中国Chuwi Innovation Technology(以下、CHUWI)が日本国内で販売したパソコン/タブレット端末において、Wi-Fiの5GHz帯を利用すると電波法違反となる状態のまま販売されていたことが明らかになった。
違反製品は5機種、「GIGAスクール」で納入実績のある端末も
総務省は4月12日、該当製品に関して「電波発射可能な状態である5GHz帯の技術基準の適合証明を受けておらず、また、技術基準の適合表示が紛らわしい状態で販売していた事実が認められた」として、CHUWIに対して行政指導を行った。
総務省の事例公表によれば、対象となるのは認証番号208-160180として一括申請されたCWI509、CWI529、CWI526、CWI534、CWI535の5型番。これをメーカー側の情報と照らし合わせると、製品名でいえば「UBook」「UBook Pro」「Hi10 X」「MiniBook」「Hi13」の5機種となる。
これらのうち、特にHi10 Xに関してはGIGAスクール構想による「1人1台端末」としての採用実績もあるため、本件に関しては徳島県教育委員会も各校を通じて生徒に5GHz帯で通信しないよう呼びかけている。
「5GHz帯だけ」違反状態となった経緯
過去の違反事例と比べて珍しい点は、Wi-Fi通信のうち5GHz帯のみが技適未取得・電波法違反となっている(2.4GHz帯の認証は正常に取得している)ことだ。
今回問題となっている5製品はいずれもIntel製の無線LANモジュール「9461D2W」を搭載していて、これはモジュール単位の認証も受けている(認証番号003-170203)。そのモジュールを組み込んでCHUWI製品としての認証を取得する際、認証提供会社(原文ママ。検査・認証を行った登録証明機関を指すと思われる)から「5GHz帯の認証はモジュール単位のものを踏襲できる」と説明を受け、2.4GHz帯のみ自社で認証を受けたという。しかし実際には、同一モジュール上の2.4GHz帯/5GHz帯の通信で別々に取得した認証を組み合わせるという考え方はできず、結果的に5GHz帯の認証が有効でない状態となった。
先述の行政指導を受けて、CHUWIは該当製品の技術基準適合証明の再取得を進めており、4月30日までに完了見込みとしている。
総務省からのもうひとつの指摘内容
メーカー側のアナウンスでは5GHz帯の技術基準の適合証明を受けていなかったことのみを説明しているが、総務省の発表では「技術基準の適合表示が紛らわしい状態で販売していた」と別件についても触れている点に注目したい。
「紛らわしい状態」とは何を指すのかこの文章だけでは読み取りにくいが、該当製品の背面にはCEマークやFCCマークと並んで日本の技適マークも印刷されている。
しかし、実はマーク単体での表示は認められておらず、印刷/ラベル貼付でも電磁的表示(設定画面などでの電子表示)でも、マークの隣に必ず認証内容を示す記号・番号を記載して初めて効力を発揮する規則となっている。
5GHz帯の再認証の件はともかく、表示の件を修正するにはラベルの貼付などユーザーを巻き込んだ何らかの対応が必要となるはずだが、4月14日時点ではCHUWIからは言及されていない。