Googleの新型スマートフォン「Pixel 7a」が発表されました。Pixelスマートフォンの中でも、手頃な価格ながら上位モデルに迫る性能を持ちコストパフォーマンスの良いAシリーズの最新機種ということで、購入を検討している方も多いのではないでしょうか。

  • 写真左がPixel 6a、右がPixel 7a。1年前の機種との違いを見ていこう

    写真左がPixel 6a、右がPixel 7a。1年前の機種との違いを見ていこう

一方で、およそ1年前に発売された「Pixel 6a」もまだ購入できますし、キャリア各社の販売施策を加味すると非常に魅力的な価格で手に入る機種となっていることもあり、「今から6aを選ぶのもありか」「差額に見合う違いはあるのか」という考えもあるかと思います。

本記事では、Pixel 6a/7aの違いを簡潔にまとめ、選び方のポイントを解説します。

基本性能は順当にアップ。Pixel 7と同じ「Tensor G2」搭載

まずは両機種の主な仕様を下表にまとめたので違いを見比べてみましょう。

  Pixel 6a Pixel 7a
SoC Tensor Tensor G2
メモリ 6GB 8GB
ストレージ 128GB 128GB
画面サイズ 6.1インチ(有機EL) 6.1インチ(有機EL)
画面解像度 2,400×1,080(フルHD+) 2,400×1,080(フルHD+)
リフレッシュレート 60Hz 90Hz
アウトカメラ 約1,220万画素(広角)+約1,200万画素(超広角) 約6,400万画素(広角)+約1,300万画素(超広角)
インカメラ 約800万画素 約1,300万画素
通信方式 5G(Sub6)/4G 5G(Sub6)/4G
SIM nanoSIM/eSIM nanoSIM/eSIM
Wi-Fi Wi-Fi 6(日本版は6GHz帯未開放) Wi-Fi 6E(6GHz帯対応)
Bluetooth 5.2 5.3
バッテリー 4,410mAh 4,385mAh
防水/防塵 IPX7/IP6X IPX7/IP6X
生体認証 指紋認証(画面内)/顔認証 指紋認証(画面内)/顔認証
サイズ 約152.2×71.8×8.9mm 約152×72.9×9.0mm
重量 約178g 約193.5g
価格 53,900円 62,700円

SoC(CPUやGPU、モデムなどを含むスマートフォンの心臓部)は、Pixel 6などに搭載された初代Google Tensorから、Pixel 7などと同じGoogle Tensor G2へと順当にアップグレードされています。あわせて、メモリ容量も拡張されました。

  • Google独自チップの第2世代「Google Tensor G2」を搭載

    Google独自チップの第2世代「Google Tensor G2」を搭載

バッテリー容量はわずかに減りましたが体感できるほどの差ではなく、実際の電池持ちを考えるならTensor G2のモデム周りなどの省電力化の恩恵が上回ると予想されます。他にネガティブな違いとしては、画面サイズ・本体サイズはほぼ変わらないのに対し、本体重量は約178g→約193.5gと持って違いが分かる程度には増しています。また、価格が8,800円上がったことも無視できません。

基本性能の底上げとカメラ性能の強化、そして従来のAシリーズでは省略されてきた機能もしっかりと備え、上位モデル顔負けの充実した装備となった点に差額分の価値を感じるか否かが決め手となるでしょう。

