ソフトバンクから発売された“神ジューデンスマホ”こと、「Xiaomi 12T Pro」が注目を集めるシャオミ。2022年をどう総括し、2023年にはどのような展開を考えているのか。シャオミ 東アジア担当ゼネラルマネージャーのスティーブン・ワン氏と、シャオミ・ジャパン プロダクトプランニング本部 本部長の安達晃彦氏に話を聞いた。

  • スティーブン・ワン氏

    「Xiaomi 12T Pro」の発表会に登壇したスティーブン・ワン氏

──2022年を振り返って、シャオミ・ジャパンにとってどんな1年だったでしょうか。

ワン氏:2022年はシャオミだけではなく、多くの企業にとって非常に難しい年だったと思います。私個人もいろいろと学ぶことの多い1年でした。全体としては厳しい状況ではありましたが、皆さんの目には我々が元気な会社の1つ、という風に見えていたのではないかと思います。

実際に「Redmi Note 10 JE」、「Redmi Note 10T」の2つの製品は、KDDIさん・ソフトバンクさんでセールスを伸ばすことができました。日本のパートナーと関係を深めることができ、互いへの理解もより深まった1年だったと思います。良い関係性を構築できたことが良い結果につながって、早い速度で成長できている――というのが、今年を振り返って言えることです。

その締めくくりとして、ソフトバンクさんから「Xiaomi 12T Pro」が発売されることになりました。日本のMNOからは初めて出るハイエンドモデルです。テレビCMも放映されますし、2023年以降もこの勢いを続けていきたいと思っています。

──今年は日本のファンと一緒にものづくりに取り組む、「Xiaomiモノづくり研究所」もスタートしました。現在の状況を教えてください。

安達氏:「Xiaomiモノづくり研究所」はまだ立ち上がったばかりで、特に決まったフォーマットはないのですが、SNSやイベントを通じてシャオミを応援してくださるファンの方と、ダイレクトにつながれる環境を構築しています。この基盤を活かして、また来年以降、いろんなコミュニケーションを展開していきたいと考えています。

──「Xiaomi 12T Pro」も、「Xiaomiモノづくり研究所」でプレビューされたということですが、どういったフィードバックがあったのでしょうか?

安達氏:我々の訴求したいポイントが、本当にお客様に響くものなのかを確認させていただきました。皆さん我々以上にシャオミのスマートフォンに詳しくて、「Xiaomi 12T Pro」の2億画素カメラの性能を高く評価いただき、製品について自信を深めることができました。参加いただいた方の中には、YouTubeやブログで自ら発信している方も多く、ユーザーに近い形で情報を伝えていただけるのではないかと、そこも楽しみにしています。

  • 発表会にて、「Xiaomiモノづくり研究所」の活動

    発表会でも「Xiaomiモノづくり研究所」の活動が紹介された

──「Xiaomi 12T Pro」はグローバルでは、2億画素カメラがフィーチャーされていますが、ソフトバンクでは高速充電が「神ジューデン」として推されています。どう受け止めていますか。

ワン氏:確かにグローバルマーケットではカメラですが、日本では急速充電にスポットがあたっています。これはとてもユニークなことだと思いますし、他のメーカーが訴求していないポイントなので、差別化の意味でもうれしいですね。シャオミの製品ならこんなに速く充電できるということを、知ってもらう良いチャンスだと思います。テレビCMを通じてブランドの認知度もあがって、「シャオミ=急速充電と」いう良いイメージが出来てくればうれしいですし、そういった訴求をしていきたいと思います。

安達氏:実は100Wの急速充電は今回が初めてではなく、前モデルの「Xiaomi 11T Pro」にも搭載していました。前モデルもカメラに注力していましたが、アンケートでダントツで満足度が高かったのは、急速充電でした。メーカーが推したいとものと、お客様が良いと思うものは必ずし同じではないということですね。だから今回、ソフトバンクさんから発売されるこのタイミングで、急速充電を推すことに躊躇はありませんでした。ただもちろん、どの機能にも全部自信があるので、ほかの機能にもぜひ注目していただければと思います。

