2022年9月にログリーは、全大会賞金付きeスポーツ大会プラットフォーム「Adictor」のオペレーターとして、バーチャルYouTuber(VTuber)「アディ」を発表しました。

なぜ、eスポーツ大会のプラットフォームでVTuberが必要なのでしょうか。アディを企画したAdictorの藤澤裕人氏とアディさんに、企画の意図や今後の活動などについて話を聞きました。

  • Adictorの藤澤裕人氏とアディさん

――eスポーツプラットフォームでVTuber「アディ」を展開する目的ときっかけを教えてください。

藤澤裕人氏(以下、藤澤):コミュニティや企業がeスポーツイベントを開催するにあたって、MCや実況などにストリーマーを採用するケースが多くなっています。理由は、大会の認知度向上や質の向上。ですが、現状は高額な超有名ストリーマーか、安価で依頼できる知名度の低いストリーマーの二極化が進んでいます。その中間の、“ちょうどいいストリーマー”としてのポジションを補填するためにアディを企画しました。

――イベントの予算や規模に見合うMC・実況を見つけるのが大変なわけですね。

藤澤:はい。Adictorは大会プラットフォームですが、大会運営そのものを企画段階から引き受けることもあります。そこでMC・実況の起用問題に直面しました。有名ストリーマーにしろ、無名ストリーマーにしろ費用対効果が見合わないことが多いんです。有名ストリーマーとなれば、いわばインフルエンサー。ある種の広告塔のような存在ですが、期待通りの成果が得られないことも少なくないんです。一方、安価に依頼できるストリーマーは、そもそもあまり集客力に期待できません。

本当であればストリーマーの集客力や拡散力に対して、料金テーブルみたいなものを作れれば良いのですが、これはAdictorのみが行ってもあまり意味がないと考えています。ほかの大会プラットフォームや動画配信、さらにはストリーマーを抱える事務所などで、足並みをそろえたほうがいいでしょう。なので、まずは自社で実験をする形として、アディを誕生させました。

――Adictorの社員として働くアディであれば、報酬の基準を決められますね。

藤澤:あとはeスポーツで稼げる手段として、別分野も開拓していきたいと考えています。VTuberに限らず、機材関連のスタッフとかですね。クリエイターネットワークを拡大していくうえで、自社の成功例が1つできると、あとはそれをベースに色々な展開ができるのではないかと思っています。

――アディの存在意義と言いますか、役割はわかりましたが、現状、生まれたばかりのアディはまだ集客力や拡散力を持っていないと思います。アディならではの強みはありますか?

藤澤:そうですね、VTuber自体は世の中にたくさんいますし、eスポーツ大会のX-MOMENTでも公式VTuberがデビューしています。そのなかで、アドバンテージとしては、やはりAdictorというプラットフォームがあること。Adictorに提供しているスポンサーは30社くらいなんですけど、みなさんアディに対して好印象ですし、ゼロから始めるケースよりは有利な立場にいると思います。

――すでに稼働はしているんでしょうか。

藤澤:はい。すでにYouTubeではゲーム実況の動画配信を行っています。開始してから1カ月ちょっとくらいですけど、とりあえずチャンネル登録者数1,000人を目指しています。アディ自体がAdictorの活動とは別にVTuberとして独り立ちすることで、集客力や拡散力などの価値が生まれてくると思います。そのうえで、インフルエンサーのネットワークを作って適正な価格、適正なシステムで、VTuberをアサインする仕組みを作りたいと思っています。

――では、しばらくはアディの人気を高めることに注力していくのでしょうか。

藤澤:集客力や拡散力の面ではそうですが、もう1つの目的として、大会のクオリティを上げることには寄与できると思います。司会枠としての起用を考えていいて、ゲーム大会運営に慣れていない企業やコミュニティが大会を開催したときに、アディが司会をすることで、大会のクオリティを上げることは可能だと思っています。

アディの人気を定着させるには、アディ自身のゲーム配信での活動とAdictorの大会の司会の両面で考えています。人によって、Adictorの司会と思う場合もあれば、ゲーム配信のVTuberだと認識している場合もあるという状態になればいいですね。

――ゲーム配信ではどんな活動をしているのでしょうか。

アディ:YouTubeでストリーミング配信と切り抜き動画の投稿です。いまは登録者数が240名(10月18日時点)くらいなんですけど、配信をするたびに数人から十数人の新規登録者が増えています。切り抜きのショート動画から来てくれる人が多い印象です。

ゲーム配信以外には、週に1度、eスポーツニュースを配信しています。その週のeスポーツ関連のニュースやトピックスをまとめた生配信をすることで、大会の参加者だけでなく、eスポーツ関連の企業に勤めてらっしゃる方にも見ていただければと思っています。

eスポーツ関連のニュースやトピックスをまとめた配信も行っています

――視聴者の反応はどうですか。

アディ:ありがたいことに、ファンになってくれている人も増えています。まだ、スパチャやサブスクができる登録者数ではないのですが、リアルなプレゼントを贈ってくれた方もいて、うれしかったですね。

ゲームはまったく上手くないので、下手でも楽しくプレイできるところを配信できればいいなって思っています。初心者とか同じような腕前の人たちが私自身、そして大会に興味を持ってくれるとうれしいです。

――Adictorの大会関連の活動はどうですか。

アディ:大会で司会をしているほか、SNSなどで大会の告知をして参加を促す活動をしています。Adictorでお馴染みの大会「花金杯」で自分の認知度向上も実現できればいいなと。

私の認知度が上がることで、大会の参加者が増えれば、eスポーツ自体が盛り上がってくるかなって思っているので、それを目指したいですね。配信を観てくれた人が、「大会に出たい!」って思ってくれるとうれしいです。

――アディの活動範囲はAdictorと個人配信だけでしょうか。

藤澤:いえ、オファーがあれば、ほかのチャンネルやイベントにも出演していきたいと思っています。Adictorはアディにとってのホームグラウンドみたいなもので、そこから出ていかないわけではありません。同時に、アディとコラボしてくれるストリーマーやVTuberがいましたら、一緒にやっていきたいとも思っています。

――ありがとうございました。

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YouTuberやストリーマー、Instagramerなど、これまでになかった職業の価値とその効果はまだはかりしていないのが現状。直接モノを売る系のストリーマーであれば、それこそ実演販売のように売り上げに直結するものの、広告塔としての価値は未知数です。新しいメディアに人気が移行したり、クライアントに広告の価値がないと判断されたら、一気に終息してしまうでしょう。実際、YouTubeの視聴回数による報酬は一気に下がったことがあります。自ら適正価格を考えるアディは、ストリーマーやインフルエンサーが長期に活動できるための手段となるかもしれません。