ロボット掃除機ブランド「Roborock(ロボロック)」からロボット掃除機の新製品(3モデル)が登場しました。いずれも、吸引掃除に加えて、本体底面のモップによる水拭きに対応しています。

今回の新モデルは、モップ洗浄・給水・ゴミ収集を自動で行う「3way全自動ドック」が付属する最上位モデル「Roborock S7 MaxV Ultra」(以下、S7 MaxV Ultra)、2020年4月に発売された「Roboeock S5 MAX」の後継機で清掃力を強化した「Roborock Q7 Max+」(以下、Q7 Max+)と「Roborock Q7 Max」(以下、Q7 Max)。Q7 Maxは、Q7 Max+の自動ゴミ収集ドックが付属しないモデルです。

参考価格はS7 MaxV Ultraが217,800円、Q7 Max+が131,780円、Q7 Maxが98,780円です。3モデルとも8月11日から、全国のヤマダデンキ店舗やヤマダウェブコムで販売を開始し、直販サイト「Roborock Japanダイレクト」でも近日発売する予定です。ヤマダデンキ系列店以外の量販店による取り扱いは現在予定していないとのことでした。

  • Roborock、ロボット掃除機、S7 MaxV Ultra

    「3way全自動ドック」に収納された「Roborock S7 MaxV Ultra」。ドックの上部にある3つのタンクが目を引きます

  • Roborock、ロボット掃除機、Q7 Max+

    Q7 Max+

  • Roborock、ロボット掃除機、Q7 Max

    Q7 Max

Roborockシリーズは、中国・北京のBeijing Roborock Technologyが開発したロボット掃除機。高精度なセンサーによるマッピング機能と高い吸引力を備えています。これまで日本で発売したモデルは、すべて吸引掃除と水拭き掃除を同時に行う機能を搭載します。

2019年10月の「Roborock S6」シリーズから日本に参入し、エントリーモデル「Roborock E5」から2022年3月に発売した最上位モデル「S7 MaxV」まで、幅広いラインナップをそろえています。2021年には世界での累計販売台数が1,000万台を突破し、日本におけるロボット掃除機のシェアは現在2位(2021年1~12月メーカー別金額シェアの販売実績をもとに類推したデータ/GfK Japan調べ)。

  • Roborock社の創業から現在まで。2020年には上海証券取引所に上場を果たしました

    Roborock社の創業から現在まで。2020年には上海証券取引所に上場を果たしました

面倒なモップ洗浄・給水・ゴミ収集をすべて自動でする「3way全自動ドック」

S7 MaxV Ultraは、新たな最上位モデルという位置づけです。各社のロボット掃除機で最上位モデルをながめてみると、アイロボットの「ルンバ s9+」は直販価格が186,780円、エコバックスジャパンの「DEEBOT X1 OMNI」は198,000円(どちらもセール期間などで安くなる場合もあります)。S7 MaxV Ultraは他社のフラッグシップ機と比較しても、さらにプレミアムな価格帯。そのS7 MaxV Ultraの性能を見ていきましょう。

Roborock社が誇る先進技術を結集したというS7 MaxV Ultra。最大の特徴は、本体の充電はもちろんのこと、モップ洗浄・給水・ゴミ収集を自動で行うクリーンベース「3way全自動ドック」が付属する点です。なお、本体の充電時間はS7 MaxV Plus/S7 MaxVが6時間だったのに対し、約4時間と30%短縮しています。

  • 3way全自動ドック。ロボット掃除機本体の光沢あるグロス調に対し、マット調のデザインです

    3way全自動ドック。ロボット掃除機本体の光沢あるグロス調に対し、マット調のデザインです

3way全自動ドックは、上部に「汚水タンク」、「水タンク」、「ダストケース」を装備しています。汚水タンクは、S7 MaxV Ultraの汚れたモップを洗浄した水を回収する役割、「水タンク」はS7 MaxV Ultra本体の水タンクと、モップ洗浄時に必要な水を供給する役割。「ダストケース」の内側には紙パックを入れて、S7 MaxV Ultraで吸引したゴミを収集します。

  • 左から、汚水タンク、水タンク、ダストケース。タンクを間違えないようフタにマークが書いてあります

    左から、汚水タンク、水タンク、ダストケース。タンクを間違えないようフタにマークが書いてあります

モップの自動洗浄機能は、S7 MaxV Ultraの掃除中や掃除が終わったあとに、底面の水拭きモップを毎分600回転するドック内ブラシで洗浄する機能。吸引と水拭きを同時に行えるRoborockには大変ありがたい機能です。モップを自動洗浄するタイミングは、掃除が終わってドックに帰還したときのほか、アプリからでも設定できます。水拭き中にドックへ戻ってモップ自動洗浄、そして掃除を続ける――という動作となり、水拭き中にモップ自動洗浄する時間の間隔は9段階(10~50分の5分刻み)です。このため、汚れたモップで床を掃除することがありません。