  • 画面サイズは変わらず、6.1インチFHD+の有機ELディスプレイを搭載する

    画面サイズは変わらず、6.1インチFHD+の有機ELディスプレイを搭載する

  • 本体のサイズも大きくは変わらないが、重量は増している。カメラバーのデザインがPixel 7に近いものとなった

    本体のサイズも大きくは変わらないが、重量は増している。カメラバーのデザインがPixel 7に近いものとなった

  • 厚さはほぼ変わらない。また、上位モデルと比べてカメラ部分の段差がだいぶ控えめになっているという美点もそのままだ

    厚さはほぼ変わらない。また、上位モデルと比べてカメラ部分の段差がだいぶ控えめになっているという美点もそのままだ

Pixelシリーズ初の6,400万画素センサーを搭載、超広角やインカメラも強化

基本性能の向上と並んで大きく変化した部分がカメラ性能です。

先代のPixel 6aのカメラ仕様をおさらいすると、背面には約1,220万画素(センサーサイズ1/2.55インチ、画素ピッチ1.4μm)で画角77度・絞りF1.7の広角カメラと、約1,200万画素(画素ピッチ1.25μm)で画角114度・絞りF2.2の超広角カメラを搭載し、インカメラは約800万画素(画素ピッチ1.12μm)で画角84度・絞りF2.0でした。

Pixel 7aのカメラ仕様は、メインカメラが約6,400万画素(センサーサイズ1/1.73インチ、画素ピッチ0.8μm)で画角80度・絞りF1.89、超広角カメラは約1,300万画素(画素ピッチ1.12μm)で画角120度・絞りF2.2、インカメラは約1,300万画素(画素ピッチF1.12μm)で画角95度・絞りF2.2となっています。

細かな部分まで記載しましたが、ざっくりまとめるとすべてのカメラが高画素化され、メインの広角カメラではセンサーサイズも拡大されています。超広角カメラの画角も若干広がり、インカメラも広角化が進んで複数人での自撮りもしやすくなりました。

メインカメラの6,400万画素というのは実はPixel 7/7 Proを超えてシリーズ最大となる数値。高画素数=高画質ではありませんが、望遠カメラを搭載しない廉価モデルだからこそ、デジタルズームを使う際のベースとして高画素化の恩恵は大きいといえます。

  • 広角+超広角のデュアルカメラという構成はPixel 6aやPixel 7と同様だが、Pixel史上初の6,400万画素という高画素センサーを採用する

    広角+超広角のデュアルカメラという構成はPixel 6aやPixel 7と同様だが、Pixel史上初の6,400万画素という高画素センサーを採用する

「Aシリーズでは省かれてきた機能」が加わり、死角のない仕様に

このほか、Aシリーズとして初めてワイヤレス充電(Qi)に対応した点にも注目。使う人・使わない人がはっきり分かれる機能ではありますが、それが日常になっている人は買い替え時に非常に重視する項目でもあります。

Pixelの場合、上位モデルではPixel 3以降の全世代でワイヤレス充電に対応しており、純正充電スタンド(Pixel Stand)も用意されているため、利便性やすでに整えてしまった充電環境を考えるとワイヤレス充電非対応の機種には戻れないというユーザーも少なくないはず。たとえばPixel 4や5あたりを使っていて「次はAシリーズで十分かな」と考えていたユーザーにとっては朗報でしょう。

また同様に従来のAシリーズでは省略されてきたスムーズディスプレイにも対応しました。一般的な60Hzディスプレイよりもリフレッシュレートの高いディスプレイを指し、Pixel 7aでは上位モデルと同じ90Hz駆動を選択できます。

これもワイヤレス充電と同様に「本来必須というわけではないけれど、一度慣れたら戻れない」系の機能といえます。体感的な操作の滑らかさに大きく影響する部分で、たとえば記事やSNSのタイムラインをスクロールしながら読んでいる時などには違いを実感しやすいです。

従来のAシリーズでは処理性能やカメラ性能でのコストダウン以外に、万人にとって必須というわけではない細かな機能を省略することでも上位モデルとの差別化を図っていました。

ところが、Pixel 7aではそういった「Aシリーズでは省かれてきた機能」も盛り込まれ、より上位モデルに近く死角のない製品に仕上がっています。

  • 従来の廉価モデルでは省略されてきた機能も搭載され、過去のAシリーズからの買い替えはもちろん、Pixel 4やPixel 5あたりからの買い替えにもおすすめできる機種だ

    従来の廉価モデルでは省略されてきた機能も搭載され、過去のAシリーズからの買い替えはもちろん、Pixel 4やPixel 5あたりからの買い替えにもおすすめできる機種だ