データ送信時にエンドポイント、つまり送信者と受信者のみが暗号化と復号化を行う、いわゆる「エンドツーエンド暗号化」は、サービスの運営側がデータの中身を覗き見ることができないのが特徴だ。運営側によるデータの検閲は不可能になることから、健全なデータが誤って違法性ありと判定され、アカウントごと使えなくなる心配もない。

こうしたエンドツーエンド暗号化に対応したサービスは、メールやオンラインストレージを中心に普及しつつあるが、最近はファイル転送サービスについても、対応サービスが続々と登場している。オンラインストレージがそうであるように、古くからあるエンドツーエンド非対応のサービスとは、徐々にではあるが世代差ができつつあるのが現状だ。

今回はそうしたエンドツーエンド暗号化対応のファイル転送サービスの中から、ユーザ登録不要で手軽に使えることを条件に、おすすめのサービスを3つ紹介する。こうしたサービスは特定時間帯のみサーバが重いケースも少なくないので、一つに絞らず、複数を使えるようにしておくと役に立つはずだ。

シンプル操作でサクサク転送できるニューフェイス「Wormhole

「Wormhole」は、2021年にローンチした新顔のファイル転送サービス。ブラウザ経由で利用する仕組みだが、Windowsは専用アプリも用意されている。後述するサービスと違って相手に直接メールを送るためのオンラインフォームは用意されず、リンクをコピーして自前で相手に送る形式。

QRコードによる出力にも対応しているので、自分自身のスマホ宛に送信するのにも向いている。保存期間は60分~最大24時間後までか、ダウンロード最大100回までという上限を設定できる。

最大5GBまではサーバアップロードで、10GBまではピアツーピア送信となるのも特徴的。日本語対応で、スマホアプリは開発中といった状況だが、今後の伸びが期待できるサービスだ。

  • Wormhole

老舗ながらエンドツーエンド暗号化にもいち早く対応「Filemail

「Filemail」は、入れ替わりの激しいファイル転送サービスにおいてはもはや老舗に分類されるサービスで、日本語にも対応。デスクトップはもちろんスマホなどインターフェイスは多岐にわたる。

無料版ではファイルサイズは最大5GBまで、保管期限は7日までで、有料版は保管期限がなくなるほか、パスワード保護などの機能も使えるようになる。送信方法はオンラインフォームからのメール送信か、リンクを生成するかの2択で、ダウンロード通知などの機能も用意される。

  • Filemail

オンラインストレージpCloud譲りのセキュアさが特徴「pCloud Transfer

オンラインストレージ「pCloud」から派生したファイル転送サービス。本家と違って日本語化されていない。

専用アプリは用意されず、スマホからもブラウザ経由で利用する仕組みで、送信方法はオンラインフォームからのメール送信か、リンクを生成するかの2択だが、ユーザ登録不要で使えるのは後者のみ。

また一度に送信できるのは5GBまでだが、ファイルサイズは200MB以下に限られるなど細かい制限がある。暗号化は無料だが、チェックを入れる必要があるので注意。

  • pCloud