GB/256GB/512GB
画面 6.1型FHD+ 6.3型FHD+ 6.7型QHD+
リフレッシュレート 90Hz 60Hz 90Hz 120Hz
バッテリー 4,385mAh 4,410mAh 4,355mAh 5,000mAh
ワイヤレス充電 ×
アウトカメラ 64MP+13MP 12.2MP+12MP 50MP+12MP 50MP+12MP+48MP
インカメラ 13MP 8MP 10.8MP
サイズ 152×72.9×9.0 152.2×71.8×8.9 155.6×73.2×8.7 162.9×76.6×8.9
重さ 193.5g 178g 197g 212g

サイズに関しては「Pixel 6a」寄りですがわずかに大きくなり、重さは15gほど増えました。画面サイズは同じで片手でも扱いやすいサイズですが、この重さの差は気になるところ。とはいえ、「Pixel 7」と共通化されたデザインは独特で見栄えはいいと思います。

  • 「Pixel 7a」と「Pixel 7」を比較

    比較対象になるであろう「Pixel 7」(右)との比較。意外にサイズ差があるように感じますが、コンパクトで扱いやすいサイズです

スペックとしては、SoC/メモリ容量/カメラ機能がアップデートされています。上位モデルと遜色なく、カメラ機能にいたっては6,400万画素のピクセルビニングで1,600万画素記録になっています。単純にスペックアップと言えるかどうかは微妙ですが、センサーは1/1.73型でピクセルピッチは0.8μm、ピクセルビニングでは1.6μmになります。

  • 「Pixel 7a」と「Pixel 7」のカメラバー

    カメラ周りを含めて共通のデザイン

「Pixel 6a」は1,220万画素、ピクセルピッチは1.4μmの1/2.55型だったので、性能的には向上していると言えそうです。「Pixel 7/7 Pro」は1/1.31型5,000万画素でピクセルピッチは1.2μm、ピクセルビニングでは2.4μmだったので、厳密にはダイナミックレンジやノイズに差があるかもしれません。

  • Pixel 7aのカメラ部

    カメラは「Pixel 7」と同じメインの広角と超広角の2つ。ただしメインカメラの焦点距離が35mm判換算で「Pixel 7」が24mm、「Pixel 7a」が25mmとわずかに狭くなりました。超広角カメラも倍率で「Pixel 7」が0.7倍、「Pixel 7a」は0.5倍。焦点距離は「Pixel 7」が16mm相当、「Pixel 7a」は14mm相当で、逆により広角になっています

  • カメラ部の高さを「Pixel 7a」と「Pixel 7」で比較

    カメラの高さを比べてみると明らかに異なっています。このあたりにレンズ性能差が現れていそうです

ただ、作例を見比べてみるとどうも写りに差があるように見えます。「Pixel 7」と「Pixel 7a」では、「Pixel 7」の方がホワイトバランスが強めにかかって青みがかる傾向があるのに対して、「Pixel 7a」の方がより見た目に近い印象。

  • 夕方の風景の作例(Pixel 7)
  • 夕方の風景の作例(Pixel 7a)
  • ホワイトバランスの差を感じさせる夕方の写真(左が「Pixel 7」、右が「Pixel 7a」)。「Pixel 7a」の方が暖色が強く見た目に近い印象。ソフトウェアアップデートで「Pixel 7」も同等になりそうですが……

画素数は増えていますが解像感に差は感じられず、むしろ細部の処理が少し甘め。これはレンズの性能差でしょう。見比べてみると、「Pixel 7」の方がカメラ部の出っ張りが大きく、レンズ枚数などに差がありそうです。その結果、細部のシャープネスや解像感に差があるのでしょう。「Pixel 7」と「Pixel 7 Pro」は画質の違いがほとんど分からないぐらいですが、「Pixel 7a」はその点で差がありそうです。

  • HDRの作例(Pixel 7)
  • HDRの作例(Pixel 7a)
  • HDRもよく効いていますが派手さはなく、全体的に安定した描写ですが、細部で甘い描写が出ています(左が「Pixel 7」、右が「Pixel 7a」)

  • 部分拡大(Pixel 7)
  • 部分拡大(Pixel 7a)
  • 撮影した写真の周辺部を拡大したものですが、「Pixel 7」の方が4隅までくっきりとシャープに描写できています(左が「Pixel 7」、右が「Pixel 7a」)

