2022年も、さまざまな魅力を持つデジタル機器が登場しました。今年は何といっても物価高が直撃。デジタル機器の多くが、コスト高や円安を背景に、値上げを余儀なくされました。そんな中でも購入を決めたお役立ちアイテムを、デジタル業界に詳しいライター諸氏に聞きました。

2022年に購入したベストアイテム、今回紹介するのはIT/AVコラムニスト・海上忍さんセレクトの屈折式天体望遠鏡「StarSense Explorer DX102AZ」です。最近は釣りにどハマりしているという海上さん。少年の頃、星を見るのが大好きだったそうです。それでも買った理由は、童心に帰って星空を眺めたからなのでしょうか……?

  • 購入した「StarSense Explorer DX102AZ」

  • 選んだ製品:天体望遠鏡「StarSense Explorer DX102AZ」(CELESTRON)
  • 直販価格:69,300円で買いました
  • 選んだ理由:アンドロメダ大星雲を肉眼で見たい(あわよくば撮影も)
  • 満足度(5段階):★★★★

美味い魚を味わいつつ天体観測できたら最高だよね

少年時代、星を見るのが大好きだったんです。視力が裸眼で2.0あったから、プレアデス星団の星も6以上数えられましたよ。天体は特にアンドロメダ大星雲が好きでしたね。肉眼ではぼうっとしか見えないけれど、アンドロメダって響きがいいじゃないですか。でも、いつの間にか視力が低下して...いまじゃアンドロメダどころか月が二重三重に見えますからね、悲しいもんです。

話は飛びますが、今年釣りを再開したんですよ。子育てがひと段落して自分の時間を持てるようになったので、横浜在住の地の利を生かし渓流釣りや海釣りに挑戦したいなあと。釣りも少年時代の趣味で、当時は食べられない淡水魚がターゲットでしたが、酒のアテにする楽しみを知った現在は美味しい魚ばかり狙ってます。

  • 釣りの後には天体観測を...という目論見です

そして夜中にクルマで遠出するようになると、星が気になるんです。空気が澄んだ山や海で空を見上げると、視力が落ちたとはいえたくさんの星が見えますからね。それをもっとよく見たい、と。天体望遠鏡があれば可能なはず、幸い釣り道具もそこまで多くないからクルマに積んでおけばいいじゃない? キャンプ場とかで美味い魚を味わいつつ天体観測できたら最高だよね? と短絡的に結びつけたわけです。

決め手は「天体発見支援アプリ」への対応

そこで購入したのが米CELESTRON(セレステロン)の「StarSense Explorer DX102AZ」。口径102mm/焦点距離660mmの屈折式で2種類の接眼レンズ(約26倍/66倍)が付属と、エントリークラスの天体望遠鏡としてまずまずのスペックもありますが、「StarSense Explorer」に対応することが選んだ決め手です。

StarSense Explorerは、画面に表れる矢印に従い鏡筒を手動で動かすと目的の天体にたどり着ける、かんたんにいえば「天体発見支援アプリ」。経験者ならわかると思いますが、鏡筒に少し触れた程度で大きくズレてしまうから、酒を飲みながらお目当ての天体を捕捉するなんてまずムリですが、このアプリを使えば広い空からアンドロメダ大星雲を見つけるのもあっという間。ありがたいです、感謝です。ただし、いくつか落とし穴が。

そのひとつが「同期」。StarSense Explorerは、スマートフォンのカメラと装着部にあるミラーの位置を合わせることで、(カメラで撮影した)星の画像から位置情報を計算します。だから慎重に同期させないと、ズレが生じてしまうのですね。この作業はスマートフォンの取り付け位置が重要で、三脚や鏡筒の取り付けもしっかりしていることが前提ですから、よほど慣れた人でないかぎり薄暗くなってからの作業は困難。明るいうちに設置作業を終え暗くなるのを待つのが基本です。

  • 組み立ては細かい作業を伴うので、初心者の自分は明るいうちに済ませてしまうしかありません

  • スマートフォンアプリと同期させるには、なにか目印(ここでは風車)が必要です

  • ファインダーで見える目印にアプリの照準を合わせます

「写真撮影」も落とし穴でしたね。直焦点撮影を考慮し、Tリングの取り付けが可能な製品を選択したのはいいものの、釣行に一眼レフカメラは...できればフットワークが軽いコンデジを使いたいところ。しかし、対応するTマウントカメラアダプターがないのでどうにもならず。どうせ一眼レフを持ち出すならケンコー・トキナーのSZシリーズ(Tリング対応のミラーレンズ)を買っちゃう!? とも考えますが、まだ思案中です。来年、私の記事の作例にアンドロメダ大星雲が出てきたら、ヤツはなにかうまい手を見つけたのだな、とお考えください。

  • 接眼レンズからはこのように見えています(適合するTリングがないのでスマートフォンで無理やり写しました)

  • 同期が完了したら、あとはアプリで目的の天体を探せばOK

  • このような画面で鏡筒の向きを教えてくれます