ハイセンスジャパンは、ミニLEDと量子ドット技術を採用し、新エンジンも搭載した4Kテレビ2シリーズ5機種を5月18日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は最上位「UX」シリーズ 65型が39.8万円前後、“身近”な価格帯に投入する「U8K」シリーズ 55型が16.8万円前後など。

  • ハイセンス 2023年春夏の4Kテレビ2シリーズ5機種。左側2機種が最上位「UX」シリーズ、中央から右端にかけての3機種が「U8K」シリーズ

どちらも低反射と広視野角を両立したパネルを採用し、昨今の液晶テレビのトレンドであるミニLEDと量子ドット技術を投入して高画質化を追求。さらに、映像処理を行う新しい映像エンジンもはじめて搭載し、AI技術を活用した多彩な高画質処理機能や超解像処理機能を利用できるようにした。

両シリーズはパネルやスピーカー構成に違いがあり、UXは液晶テレビにおける最新技術を投入した最上位シリーズと位置づける。また、U8Kシリーズは最上位機に近しい性能を備えつつも価格を抑え、ミニLED液晶テレビを身近な価格帯に投入する。

ハイセンスの新しいフラッグシップ4KテレビとなるUXシリーズは、独自の新開発「ダイナミックXディスプレイ」で同社史上最高画質を追求し、Dolby Atmos対応の10スピーカー立体音響サラウンドシステムを搭載。性能にこだわり、新技術も重視するユーザーをターゲットに展開する。

  • (左から)UXシリーズの65型「65UX」と75型「75UX」

■UXシリーズの店頭予想価格

  • 75型「75UX」:49万8,000円前後
  • 65型「65UX」:39万8,000円前後
  • 65型「65UX」

ハイセンス4Kテレビのハイクラスに位置づけるU8Kは、ミニLEDや量子ドット技術、新エンジンで一般的な液晶テレビよりも画質を高めながら、最上位UXシリーズと同等のネット動画/ゲーミング機能を備えつつ価格を抑えたシリーズ。「最上位の性能までは求めないが、ミドルクラス以上の性能がほしいユーザー」をターゲットとしている。

  • (左から)U8Kシリーズの75型「75U8K」、65型「65U8K」、55型「55U8K」

■U8Kシリーズの店頭予想価格

  • 75型「75U8K」:26万8,000円前後
  • 65型「65U8K」:19万8,000円前後
  • 55型「55U8K」:16万8,000円前後
  • 65型「65U8K」

両シリーズの映像処理を司る映像エンジンは、UXシリーズが「HI-VIEWエンジンX」、U8Kシリーズが「HI-VIEWエンジン」。HI-VIEWエンジンXでは、“人間が肉眼で見ているリアルな世界をAI技術で再現する”ことを目指し、明暗差を4,096段階で表現する12bit演算よりも、さらに豊かな階調表現が行える16bit(65,536段階)の信号処理に対応。さらに最新の超解像処理技術も可能にした。U8KシリーズのHI-VIEWエンジンには、地デジや4K放送、ネット動画やゲームも高画質で楽しめるよう、さまざまな高画質機能を備えている。

  • 新開発の「HI-VIEWエンジンX」をUXシリーズに搭載

UXシリーズの画音質の特徴

青色LEDを敷き詰めたミニLEDバックライトと広色域量子ドット技術、新開発の低反射倍速XDRパネル(4K/3,840×2,160ドット)を組み合わせた、独自の新しい「ダイナミックXディスプレイ」を搭載。ハイセンスでは「有機ELをしのぐ圧倒的な高コントラストに加えて、明るさ、豊かな色表現、滑らかさ、広視野角を追求した」とうたっている。

  • 独自の新開発「ダイナミックXディスプレイ」の構造

具体的には、新しいディスプレイは従来のミニLED機「U9H」(2022年発売)と比べて、ピーク輝度が75型では最大150%も向上(65型は115%アップ)。ミニLEDの使用数も75型では2.5倍、65型で1.9倍に増えているという。

このミニLEDの点灯をエリアごとに分割コントロールすることで、コントラストを高める「ローカルディミングアドバンスト」技術を新たに搭載。分割数は75型で3.8倍、65型で2.8倍(U9H比)まで向上し、明るい部分はより明るく、黒い部分はより黒く再現して映像の奥行き感を向上させる。

  • ローカルディミングアドバンストのイメージ

色表現で重要な量子ドット技術にも改良を重ねており、新たに拡散板から量子ドットフィルムを独立させているのが大きな特徴。従来は拡散板と量子ドット層を一体化したものを使っていたが、量子ドットフィルムを独立構造にすることで、色分布が緊密に保たれ、より純度の高い3原色でリアルな色彩を追求した。また、これによってDCI-P3カバー率も98%を達成した。

高コントラストな倍速パネルを使い、映り込みを従来比で75%抑えた低反射性能によって見やすい表示を追求。また、偏光子技術を採用して横からでも見やすい広視野角を実現している。

  • UXシリーズでは、拡散板と量子ドットフィルムを独立させた構成で色表現を強化。左が従来の量子ドット

サウンド面では、立体音響のDolby Atmosに対応。上向きのイネーブルドスピーカー2基、サイドスピーカー2基、前面のフルレンジ2基、ツイーター2基、背面サブウーファー2基の計10スピーカーで構成した、総合出力82Wのサウンドシステムを装備し、映画やスポーツなどのエンタメを迫力の重低音と臨場感で再現する。さらに、スピーカーの3次元マトリックス測定と、独自の音響解析理論に基づく音響最適補正技術「Eilex PRISM」も採用している。