  • デジタル2倍ズームの作例(Pixel 7)
  • デジタル2倍ズームの作例(Pixel 7a)
  • デジタル2倍ズームも同様の傾向が見られます(左が「Pixel 7」、右が「Pixel 7a」)

Tensor G2は同じなので、撮影機能としてはおおむね「Pixel 7」を踏襲しています。夜景モード/長時間露光/リアルトーン/顔フォーカス/パノラマ/ホワイトバランス調整/トップショット/ポートレートモード/超解像ズーム/デュアル露出補正/Live HDR+など。さらにボケ補正/消しゴムマジック/ポートレートライトといった編集機能も備えます。

  • 夜景モードの作例(Pixel 7)
  • 夜景モードの作例(Pixel 7a)

    夜景モードは手持ちで手軽、かつノイズの少ない描写(上が「Pixel 7」、下が「Pixel 7a」)

  • 夜景モードの作例2(Pixel 7)
  • 夜景モードの作例2(Pixel 7a)

    レンズ性能の差は感じますが、夜景の描写としては十分でしょう(上が「Pixel 7」、下が「Pixel 7a」)

動画は4K60P/シネマティック撮影/最大240fpsのスローモーション動画/4Kタイムラプス/天体写真のタイムラプス/1080pのアクティブ手ブレ補正/5倍までのデジタルズームといった機能に対応しています。「Pixel 7」と比べると、アクションパン/シネマティックぼかし/最大7倍のデジタルズーム/音声ズームといった機能が省かれています。このあたりはメモリ量の差でしょうか。

とはいえ、主要な機能は搭載されているため、多彩な撮影が可能。特にハイライトとシャドウを独立してコントロールできるデュアル露出補正は便利ですし、「Pixel 7 Pro」のような望遠カメラの30倍デジタルズームほどではないですが、8倍の超解像ズームに対応しています。

  • デュアル露出補正と色温度スライダー
  • 長時間露光機能
  • ハイライトとシャドウを補正できるデュアル露出補正と色温度スライダー(左)。長時間露光機能も搭載しますが、アクションパンはないようです(右)

画質面に関しては、比べないと分からないレベルですし、HDRもよく効いて基本的には良好な画質ですし、連写合成による手持ちの長時間露光、夜景、三脚を使っての天体モードといった機能も良好。価格差を考えると、「Pixel 7」と「Pixel 7a」の比較は悩ましいところです。

上位モデル同等のAI機能で最新機能を試せるコスパスマホ

Tensor G2/Titan M2を搭載することで、パフォーマンスやセキュリティ機能に関しては上位モデル同等です。グラフィックスの本格的な重量級ゲームを実施してみてもなめらかに動作し、ディスプレイの反応も違和感はありません。

最大90Hzのリフレッシュレートとなってよりなめらかにゲームが楽しめますが、「Pixel 7 Pro」の120Hzや他の多くのゲーミングスマホに比べると少し物足りないかもしれません。とはいえ、価格で考えると悪くない選択肢でしょう。

「Pixel 7」シリーズということで、多彩なAI機能も備えています。ローカルで音声認識してリアルタイムのテキスト化をするレコーダー機能、音声通話時のバックグラウンドノイズを削減するClear Calling、スナップショットなど、基本的にソフトウェア機能は上位モデル同等です。

  • レコーダーアプリ
  • Clear Calling
  • 個人的にも愛用しているレコーダーアプリ(左)。精度も高く、ローカル処理というのが嬉しいところ。音声通話をより快適にできるClear Callingも利用できます。

もちろん、純正スマートフォンとして最新のアップデートをいち早く試せるというのも強みでしょう。

  • コンパクトで持ちやすいPixel 7a

    コンパクトで持ちやすいPixel 7a

  • 比べてみるとPixel 7は少し大きく感じます

    比べてみるとPixel 7は少し大きく感じます

  • Pixel 7 Proはやはり大きい

    Pixel 7 Proはやはり大きい

  • 左側面
  • 右側面
  • 天面
  • 底面

    側面のデザインは「Pixel 7」シリーズ共通です

とりあえずざっくりと「Pixel 7a」を見てきましたが、Googleストアでの価格62,700円というのはコストパフォーマンスの高さを感じます。今回からNTTドコモからも販売されることになり、対応周波数が広がった点も魅力。

もちろん、防水防塵、おサイフケータイといった機能もサポート。恐らくですが、5月11日から開始されるマイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載する「スマホ用電子証明書」にも対応しそうですし、バランスの取れたスマートフォンと言えそうです。