京都大学(京大)は12月14日、「Covalent Organic Framework」(COF)と呼ばれる材料の設計に対して結合様式を制御することで、その電荷輸送特性および水素発生の効率が大きく向上することを見出したと発表した。

同成果は、京大 分子工学専攻の関修平教授、同・筒井祐介助教のほか、独・ベルリン工科大学、独・ポツダム大学の研究者も参加した国際共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。

太陽光発電などの再生可能エネルギーや、水素エネルギーの利用において、高効率で電荷を輸送できる材料の探索が進められている。数種類の小さな有機分子を“部品”として組み合わせることで巨大な分子を構築するCOFは、電荷を輸送するのに必要なパイ共役電子系を有しているほか、材料中に規則的な空孔を作り込めるため、この多孔性を利用した物質輸送の効率化や電荷の生成効率の向上が期待されている。

しかし、COF材料の探索には組み合わせる有機分子の部品の探索はこれまで数多く行われてきたが、部品同士の接続方法はあまり注目されてこなかったという。そこで研究チームは今回、接続方法に着目して材料設計を行い、電荷輸送特性・水素発生反応の評価を実施することにしたとする。

具体的には、部品となるモノマーとして、ドナー性を有する「トリフェニルアミン骨格(D)」と、アクセプター性を有する「トリフェニルトリアジン骨格(A)」を用いて脱水縮合を行うことで、「イミン結合(-C=N-)」を形成することが可能であり、これらの骨格はアルデヒド基もしくはアミノ基で化学修飾されているが、つなぎ合わせの手法としてこのイミン結合の方向性(-C=N-または-N=C-)を着目し、アルデヒド基とアミノ基を交換したモノマーからCOFを合成。それぞれ結合の順序に応じて「DCNA」、「DNCA」と命名されたという。