日立ジョンソンコントロールズ空調(以下、日立)のエアコンは、かわいらしいキャラクターが印象的な「白くまくん」シリーズ。そんな白くまくんシリーズの2023年最上位モデル「Xシリーズ」、2022年11月29日に栃木県の工場から出荷がスタートしました。

今回は、その出荷式を取材。開催場所は日立の栃木事業所です。白くまくんシリーズの高機能モデルは、すべて日本の工場で作られているのです。ここでは出荷式とあわせて新しい白くまくんXシリーズの特徴を紹介しつつ、Xシリーズの生まれ故郷ともいえる栃木工場の様子をお伝えします。

  • 最上位モデルのXシリーズは、すべて栃木工場で生産されるメイドインジャパン製品。2022年も栃木工場から新製品が出荷されて行きました。出荷式に立ち会う「白くまくん」は2020年から代替わりした8代目の白くまくん

新しい白くまくんの特徴、どれくらい?

白くまくんXシリーズは、以前から清潔性の高さで人気のシリーズ。最近は多くのメーカーが、高機能モデル製品に「熱交換器を結露させ、結露水で熱交換器を洗う」という凍結洗浄機能を搭載しています。

5年前にこの機能をいち早く取り入れたのも日立のXシリーズ。そのほか、他社にはない機能として、室内機だけでなく、室外機の熱交換器も「凍結洗浄」するほか、汚れを落とした水を屋外に流す「ドレンパン」に除菌やヌメリ抑制に効果がある銅を使うなど、エアコン内部を清潔に保つ多くの機能を備えています。

  • 凍結洗浄(室内機)のデモンストレーション

【動画】白く凍結している熱交換器。この霜を溶かすことによって水が流れ、熱交換器の細かなフィンの間に溜まった汚れやカビ菌などを洗い流します。動画後半になると霜が溶け、フィンの間をポタポタと水がしたたり落ちているのがわかります

  • エアコンは室外機にも大きな熱交換器が入っており、この熱交換器が汚れるとエネルギー効率が落ちてしまいます。Xシリーズは室外機の熱交換器も凍結洗浄します。写真は、室外機の熱交換器にびっしり霜が付いているところです

  • こちらは霜が付いていない熱交換器(室外機)。写真は、室外機内部のファンを逆回転させて、大きなホコリやゴミを吹き飛ばすクリーン機能のデモンストレーション

  • 新しいXシリーズでは、本体の前面に大きな「プラズマ換気ユニット」を配置。室内機の本体上部から取り込んだ空気に混じるカビ菌などにプラズマイオンを付着させ、熱交換器で捕集。捕集した汚れやカビ菌は凍結洗浄で屋外へと水で流します

エアコンは、温度や湿度を整えた空気を室内に送り込む家電。そのためエアコン内部が汚れると、部屋の中に汚れた空気を送る心配があります。エアコン内の清潔性を重視したXシリーズは、そんな「エアコン内部の清潔性」を気にするユーザーにヒットし、高機能エアコンとして高いシェアがあります。

  • Xシリーズのもうひとつの特徴が後づけできる「プラス換気ユニット」。室内機の左右どちら側にも取り付けられます

  • 換気ユニットは汚れた空気を吸い込んで室外へと排出。寒い冬でも部屋を冷やさずに空気の入れ換えが可能です

白くまくんはどうやって生まれる? 生産現場を見学

新Xシリーズの出荷式は、栃木県にある日立の栃木事業所で行われました。白くまくんXシリーズは、すべてこの栃木事業所内の工場で製造しています。事業所内には6つの工場がありますが、今回はXシリーズなどを製造している第5工場を見学してきました。

  • 栃木事業所内にある日立ジョンソンコントロールズ空調の工場。栃木事業所内の工場は日立グローバルライフソリューションズと共用で、日立ジョンソンコントロールズ空調は第3工場と第5工場で各種の機器を生産。栃木工場ではXシリーズのほか、エアコンの心臓部ともいえるエアコン用圧縮機なども製造しています

  • 工場内に展示されていた昭和39年製のエアコン。日立のエアコンは昭和27年(1952年)にスタート。栃木工場では70年以上もエアコンを作り続けているのです!

第5工場では、樹脂成形や板金加工、銅管加工といった部品生産エリアのほか、熱交換器生産、室内機・室外機の組み立て、組み立てた製品の商用試験、さらには工場2階にて荷造り梱包作業までを一括して行っています。今回は熱交換器の生産現場と、室外機・室内機の組み立て生産ラインを中心に見学しました。

  • 室外機に圧縮機を取り付ける作業。重い圧縮機や室外機の熱交換器を扱う作業は、ロボットで自動化しています

  • 標準モデルの室外機組み立てライン。熱交換器から出ている管が銀色のアルミ製なのがわかりますか。標準モデルは熱交換器にアルミパイプ、Xシリーズをはじめとした高機能モデルは銅パイプを採用しています。高級モデルと標準モデルでは採用している素材にも違いがあるのです

  • 室外機の商用試験エリア。生産したすべての製品に室温約30℃での冷房能力テストと、室約15℃での温暖房能力試験を行います

工場見学をしていて感じたのが、人の手を使ったラインやセル作業が多いということ。日立の栃木空調本部 製造部 千田浩司氏によると、今回の見学ルートに入っていない樹脂成形など部品生産の多くはロボットで自動化していますが、組み立て作業は人による作業がほとんど。

これは、部品の取り付け方向が一定ではなく、複数の方向から複雑にパーツを組み込む必要があるから。日立は今後もロボット作業を増やしていく予定ですが、今のところ複雑な作業はまだ人間のほうが作業スピードが速いとのこと。また、エアコンは一年を通して一定の生産量ではないため、人の手によるセル生産方式のほうが台数や人員を調整しやすいというメリットもあるそうです。

  • こちらは新製品のプラズマ換気ユニット生産セル。Xシリーズはパーツにいたるまでほぼすべてをこの栃木工場で生産しています

エアコン生産には正確で壊れにくい金型の作成などが重要になりますが、日立ジョンソンコントロールズ空調には高度な知識と技術をもつ「現代の名工」とよばれる人員がいます。

同社は毎年、1年間をかけて若手に技能技術を伝承。技術を伝えられた人員のほとんどは受け継いだ技術を生かして現場で働き、一部の人は技能五輪選手として修行(2年間)を続けるといいます。こうした地道な努力が「メイドインジャパン」の信頼性につながっているんですね。

  • 技術者育成訓練中の風景。この日は金属の研磨訓練を行っていました。技術五輪では、なんと0.01mmレベルの正確な研磨技術が必要になるんだとか。しかも、トップに勝ち上がるには0.001mmレベルの技術が求められます……

  • 2022年の訓練生と指導員の藤田信夫氏(左から2人目)。藤田氏は第24回技能五輪全国大会の抜き型職種で第1位を獲得したまさに「現代の名工」

【動画】多くの人の手を通じて生産されたXシリーズが、白くまくんに見送られて3台のトラックで工場から出荷。いってらっしゃい!
(音声が流れます。ご注意ください)