エアコンや洗濯機、ロボット掃除機など、いまは高機能家電のIoT化は当たり前。とはいえ、せっかく多彩なIoT機能があっても「外出先からエアコンを起動させる」「指定時間にロボット掃除機を動かす」といったように、基本的な機能しか使わないことは多いものです。
そんななか、スマートホームアプリ「SpaceCore(スペースコア)」を提供しているアクセルラボが、2023年1月に新宿にてショールームをオープン。「スマート家電を駆使した住宅」がどのように便利なのか、体験できるようになっています(いまのところは不動産事業者や報道機関向け)。イマドキのスマートホームはどんなものなのか、ショールームを見学してきました。
複数メーカーのスマート家電製品を連携できるSpaceCoreアプリ
スマート家電は外出先から遠隔操作できたりと、さまざまなメリットがあります。しかし、ほとんどは自社規格の専用アプリが必要。スマート家電をたくさん導入すると、スマートフォンに専用アプリがどんどん増えて操作が煩雑になりがちです。また、スマート家電のメリットには「複数の家電の連携使用」もありますが、アプリが異なるために連携が難しいという一面もあります。
アクセルラボの「SpaceCore」アプリは、複数のメーカーのスマート家電をまとめて登録できるIoTプラットフォームおよびサービスです。複数のIoTデバイスを統合するアプリはほかにもあるのですが、SpaceCoreは対応デバイスの多さで人気があります。今回取材したアクセルラボのショールームは、このSpaceCoreを利用したスマートホームを構築しています。
ショールームは、玄関の外からスマートデバイスがズラリ。玄関外には2種類のスマート宅配ボックスと、外出先でスマートフォンからも対応できるIoTインターフォン。さらに玄関ドアにはスマートロック「LOCK Pro」が取り付けられています。
宅配ボックスといえば「留守中でも荷物を受け取れるロックがかかる箱」というイメージですが、大型スマート宅配ボックスは荷物を受け取るとスマートフォンに通知。さらに、ボックス内部の様子をカメラで確認できるという高機能な製品です。
ショールームは1LDKのコンパクトな間取り。部屋に入ると、まず玄関横に人の動きに反応する人感センサースイッチがありました。帰宅した人の動きで照明を自動点灯するため、暗い部屋に帰宅してスイッチの位置を手探りで見つける手間がありません。
面白いのは部屋の各所に用意された「CUBE Clicker <クリッカー>」というデバイス。本体表面がボタンになっており、ボタンをクリックすることで複数のスマートデバイスを指定した動作で動かせます。ショールームの例では、朝の起床時に1つのクリッカーでボタンを1回押すだけで、「照明が点灯」「カーテンとシャッターが開く」「テレビが起動」を同時に実行するようになっていました。
目立たず場所を取らないHEMSデバイスも
個人的に興味深かったのは「ネクストドライブ キューブ」というデバイス。最近はカーボンニュートラルの動きから、家庭内の電気使用状況を電力会社がリアルタイムで把握できる「スマートメーター」の導入が進んでいます。このスマートメーターで得られた電力使用データを、家庭内で見えるようにするのがHEMSです。そしてHEMSの多くは、専用の液晶モニターで家庭内の電気の動きを見られるようにしています。
HEMSモニターは多くの場合、インターフォンの室内モニター横に配置されることが多いのですが「壁にズラズラとモニターが並ぶのはインテリア的にちょっと……」と感じる人も多いはず。ネクストドライブ キューブは、手のひらサイズのデバイスをコンセントに挿すだけで、SpaceCoreアプリに電気使用状況を送信。専用モニターを必要としません。
逆に「スマートフォンでアプリを起動するのは面倒」という人もいるでしょう。そんなニーズ向けには、「NATURE<ネイチャー>」と呼ばれる壁掛け型のコントロール機器も用意されています。
ネイチャーはタッチパネル式の液晶ディスプレイで、SpaceCoreアプリで行う操作のほとんどをコントロール可能。スマートフォンを起動せず、室内からスマートロックを解除したり、照明の明るさをコントロールしたり、WEBカメラの映像をチェックしたりできます。
新規格「Matter」の登場でIoTはもっと身近に?
システム化が進んだスマートホームを体験してみると、「機器同士の連携」の便利さを実感します。今回取材したショールームではSpaceCoreアプリで複数のデバイスを連携させましたが、通常は異なる規格のデバイス同士を連携させるには少々複雑な手順を要します。そこで注目されているのが、2022年10月に仕様1.0版が発表された「Matter」と呼ばれるスマートデバイスの新規格です。
これまでも「スマートデバイスの共通規格」はいくつかありましたが、残念ながら全世界的な普及とはなりませんでした。話題のMatterは、GoogleやApple、Amazonといった世界的なテック企業がすでに参画。現在、日本企業を含め300以上の企業が関わっています。Matterが一般化すれば、異なるメーカー同士のデバイスが簡単に連携できるようになり、スマートホームの普及も加速しそうです。