  • ドック内でのモップ清掃イメージ

    ドック内でのモップ清掃イメージ

水拭きやモップの洗浄に必要な水は、ドック収納時に自動で給水されます。水拭き掃除のたびに水を補給する必要がなく、すぐに汚れがちなモップも自動できれいにしてくれるため、これまでロボット掃除機の拭き掃除で面倒だった、汚れたモップを取り外して手洗い・乾燥させるといった作業がなくなり、拭き掃除へのハードルが一気に下がる機能だと感じました。

ダストケース内のゴミ収集は紙パック式。2.5Lの紙パックに約60日分のゴミを収集できるため、室内ペットがいる家庭など環境によって変わりますが、ゴミ捨ての頻度を減らせるのはありがたいところ。ドック内にゴミを収集するときには、0.3μmまでの微粒子を99.7%吸引し、排気を清浄化するとしています。

これまでの最上位モデルだったS7 MaxV Plus/S7 MaxVは、ドックのダストケース内でサイクロン式と紙パック式から収集方法が選べましたが、新モデルのS7 MaxV Ultraは紙パック式のみを採用。変更した理由を聞いたところ、「ゴミ収集ドックは今回、汚水タンクと水タンクを新たに装備したため、ドックの大型化を防ぐため非搭載としました」との回答でした。

  • 紙パックは持ち手が薄く、出し入れにもけっこう力が必要です

    紙パックは持ち手が薄く、出し入れにはけっこう力が必要です。上に向かって引き出すと「穴」の部分がスライドして、紙パックからゴミがこぼれるのを防ぐ仕組み

  • Roborock、ロボット掃除機

    S7 MaxV Ultraの底面。白い部分が水拭き用のモップです

  • ドック内、モップ

    ドック内。ブラシが往復してモップをきれいにします

  • ドック、汚水タンク

    汚水タンク

もちろん基本性能も充実

ここからはS7 MaxV Ultra本体について見ていきます。ドック以外の性能は、充電時間を除き、2022年3月に発売されたS7 MaxV Plus/S7 MaxVと同じです。

天面部中央の高精度レーザーセンサーを含む24種32個のセンサーと独自アルゴリズムによって、各部屋を正確にマッピングし、効率の良いルートで掃除します。吸引力はRoborockのロボット掃除機で最大となる5,100Paを実現しており、微細な砂やホコリはもちろん、カーペットの奥に入り込んだゴミまで一気に吸い取れるくらいのパワーだとうたっています。

  • ロボット掃除機、S7 MaxV Ultra、レーザーセンサー

    天面部の出っ張った部分がレーザーセンサーです

吸い掃除だけでなく、毎分最大3,000回のモップ高速振動や600gのモップ加重によって、床にこびり付いた皮脂やコーヒー、花粉といった汚れを従来以上によく落とすとしています。モップの振動数は3段階で調節可能です(強で毎分3,000回転、中で毎分2,300回転、弱で毎分1,650回転)。

また、超音波センサーがカーペットを検知すると、自動で水拭き掃除用のモップを本体内に5mm引き上げ、カーペット上では吸引掃除のみを行います。この機能は毛足が4mm未満のカーペットに対応しており、4mm以上のカーペットでは、カーペット回避機能によってカーペット上には乗らなくなります。

  • カーペットが濡れないようにモップをリフトアップ

    カーペットが濡れないようにモップをリフトアップ

実際にフローリングとカーペット場を清掃する様子を見ましたが、吸引と同時に拭き掃除をしていたS7 MaxV Ultraのモップが、カーペットに乗り上がるタイミングですばやく上昇。カーペットから降りるタイミングでは逆に、モップがスッと下がりました。この一連の動きはかなりスムーズで正確。カーペットとフローリングを実際に触って確認しましたが、カーペットは濡れておらず、フローリングはしっかりモップがけされていました。

  • カーペットに乗り上がるときにはモップが本体内部で上昇し、カーペットを通ったあとも濡れていないです

    カーペットに乗り上がるときにはモップが本体内部で上昇し、カーペットを通ったあとも濡れていません

カメラとセンサーで物体をしっかり回避

S7 MaxV Ultraの本体には、物体の距離や形状を判断するストラクチャードライト式カメラと、RGBカメラの2種類を内蔵。家具や小物などをAIがリアルタイムで分析し、位置や種類を特定します。8種の障害物(スリッパなどの履物・ペットの排泄物・布類・電源タップ・コード・台座・体重計・ちりとり)と、5種の家具(ベッド類、複数人がけのソファ類、テレビスタンド、ダイニングセット、洋式トイレ)を認識して回避。アプリ上でも障害物として表示します。

カメラに関するプライバシー保護については、認証機関テュフ・ラインランド(ドイツ)のTUV認証を取得しています。S7 MaxV Ultraが撮影した動画や画像のデータは保存されません。

また、認識した物体の種類によって回避の程度も変わります。実際に見たスリッパを回避する様子は、障害物ギリギリの位置まで攻めつつ掃除をしていました。これがペットの排泄物のように、本体に付着してほしくないもの場合は、障害物から10cm以上の距離を保って大きく回避します。

