ファーウェイのスマートウォッチ「WATCH GT 3」シリーズの最新モデル「WATCH GT 3 Pro」。新たに30mまでのフリーダイビングにも対応するなど、100種類以上のワークアウトモードを搭載するアウトドア利用に強いスマートウォッチです。
登山が趣味の筆者はこのワークアウトモードの「登山モード」に注目。ガチ登山でどれほど使えるかを試してみました。
ロングバッテリーで1泊2日の登山でしっかり使えた
筆者は日々、スマートウォッチで、睡眠や歩数、心拍数などを記録しています。今は「HUAWEI WATCH GT 3」(42mm)を愛用中。WATCH GT 3にも登山モードがあるので、日帰りの登山にも活用しています。
ただ、通常の利用はいいのですが、ワークアウトモードにすると、バッテリーの減りが気になるところ。GPSほか、さまざまな身体データを取っているので当たり前ではあるのですが、奥多摩にハイキングに行った時に、8.75km、5時間44分のワークアウト後に、バッテリーが40%まで減ってしまいました。
今回行く北アルプスの涸沢カールは、登山口となる上高地バスターミナルから約15kmあり、コースタイムが6時間かかります。山小屋に泊まって1泊2日の行程になるので、WATCH GT 3では充電が必須になりそうでした。
長時間の登山では少しでも荷物を軽くするのが鉄則。スマホとスマートウォッチの充電のために、より容量の大きいモバイルバッテリーを持っていくことになると、その分、荷物が重くなってしまいます。
これまで宿泊をともなう登山の時には、登山時計を使っていました。ソーラー充電なので、モバイルバッテリーの容量を気にする必要はありません。2泊3日の白馬岳や3泊4日の立山など、数々の山を一緒に登ってきました。
今回も登山時計を持っていくのが安心なのですが、久しぶりの2,000m級登山なので、しっかり記録を取りたい気持ちがあり、悩んでいたとき編集部からのレビュー依頼がちょうど舞い込み、バッテリー持ちのいい最新のWATCH GT 3 Proを試してみることにしました。
早速、WATCH GT 3 Pro(46mm アクティブ チタンケース フルオロエラストマーベルト)をメーカーから借りて出発。46mmシリーズは通常使用で約2週間のロングバッテリー。たぶん大丈夫だろうと、充電ポートも持っていきませんでした。
結果、丸2日以上、ガッツリ登山したあと、自宅に戻ってもバッテリー残量は28%もありました。そこからあえて充電しなかったところ、翌日、翌々日までそのまま使えました。心配したバッテリー持ちですが、WATCH GT 3 Pro(46mm)なら、1泊2日程度の登山ならしっかり使えそうだと感じました。
登山で便利な機能が充実、気圧/高度/天気予報/日の出時間も
WATCH GT 3 Proには、登山に必要な機能がほぼほぼ揃っています。筆者が登山時計でチェックする気圧や高度、コンパスはもちろん、1時間ごとの天気と気温、日の出・日の入りの時間が分かったのが便利でした。
山は天気が変わりやすいので、現地の1時間ごとの天気予報はとても役立ちました。実際、1日目は昼過ぎから強い雨が降る予報だったので、天気予報をマメに確認しながら先を急ぎました。
日の出・日の入りの時間は、登山で朝日や夕日を良いタイミングで眺めるのに必須。いつもはスマホで検索していましたが、涸沢はドコモの通信が繋がりにくかったので、スマートウォッチでサクッと調べられたのが便利でした。
実際には2日目の朝方まで雨が降っていたので朝日は見られませんでしたが、星を鑑賞する場合は、月の出・月の入りも参考になりそうです。
スマートウォッチだと地図表示が小さいので見づらいという声もありますが、筆者は記録用と考えていたので、今回地図は利用しませんでした。涸沢は人気の山で登山道もしっかり整備されているので、地図を見なくても道に迷う心配がありません。
ただ、WATCH GT 3 Proの屋外ワークアウトには「来たルートを戻る」機能があり、出発地点までのルートをナビゲーションしてくれるので、迷いやすい登山ルートを往復する時に活用すると便利そうです。
登山中の身体データを記録、振り返りにも便利
登山している時には速度やここまでの距離、ワークアウトの時間、今の時間など、知りたい情報がひと目で分かります。インジケーターで運動の強度もわかるので、どの程度の負荷がかかっているのかもわかりました。
ワークアウトを終了すると、登山のデータが確認できます。WATCH GT 3 ProはGPS、GLONASS、Galileo、Beidou、QZSS(みちびき)の5種類の衛生測位システムに対応しているので、正確にルートが記録されていました。
登山データで特に参考になったのは、1kmごとの平均速度。ルートと照らし合わせながら、どの辺りで速度が出ていたのかを確認すると、帰りにお昼ご飯を食べる食堂を目指している時が一番速かったようです(笑)。心拍数の変化などもわかりました。
今回、スマートウォッチで確認してみたいことがありました。それが睡眠中のいびき。山小屋では大部屋で知らない人たちと枕を並べるので、迷惑になっていないか心配だったのです。
睡眠データを見てみると、呼吸の質は98点でした。旅行中、この点数が70点台だった時などは友達にいびきがうるさかったと苦情を言われたこともあったのですが、今回はどうやら静かだったようでした。でも途中6回も起きていたので、よく眠れなかったことがデータからもわかります。
「皮膚温測定」で初めてわかった身体の冷え
WATCH GT 3 Proでは皮膚温測定が行なえるので、汗冷えについても確認したいと思っていました。登山中、汗で身体が冷えてしまうと、エネルギーが奪われ、最悪、低体温症になって動けなくなる可能性もあります。
筆者はとても汗かきなので、吸水性に定評のあるファイントラックというブランドのインナーを着用しているのですが、それでも汗がその上のTシャツなどに影響してしまいます。今回、昼過ぎから雨が降ってきたことで、汗冷えに加えて身体が濡れ、かなり寒さを感じました。
後でデータを見てみると、皮膚温が21.8度まで下がっていました。こんなに下回ったのはWATCH GT 3 Proを使ってみて初のこと。山小屋に到着後、すぐに着替えて回復しましたが、もう少し長く身体が冷えている状態が続いたら、ひょっとすると危険だったかもしれません。汗冷え対策をもっと強化する必要があると感じました。
今回、WATCH GT 3 Proの登山モードを使って1泊2日の登山を記録してみましたが、データからいろいろなことが見えてきました。嬉しかったのは、休憩を除くと、ほぼ標準のコースタイムに近い速度で歩けていたこと。少し自信が付きました。
最初、46mmサイズのウォッチは大き過ぎるかなと思いましたが、それほど腕に負担にならず、大きい画面が見やすかったです。登山中、木や岩に本体が触れるヒヤリハットもありましたが、チタンケースとサファイヤガラスは傷つかず、ホッとしたことも。また、改めてになりますが、長時間持つバッテリーの安心感は大きかったです。
来年も北アルプスに行く予定なので、それに向けてWATCH GT 3 Proを購入するかどうか検討しようと思います。