  • UXシリーズのスピーカー構成

  • UXシリーズの両脇にあるサイドスピーカー(手前)。左上奥には上向きのイネーブルドスピーカーが見えている

UXシリーズの画音質の特徴

4K/3,840×2,160ドットの広視野角ADSパネルを搭載し、120Hz駆動に対応。バックライトに青色LEDを敷き詰めたミニLEDを採用しており、通常の4Kテレビよりも細かなエリアごとに映像と連動させて分割駆動することで、ピーク輝度を従来機種よりも引き上げている。これにより、メリハリの効いた明るさと引き締まった黒のコントラストによる鮮やかな描写と、高コントラストで発色豊かな映像を実現する。

さらに、広色域量子ドット技術によって従来の液晶テレビよりもはるかに純度の高い3原色を実現。バックライトからの青い光を赤、緑、青へと直接変換することで、輝度を高く保ったまま高純度な色彩表現を可能にした。DCI-P3カバー率は約97%。

サウンド面では、立体音響のDolby Atmosに対応。フルレンジ2基とツイーター2基、サブウーファー1基の計5スピーカーで構成した、総合出力40Wのサウンドシステムを装備する。スピーカーの3次元マトリックス測定と、独自の音響解析理論に基づく音響最適補正技術「Eilex PRISM」も採用している。

2シリーズ共通の機能

UXシリーズのHI-VIEWエンジンXでは、「AIナチュラルリアリティー」、「美肌リアリティーアドバンスト」、「AIネット映像高画質処理アドバンスト」、「AI放送映像高画質処理アドバンスト」4つの新しい高画質処理機能を導入している。

「AIナチュラルリアリティー」は立体感を復元する超解像技術。映像の被写体と背景をAIが識別し、それぞれに適切な超解像処理を行うことで、背景に奥行きと立体感のあるリアルな映像表現を実現。「その場にいるような没入感」を味わえるという。

  • AIナチュラルリアリティのイメージ

また、従来の美肌リアリティー機能を強化した「美肌リアリティーアドバンスト」にはAI顔認識機能を追加することによって、映像に映っている人間の顔や肌の色を自動で認識・補正し、自然な人物映像にする。

  • 美肌リアリティーアドバンストのイメージ

ネット動画の特性に合わせた画質処理を行う「AIネット映像高画質処理アドバンスト」では、コントラストや精細感をアップするだけでなく、光源の近くや快晴の空など、微妙な色合いのグラデーションで起こりがちなバンディングノイズを滑らかにする処理を新たに追加。

地デジやBSデジタル放送のノイズを低減する「AI放送映像高画質処理アドバンスト」も搭載している。バラエティ番組などで使われるワイプやテロップ文字に対し、文字の周りやエッジ周辺に出やすいモスキートノイズ、処理範囲が広いときに出るブロックノイズなど、ノイズの種類に合わせた低減処理を行う。

  • UX/U8Kシリーズではバンディングノイズを可能な限り抑え、目立たなくしている

  • 通常の4Kテレビで発生しているバンディングノイズ

  • 映像設定を呼び出したところ

U8KシリーズのHI-VIEWエンジンも、「AIネット映像高画質処理」、「AI放送映像高画質処理」、「AIオート画質調整」、「美肌リアリティー」といったさまざまな高画質処理機能が利用できる。

両シリーズで対応するHDR方式は、HDR10、HDR10+、HLG、Dolby Vision。さらに、部屋の明るさに合わせてHDRコンテンツの画質を自動で最適化するHDR10+ ADAPTIVE、Dolby Vision IQもサポートする。

独自プラットフォーム「VIDAA」で映像配信サービスを楽しめ、NetflixやYouTube、Amazon Prime Video、Disney+などに加えて、新たに「FOD」、「TVer」、「DAZN」、「NHKプラス」、「WOWOWオンデマンド」を追加。全17社の動画配信サービスを楽しめるようにした。付属のリモコンには「TVer」ボタンを加えた、計10個のダイレクトボタンが備わっている。

  • UX/U8K用のリモコン。中央下に、新たに加わった「TVer」ボタンが見える

  • 左が新しいUX/U8K用のリモコン。右は従来機種のリモコンで、ダイレクトボタン周りの配置や配色が若干変更されているのが分かる

  • リモコンの裏側には、ドット状のあしらいを施しており、持ちやすさや見た目の良さに寄与している

HDMI入力は4系統で、HDMI 1~2のみ4K/120p入力に対応。4K/120Hzや1080p/120Hz入力において約0.83msの低遅延を実現する「ゲームモードPro」を装備する。ちらつきやカクツキを抑えるVRRや、入力機器からの情報に連動して自動で低遅延/高画質モードを切り換えるALLM機能、コンテンツのフレームレート(fps)とテレビのリフレッシュレート(Hz)を同期させて、カクツキやティアリングを低減するAMD FreeSync Premiumにも対応する。

チューナー数は、BS4K/110度CS 4K×2、地上/BS/110度CSデジタル×3。別売の外付けUSB HDDをつなぐと放送番組の録画が行え、2番組同時録画にも対応する。

ネットワーク機能ではネット動画再生のほかにも、UX/U8Kで録画した番組を別室のクライアント機能付きテレビへと送り出す「Anyviewホームサーバー機能」を装備。クライアント機能を備えるハイセンス製テレビには、2018年以降発売のU9H/U7H/A6H/A6Gシリーズがあり、対応機器であればUX/U8KにつないだHDDの録画番組を離れた場所から見られるようになる。

このほか、手持ちのスマホ画面をテレビに映し出す「スクリーンシェア」として、「AirPlay 2」と「Anyview Cast」に対応。テレビの音声をBluetoothヘッドホンで楽しむBluetooth送信機能や、テレビに話しかけてチャンネルや音量調整、入力切り替えなどが操作できる「VIDAA Voice」などをサポートする。