  • 「神ジューデン」を前面に押し出したプロモーション

    「Xiaomi 12T Pro」は「神ジューデン」を前面に押し出してプロモーションを展開

──今のお話にもあったように、今回はテレビCMも放映されます。日本進出から短時間で、ここまでキャリアとの信頼関係が築けた理由を教えてください。

ワン氏:まずソフトバンクさんとは掲げているミッションも近いですし、両社がコアに持ってる考え方や企業文化が、よく似ているということが言えると思います。そのおかげで、コミュニケーションも非常にスムーズにできています。

ソフトバンクさんに限らず、シャオミとバートナシップを組んでいただくとわかることですが、我々の製品は高品質で低価格であるということに加えて、サプライチェーンが安定しています。今、これだけ厳しい経済環境の中なので、このことは非常に大きな要素になると思います。

またシャオミでは、ローカライズをとても大切に考えています。「Xiaomiモノづくり研究所」もそうですが、チームが一丸となって日本にあわせたローカライズに取り組んでいます。こうした取り組みや、日本チームの密なコミュニケーションが、パートナーとの関係性をより良好にしていると思っています。

加えて、これまでのパートナーシップを通して、急速充電のような我々の持っているユニークな技術への理解を深めていただけたことも大きいと思います。ソフトバンクさんとは今回で3台目になりますし、KDDIさんとも良い関係が構築できています。

こういったひとつひとつのことが、互いの信頼感を増すことに繋がってると思いますし、長期的な視野で成長が見込める体制になってきていると考えています。

  • 発表会にて、「情報革命で人々を幸せに」というソフトバンクのミッション

    「イノベーションをすべての人へ」を掲げるシャオミと、「情報革命で人々を幸せに」と掲げるソフトバンクのミッションは、言葉は違えど目指すものは同じというワン氏

──「Xiaomi 12T Pro」はハイエンドモデルですが、今後ハイエンド/ミドルレンジはどのようなバランスで展開していくのですか?

ワン氏:2023年も、引き続きハイエンドの製品には注力をしていきたいと考えています。それがブランドの認知向上につながると思いますし、我々が持っているユニークな技術を知ってもらうことにもなると思うからです。

ブランドを知っていただくこととあわせて重要なのは、他メーカーとどう差別化していくかです。特に日本では非常に大きなシェアを持っている会社があるので、そのシェアに切り込んでいくためにも差別化が重要です。品質だったり、デザインだったり、新しいテクノロジーだったり、いろんなポイントがあると思いますが、そのためにはやはりハイエンドの製品が必要だと考えています。

──シャオミにはコストパフォーマンスの高いミッドレンジモデルを期待する声も多いと思いますが、ミッドレンジについてはどう考えていますか?

ワン氏:今は為替の変動がロジスティックやサプライチェーンに跳ね返ってきていて、価格については非常に難しい状況です。ただこれは長期の問題ではなく、短期もしくは中期に解決される問題だと考えています。いろんな状況が落ち着いてきたら、コスト構造をも改善します。ミットレンジの製品についても、よりアピールできる価格で販売できると思います。

──スマートフォン以外の製品についても、日本での展開をどう考えているか教えてください。

ワン氏:ご存じのように、我々はグローバルでは数多くのラインナップの製品を展開していますが、日本ではもう少していねいにやっていこうと考えています。来年どの製品を出すかといったことは、もちろん現時点ではお話しできないのですが、一斉に出すというやリ方ではなく、もう少し長いスパン、数年かけて徐々に展開していくということを考えています。

──最後に2023年に向けて、ユーザーにメッセージをお願いします。

ワン氏:経済的に不安定な状況はもう少し続くでしょう。特にスマートフォンは開発から市場に出るまでに時間がかかるので、価格が落ち着くまでにはもう少しかかると思います。ですがシャオミには、それを吸収できるだけの力があります。外側からは見えにくいですが、内部の構造改革も常に行っていますので、他社と比較してより良いコストパフォーマンスの製品を提供できる自信があります。

これは日本で初めて記者発表を行ったときにも申し上げたことですが、シャオミは常にユーザーファーストです。「ベストテクノロジーをベストプライスで」という方針は、これからも今後も変わりません。ユーザーの皆様には、来年もぜひ期待していただければと思います。