日本で発売された「arrows N」やサムスンが海外で発売中の「Galaxy S23」など、リサイクル素材を多用した環境にやさしいスマートフォンが増えています。環境問題はヨーロッパでは特に敏感で、2022年にはEUの欧州議会がスマートフォンの充電コネクタの統一を決め、バッテリーを簡単に交換できるようにメーカーに義務付けしようとしています。しかし大型かつ薄型化が進む最近のスマートフォンはバッテリーを自分で交換することは難しく、スマートフォンメーカーにとっては難題がぶつけられようとしているのです。
そういった状況下、最新のスマートフォンでもバッテリー交換可能な製品が定期的に販売されています。サムスンの「Galaxy Xcover6 Pro」は2022年6月に発売された製品ですが、タフ仕様なモデルである「Xcover」シリーズの最新機種として現在も海外で販売中です。
サムスンのスマートフォンと言えばカメラ性能の高いフラッグシップ「Galaxy S」シリーズ、折りたたみディスプレイの「Galaxy Z」シリーズ、コスパを重視した「Galaxy A」シリーズなどが知られています。Galaxy Xcoverシリーズは業務用も意識したプロ仕様のスマートフォンで、剛性の高い強度のあるボディー構造も大きな特徴になっています。
チップセットにはSnadpragon 778G 5Gを採用、ディスプレイは6.6インチ2,408×1,080ピクセルで、カバーガラスは強度の高いGorilla Glass Victus+を採用。本体はIP68の防水防塵対応、MIL-STD-810H規格もクリアしています。ミドルハイレンジなモデルですが、業務用途で利用されることからヘッドホン端子も備えています。
本体価格は599ドル(約8万1,000円)。業務用が主なターゲットですが、家電量販店でも販売している国もあり、一般消費者が買うことも可能です。ただしカメラは5,000万画素と800万画素の超広角の2つのみなので、カメラだけ見るとエントリークラスといえるかもしれません。タフなスマートフォンはゴツいデザインの無名メーカーのものも出ていますが、大手メーカーのサムスンの製品で仕事にも使える製品というのは企業にとっても導入しやすいでしょう。
本体左側面には大型のクイックアクセスボタンを備えます。ここにはよく使うアプリを割り当てておくことが可能。ボタンが大きいのは軍手など手袋をしていても、しっかり押せるようにしているためで、現場作業中でも作業を中断せずよく使うアプリをすぐに起動できるわけです。なおディスプレイも手袋をしたままタッチできる高感度モードを搭載しています。
1.5メートルの高さから落としても本体が破損することなく使い続けられます。水中での防水性能も1.5メートルの深度で30分耐えられます。
さてタフなだけであれば他社からも同様な性能のスマートフォンが出ていますが、Galaxy Xcover6 Proの最大の特徴は背面カバーが取り外せ、バッテリーも交換可能なことです。現場作業では本体を充電する暇なく使い続けることもあるでしょうから、予備バッテリーを充電しておきバッテリーが空になったら交換することも必要とされます。サムスンのXcoverシリーズは歴代モデルがこのようにバッテリー交換式になっています。
背面カバーの内側を見るとバッテリーや基盤を守るためにしっかりとゴムのシーリングが貼られています。カバーの嵌め込み精度も高く、先ほどの落下テストを何度やってもカバーが外れてしまうことはありませんでした。なお本体のサイズは168.8×79.9×9.9mm。バッテリー交換式でもこれくらい薄いスマートフォンを作ることは可能なのです。
バッテリーは4,500mAh。一般人が普段使いするなら交換することなく毎日充電すれば十分間に合う容量です。今後スマートフォンのバッテリー交換が完全必須になったとしても、サムスンはXcoverシリーズの知見を活かしてコンシューマー向けのモデルを出すことも可能でしょう。ただし現実的にはそこまで厳しい規制になるとは考えにくく、今後の欧州議会の動きが気になるところです。
サムスンはタブレットでも同様にタフ仕様でバッテリー交換が可能な「Galaxy Tab Active4 Pro」もリリースしており、こちらは日本でも業務用として販売されています。こちらも防水や落下に強いこと、また充電中にバッテリーを通さず本体を直接給電できるモードで車載用途にも使えるなど、一般ユーザーの中にも使いたいと思う人がいるでしょう。環境問題対策だけではなく、ユーザーの多様なニーズに応えるためにも、サムスンのタフネスモデルはぜひスマートフォンも日本で販売してほしいものです。
div data-template="author">