ここ数年で勢いを増しているロボット掃除機。代表的なメーカーといえば「ルンバ」シリーズのアイロボットですが、2019年に日本に上陸した中国のRoborock(ロボロック)も革新的なロボット掃除機を次々に発表し、勢いを増しています。
Roborockのロボット掃除機でも特に注目されたのは、「掃除機がけ」と「水拭き」ができるモデルです。2022年11月1日にロボット掃除機の代名詞ともいえるルンバがRoomba Combo j7+(掃除機がけ&水拭き対応)を発表しましたが、以前からRoborockは低価格モデルから高機能モデルまで水拭き一体型ロボット掃除機をリリースしてきました。掃除機がけと水拭きを同時にできるRoborockのロボット掃除機は消費者に受け入れられ、売り上げも伸ばしています。
最新モデルの「Roborock S7 MaxV Ultra」(以下、S7 MaxV Ultra)は、Roborock史上最高の吸引力と強力な水拭きによる清掃力、さらに優れた認識・回避性能に加え、モップ洗浄・給水・ゴミ収集を全自動化するドックを採用しているとのこと。最上位というだけあって、参考価格は217,800円と高価(2022年12月時点では150,000円~160,000円で販売されていることもあるようです)。気になったので、実際に使って見ることにしました。
カメラは2種類を搭載、家具や小物などを認識して回避
S7 MaxV Ultraの大きな特徴は「3way全自動ドック」を採用し、モップ洗浄・給水・ゴミ収集の全自動化を実現していること。これにより、拭き掃除のときはドックから掃除機本体へと自動で給水し、常に清潔な水拭きモップで家中を掃除できます。掃除のたびに発生する、ロボット掃除機本体のモップ洗浄・水タンクへの給水・ゴミ収集も自動なので、お手入れ面まで全自動の高機能ロボット掃除機と言えます。
ドッグを上から見ると、一番右にゴミ収集ボックス、真ん中に清水タンク、一番左に汚水タンクが。3種類のタンクがあるため、ドックはなかなかの存在感。カラーもブラックなので、白っぽいインテリアの中ではかなり目立つ印象です。
ロボット掃除機本体は、高精度のストラクチャードライトとカメラ、およびRGBカメラという2種類のカメラを搭載。これらのカメラで床にある小物や家具を認識して、避けながら掃除を行います。
今回はまず掃除機本体の水タンクに水を入れ、専用アプリ「Roborock」をダウンロードして、動きをチェックしました。カメラに加えてレーザーセンサーを搭載しているので、部屋の間取りをすばやく把握し、すぐに地図を作製してムダなく掃除していることがわかりました。
目の前に家具やコードなどがあるとスッと避けるのですが、障害物がある場所やコーナーなどは別の角度から掃除することもあり、比較的「キワ」まで掃除ができています。暗い場所ではセンサーが反応し、パッと明るくライトが光っていました。
疑似ゴミとして、細かい砂とペット用のトイレ砂をまいて掃除してみたところ、取り残さずピカピカに。
掃除が終わると、Roborockアプリにマークが出現。それをタップすると、障害物の内容が表示されます。自動で判別できるのは8種の障害物(スリッパなどの履物、ペットの排泄物、布類、電源タップ、コード、台座、体重計、ちりとり)と、5種類の家具(ベッド類、複数人掛けのソファ類、テレビスタンド、ダイニングセット、洋式トイレ)です。
例えば、コードなどは割と判別しやすいのですが、キッチンに置いていた扇風機の台座まで認識できる賢さに驚きました。「家電や家具の台座」(正解率91%)と表示されており、「台座を回避して引っかかり防止。」とありました。
家の中にはさまざまな障害物や家具がありますが、そういったモノを正しく認識するので、ほぼ間違いなく回避してくれるのです。我が家はモノが多いので特に留守中の掃除が気がかりですが、これなら安心しておまかせできます。コードを巻き込んで途中で止まっている、といったことはほぼありませんでした。
