Sonosは、2つのスマートスピーカー新製品を全世界で販売開始する。「最高の空間オーディオ体験を実現する」という、Dolby Atmos対応の「Era 300」は69,800円。ステレオ再生対応になった「Era 100」が39,800円。カラーはマット仕上げのブラックとホワイトの2色。

  • Era 300(ホワイト)

  • Era 100(ホワイト)

いずれも国内ではヨドバシカメラ、ビックカメラの実店舗・オンライン店舗と、Amazonで3月8日から順次先行予約受付を開始。3月29日から全店舗で販売開始する。

Eraシリーズは「サウンド革新、持続可能な設計、そしてクリエイターコミュニティとの深いつながりに真剣に向き合うSonosの想いを詰め込んだ」という、Sonosの新たなスマートスピーカー。Sonos Voice Controlで音楽を再生しながら、ハンズフリーでプライベートにシステムを管理できる。Amazon Alexaもサポートし、Alexa対応のスマートホームデバイスや、Amazonショッピングリストの操作が行えるという(ただし、日本語には非対応)。

  • 左がEra 300、中央がEra 100。右はEra 100の前世代機であるSonos One

Sonosのサウンドエクスペリエンスを担当するジャイルズ・マーティン(Giles Martin)氏は、「モノラルからステレオへとサウンドが変化したように、空間オーディオは音響の次なる進化であり、まるで音楽に包み込まれるようなサウンド体験を生み出す。クリエイターと主要なストリーミングプラットフォームの両者が音楽に空間オーディオを取り入れている今、この刺激的かつクリエイティブな音響への期待に応えるサウンド体験を作るのに最適なタイミング」とコメントしている。Sonosにとっても“新しい時代、新しい世代の製品”という意味を込めて、Era(時代)というキーワードをシリーズ名に採用した。

  • Sonos製品のラインナップ

Era 300

  • Era 300(ブラック)

砂時計のようなくびれを持つユニークなボディに複雑な音響構造を内蔵し、6つのスピーカーユニットを搭載。各スピーカー独自の音響構造に合わせてチューニングした、6つのクラスDデジタルアンプも備える。短時間いくつかの楽曲を試聴した限りでは、パワフルかつ明瞭な低域と、中高域の解像感の高さが好印象。広いリビングにポンと置いて鳴らしておくだけでも、十分に音楽の“美味しいところ”がイイ音で楽しめそうだと感じた。

  • くびれのあるユニークなデザインが目を引くEra 300

ユニット構成としては、中高音域を鳴らすツイーターが4つあり、前面と左右の側面に搭載したミッドツイーターは指向制御技術を応用してクリアなセンターとワイドなステレオ音像を再生する。さらに上向きのツイーターにはホーン型の指向制御技術を応用し、Dolby Atmosコンテンツのイネーブルドスピーカーとして機能。天井の反射音を利用し、立体的なサウンドを再生する。

また、両サイドには“計算されたアングル”で2つのウーファーを搭載しており、低音域の出力を最大化。臨場感のあるステレオ再生を追求した。

  • Era 300の内部構造

Dolby Atmosデコードに対応しており、発売時点ではAmazon Musicで配信しているDolby Atmos楽曲を再生可能。また時期未定ながら、Apple MusicのDolby Atmos楽曲の再生も、今後サポートする模様だ。ちなみに、360 Reality Audioなどの空間オーディオフォーマットについては、「ソフトウェアアップデートによって(Atmos以外のフォーマットにも)対応できうる」(Sonosプロダクト・マネージャーのライアン・ムーア氏)とのこと。

  • SonosアプリからDolby Atmos楽曲を再生すると、アルバムジャケットの右下に小さく「Dolby Atmos」のロゴが表示される(赤枠内)

単体で音楽を聴けるだけでなく、現行のSonos製サウンドバー「Arc」や「Beam (Gen 2)」、サブウーファー「Sub」と組み合わせることで、ホームシアターシステムのリアスピーカーとしても使え、最大7.1.4chのサラウンドサウンドを実現できるSonosブランド初のスピーカーとなる。なお、Atmos音声は映像配信サービスの対応コンテンツだけでなく、Blu-rayソフトに収録されたドルビーTrueHDのDolby Atmos再生もサポートする。

実際にArcとSub、それにリアとして2台のEra 300を組み合わせたホームシアターシステムで、Atmos収録の映画を観てみた。『トップガン マーヴェリック』の戦闘シーンでは、超低空で飛行する戦闘機の低域が胸に迫り、編隊を追いかけ回すいくつものミサイルが空を切り裂く音の動きが非常に立体的。言い知れない“恐怖”を感じた。

  • Sonosのサウンドバー「Arc」と、写真には写っていないがリアスピーカーとして2台のEra 300、サブウーファー「Sub」を組み合わせて映画を観た

  • Era 300(左右)を含むホームシアターシステムの設置イメージ

  • システム全体の音のズレは、Sonosアプリから4段階で補正できる(プリセットのため手動調整には対応しない)