  • ロボット掃除機、S7 MaxV Ultra、内蔵カメラ

    前面に2種類のカメラを搭載

  • ロボット掃除機、S7 MaxV Ultra、アプリ画面

    障害物を感知し、履物と認識した時のアプリ画面

さまざまな機能をフル活用できるアプリ

専用アプリは、「エリア掃除」「部屋別掃除」「スポット掃除」「バーチャルウォール」など、掃除エリアを設定する機能を備えています。掃除する部屋の順番を指定したり、掃除ルートをアプリ上に表示したりと、目的や使い方に合わせて設定しておけます。音声アシスタントのAmazon AlexaとGoogleアシスタント、アップルのSiriに対応し、音声操作も可能です。

このほか、本体にはマイクを内蔵し、本体のカメラがとらえた映像をスマートフォンのアプリで見られることから、双方向通話できる自宅の見守りカメラとして役立ちます。外出先から遠隔で本体を操作して、ペットの様子を確認するといった使い方も可能です。

  • ロボット掃除機、S7 MaxV Ultra、アプリ画面

    マッピングしながら清掃した場所、障害物の有無をリアルタイムで更新してアプリ画面に表示します

Q7 Max+/Q7 Maxは従来モデルから大きく進化

続いてQ7 Max+とQ7 Maxについて。冒頭でも書きましたが、2020年4月に発売された「Roboeock S5 MAX」の後継機です。

  • ロボット掃除機、Q7 Max+、Q7 Max

    Q7 Max+/Q7 MaxはエントリーモデルE5と上位モデルS7の間に位置します。両モデルともカラーはブラックとホワイトの2色展開

Q7 Max+とQ7 Maxは、従来機のS5 MAXから吸引力と水拭き機能が進化しました。吸引力は2,000Paから4,200Paと強化。水拭き機能は最大で連続240平方メートル稼働し、これまで3段階だった水量調節が30段階に増えて、床の状況に合わせた微調整に対応します。

  • 従来モデルから大きく進化しました

    従来モデルから大きく進化しました

毎分300回転するLDSレーザーセンサーを含む14種20個のセンサーで部屋をマッピングしながら、家具や障害物段差からの落下などを回避しつつ、効率的なルートで掃除します。

専用アプリでは、掃除ルートをリアルタイムで確認できるほか、進入禁止エリア・掃除したいエリアの設定、掃除する部屋の順番設定、部屋ごとの掃除モード設定などが可能です。一度の充電で、最大3時間、300平方メートルを掃除します(サイレントモードで吸引掃除のみの場合)。

  • ロボット掃除機、Q7 Max+、Q7 Max、アプリ

    Q7 Max+とQ7 Maxもアプリで多くの機能を活用できます

Q7 Max+に付属する自動ゴミ収集ドックは、2.5Lの紙パック式(収集の目安は60日分)です。内部にフィルターを備え、0.3μmまでの微粒子を99.7%吸引し、排気を清浄化。本体用エアフィルター、モップクロス、ダストボックスは水洗い可能です。

  • ロボット掃除機、Q7 Max+、Q7 Max、ゴミ収集ドック

    デザインにもかなりこだわったというバイカラーの自動ゴミ収集ドック

Roborockは日本の住環境に適している?

発表会では、インテリアコーディネーターの荒井詩万氏によるゲストトークも。SB C&S 常務執行役員 コンシューマ事業 兼 新規事業担当 瀧進太郎氏とともに「現代までの日本における住環境の特徴の推移」や「Roborock社製品はどんな住環境に適しているか」といったテーマについて語りました。

荒井氏がコーディネートした部屋を写真付きで紹介しつつ、ソファ周りのラグカーペットやキッチン奥に潜むゴミなど、掃除に関する悩みが取り上げられましたが、このような悩みの解決に今回の新モデルはぴったりと、瀧氏が紹介していました。

  • インテリアコーディネーターの荒井 詩万氏、SB C&S 常務執行役員 コンシューマ事業 兼 新規事業担当 瀧進太郎氏、ゲストトーク
  • インテリアコーディネーターの荒井 詩万氏、SB C&S 常務執行役員 コンシューマ事業 兼 新規事業担当 瀧進太郎氏、ゲストトーク
  • 荒井氏は実際に新モデルを使ってみたところ、アプリの使いやすさに驚いたそうです。「説明書を読まずに簡単に設定や操作ができました」と述べていました

1台で手間なく床をピカピカに

モップ洗浄・給水・ゴミ収集を自動で行う3way全自動ドックが付属する最上位モデルS7 MaxV Ultra、4,200Paの吸引力による掃除と30段階の水量調節で細やかな水拭きができるQ7 Max+/Q7 Maxは、最新ロボット掃除機の技術を詰め込んだ製品。特に、S7 MaxV Ultraの3way全自動ドックは、ユーザーの作業をタンク内の水交換、60日を目安とした紙パックの取替だけに減らす、優れたものでした。高価格帯ではありますが、購入に大きなメリットがある製品だと感じました。