モップリフト機能は「4mmの厚さ」まで
掃除機がけだけでなく、水拭きも同時に行います。最大で毎分3,000回のモップ高速振動機能によって、こするように床を掃除していきます。
なお、自動モップリフトアップ機能を搭載しており、水拭き機能も兼ね備えています。カーペットを感知すると、水拭きモップが自動的に5mm持ち上がります。吸引掃除のみを行うため、カーペットを濡らさずにすむというものです。ただ、毛足が4mm未満のカーペットというのは実際ほとんどなく、あまり実用性があるとは言えない機能でした。
ごく薄いプレイマットなどでは大丈夫そうですが、毛足が短いと思っていたカーペットでも5mm以上あるものが多く、上にのって濡らしたり、汚したりということがありました。仕方なく、アプリでカーペット回避モードを選択することに。せめて10mmほどリフトアップしてくれたら……。
また、掃除後のモップは全体が汚れているわけではなく、汚れが偏る傾向。これはせっかくモップが広くても、均一に圧がかかっていないということです。もちろん、掃除後の床はキレイになっていましたが、これだけ広い面積のモップを装着しているのであれば、もう少し全体で掃除をしてほしいところです。
水の補充やモップの洗浄まで自動なのはラク!
実際に水拭きをする様子を見て驚いたのは、水拭きやモップの洗浄に必要な水を自動で補充すること(ドックのタンクから)。水拭きのたびにモップを濡らしたり、掃除機本体に給水したり……といった手間がかかりません。水拭き掃除中にロボット掃除機の水タンクで水量が不足すると、自動的にドックに戻って給水し、再び水拭きをしてくれるのです。
汚れたモップで床を拭き続けるのも気になりますが、モップ洗浄の間隔は、9段階(10分~50分の5分間隔)から設定できます。また、水拭き掃除が終わると、本体内でモップを自動で洗浄します。
毎分600回転するブラシがモップの汚れをきれいにするということですが、裏を見るときちんと汚れが落ちていました。このときの音は大きく、モップはかなり「ゴシゴシ」洗われている印象です。モップの手洗いは面倒ですが、これならまかせられます。
吸引したゴミも、ロボット掃除機本体からドックへと自動で収集。掃除の都度、本体のゴミを捨てる必要はありません。ドック内では、容量2.5リットルの紙パックに約60日分のゴミを収集できるので、ゴミ捨ての手間を大幅に減らせます。
紙パック式を採用しているため、捨てるときもホコリが舞うことがなく、すぐに捨てられます。最近はゴミを充電ドッグに自動収集するロボット掃除機が増えていますが、お手入れがとても簡単なので個人的におすすめしている機能です。S7 MaxV Ultraはモップ自動洗浄に加えて、自動ゴミ収集機能も付いているので本当にラクでした。
バランスがよく賢いロボット掃除機
もうひとつ、驚いたことがあります。Roborockは中国のメーカーですが、音声案内の日本語が「子ども向けアニメ声」「博多弁(女性・男性)」「広島弁」「津軽弁(男性)」などバリエーションが豊富です。お気に入りは「癒やし系執事」で、ていねいな日本語が印象的。使えば使うほど愛着がわいてきました。
S7 MaxV Ultraはロボット掃除機本体とドックを含めて、なかなか存在感のあるデザインと大きさですが、とても賢く、吸引力もよく、お手入れも簡単。床掃除という作業をすべておまかせしたい人にぴったりと言えます。床の障害物も認識してきちんと避けてくれるので、ちょっとくらい床にモノがあっても安心して使えますよ。
アプリの操作性もわかりやすく、掃除機との接続さえうまくできれば、初めてでも使いこなせるでしょう。値段は高いのですが、それだけの価値はあるロボット掃除機です。ぜひ実物(おもに大きさ)をチェックして、選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。