本体のスピーカーグリルは、指向性や拡散性を最大化させるように精緻に設計。また、アーティストがスタジオで意図したサウンドをそのまま体験できるよう、精緻なチューニングも施した。本体サイズと重さは260×185×160mm(幅×奥行き×高さ)/4.47kg。

  • Era 300の背面。マイクをオフにするスイッチが中央左下に見えている。その隣は後述のUSB-C端子

Era 100

  • Era 100(ホワイト)

  • Era 100(ブラック)

Era 100は、国内では2018年10月に販売開始したモノラル再生の「Sonos One」をリニューアルした新機種で、新たに単体でのステレオ再生に対応。

Era 100には、2つのツイーターと25%大型化したミッドウーファー、音の拡散性を最大化するカスタムウェーブガイド、3基のクラスDデジタルアンプ、47%高速化したプロセッサを搭載。本体のサイズ感はOneと似ているが、縦に長くなっているのがOneと異なるポイントだ。

  • Era 100(左)とSonos One(右)を並べたところ

  • Era 100の内部構造

上位のEra 300とはスピーカーユニットの数や内部構成が異なり、空間オーディオにも対応してはいないものの、両手で軽々と持てるサイズ感からは想像もできないほどに豊かな鳴り方をする。音量を上げても歪むことなくクリア。低域や量感はEra 300と比べると若干物足りなさは感じるが、それでも十分にイイ音だと感じる。コンパクトでさりげない佇まいなので、部屋のインテリアにこだわる向きにはちょうどよさそうだ。

  • Era 100の設置イメージ

2台のEra 100をペアリングしたり、Sonosのサウンドバーにリアスピーカーとして組み合わせて使うといった、Sonos製品ならではの拡張性も健在。本体サイズと重さは120×130.5×182.5mm(幅×奥行き×高さ)/2.02kg。

  • Sonos製サウンドバーに、Era 100をリアスピーカーとして組み合わせるイメージ

  • Era 100の背面

  • Era 100の底面。中央の穴は専用スタンド用のネジ穴

Era 300/100に共通する主な仕様

どちらもSonos独自の「Trueplay」に対応。Sonosアプリからセットアップするときに、各製品の内蔵マイクを用いて部屋の音響特性を測定し、室内にあわせたサウンドに最適化する。これまで同機能はiPhoneのみで使えたが、EraシリーズではiOS/Androidの両方で利用可能になっている。

Trueplayを使う場合、iOSデバイスではスピーカー側のマイクを使うクイックチューニングと、モバイルデバイス側のマイクを使って高精度な最適化が行えるアドバンスドチューニングが選べる。Androidデバイスではクイックチューニングのみ利用できる。

  • Sonosアプリから各種操作・設定が行える

いずれも遠距離対応マイクロホンアレイを備えており、ビームフォーミング技術とマルチチャンネル時のエコーキャンセリング技術によって正確な音声コントロールとTrueplayチューニングを可能にするという。マイク機能を使いたくない場合は、背面のトグルスイッチでオフにもできる。

Sonosアプリから各種音楽ストリーミングサービスの楽曲を直接再生でき、iPhone/iPadなどApple製品からのAirPlay 2によるワイヤレス再生や、すべてのSonosスピーカーから同じ音を流す、マルチルーム再生にも対応する。内蔵している無線LAN機能はIEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax(Wi-Fi 6)準拠で、2.4/5GHz両対応。Bluetooth再生もサポートし、対応コーデックはAACとSBC。

  • Sonosアプリから対応スピーカーのマルチルーム再生を設定しているところ

このほか、Eraシリーズを有線接続のパワードスピーカーとして使うこともでき、別売のSonosライン入力アダプター、またはEthernet端子付きのSonosコンボアダプター(いずれもUSB-C接続対応、価格未定)とAUXケーブルを使ってターンテーブルなどのアナログ音声を入力できるようになっている。Era 300/100の背面にあるUSB-C端子は上記のアダプター専用で、給電やデジタル音声伝送には対応しない。

  • 別売のSonosコンボアダプター

  • Era 100をレコードプレーヤーとつなぎ、有線接続のパワードスピーカーとして使うイメージ

  • 有線接続時もアプリから設定できる

  • 上がSonosコンボアダプター下がSonosライン入力アダプター

本体天面に備えたタッチセンサーで、音楽再生/一時停止や曲戻し、曲送りのタッチ操作に対応。音量調整は、新しいスライドコントロールによって指を左右に滑らせて操作できる。

  • 本体天面に備えたタッチセンサー。スライドコントロールで直感的に音量調整できる

どちらも自本体の素材には再生プラスチック(PCR)を使用。自宅で何年間も使い続けることを想定した設計で、接着剤の使用を減らし、分解と修理がしやすいネジ留めに置き換えて耐久性を高めたとする。また、環境に配慮して消費電力を抑える設計も採用。待機時の電力消費量を2W以下に抑え、新たにスリープ機能も装備した。梱包材には持続可能な方法で調達された紙だけを使っている。