応募殺到、ラッキーな20組40名の親子ペアが参加

島根県出雲市を拠点とする島根富士通にて、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の親子向け恒例イベント「第15回富士通FMVパソコン組み立て教室」が開催されました。組み立てるPCは、13.3型モバイルノートPC「FMV LIFEBOOK WU2/F3(WEB MART限定モデル)」。マイナビニュース編集部やFCCLの大隈社長も組み立てに参加しました。

  • 2022年夏の「第15回富士通FMVパソコン組み立て教室」

毎年夏に開催されていた島根富士通のPC組み立て教室は、2021年と2020年はコロナ禍の影響で中止され、3年ぶりに帰ってきました。参加したのは20組40名の親子です(小学校5年生~中学校3年生とその保護者)。今回はノートPCの組み立て体験のあと、工場見学もありました。

  • 島根富士通の外観。右側のタワーには「製造不良“ゼロ”への挑戦」と書かれています

組み立てて完成したノートPCは、島根富士通でチェックしたあと参加者に送られます。参加費用はノートPC代と送料を含めて89,800円でした。かなり割安に入手できるのも、この手のイベントの良いところです。

会場には参加者の1組ごとに1台の作業台を用意。作業台には案内用としてFCCLのタブレットPC「FMV LOOX」が置かれ、さらに工具やネジ、小物パーツが並びます。

  • 組み立てるのはこのノートPC。「FMV LIFEBOOK WU2/F3」です。CPUにIntel Core i3-1115G4を搭載し、メモリーは4GB、SSDは128GB、ディスプレイは13.3型ワイドフルHDというモデルです

  • 会場の作業台には「マイナビ」のネームプレートも。緊張します!

  • 作業台の上に置かれているタブレットは「FMV LOOX」。会場にはFMV LIFEBOOK UHやLOOXの展示もありました。LOOXはキーボードが取り外せて、背面にスタンドがあって独立して立てられます

まずはエプロンと手袋を身に着けます。黄色いエプロンは保護者用、子どもは白いエプロンです。このエプロンは今回のために特別に用意したスタッフの手作りとのこと。

  • 準備万端、マイナビニュース・デジタルの林編集長。エプロンと手袋を装着して、「このエプロンいいなあ」と3回くらい言ってました

  • 静電気対策として、アースバンドを利き手とは反対の手首に。腕時計や指輪は外します

AGVが組み立てパーツを運ぶ

FCCLの大隈健史 代表取締役社長 CEOは開会の挨拶。富士通FMVシリーズは年間300万台を生産していますが、そのほとんどはこの出雲市(島根富士通)で作られていると紹介。今回のパソコン組み立て教室を通じて「日本のモノづくりを知り、自分で組み立てたパソコンをしっかり使って、いずれはFMVのファンになってもらえたらうれしいです」と語りました。

  • 開会の挨拶をするFCCLの大隈社長

  • 会場の様子。会場後方に目を向けると、多くのスタッフがヘルパーとして参加していることが分かります

目玉のひとつが、AGV(無人搬送車)です。メインボードや液晶ディスプレイといった大型のパーツは黒いボックスに入れられ、龍(石見神楽)の装飾を施されたAGVが会場前方に運んできます。

島根富士通の工場では、約30台のAGVが縦横無尽に走り回っており、エレベーターも自動で乗るとのこと。AGVの自動運転は法律で厳格に決まっていて、エレベーターに自動で乗るのは厳しい安全基準を満たさないと許可されないそうです。

  • この光景を見て、AGVには龍の装飾が施されていると誤解する子が出ないかと余計な心配をしてしまいました

  • AGVで配られた黒い箱の中にはメインボードや液晶、バッテリーなど大型のパーツが入っており、手順に従って工程ごとに1つずつ取り出します

  • 工程ごとに使うネジをケースに出していくことで、いろんな種類のネジが混ざったり、締めていない場所が残ったりするのを防ぎます

第1工程:メインボードの取り付け

「FMV LIFEBOOK WU2/F3」の製造ラインは、13分間の組み立て時間で222点の部品を組み立てて完成させています。今回の組み立て教室では、あらかじめいくつかのパーツは完成していて、部品点数は43点でした。90分間(+休憩10分間)で組み立てます。

第1工程は「メインボードの取り付け」です。黒い箱からCカバーとメインボードを取り出し、両者の向きをそろえてドライバーで取り付けます。作業台上のLOOXに手順が表示されます。

  • うまくできないときは画面右上の「応援」ボタンをタップすると、ヘルプのスタッフが飛んできて助けてくれます。このシステムは今回初めての導入です

  • 作業工程ごとに参加者が「応援」ボタンや「完了」ボタンをタップすることで、どの席がどんな状態か画面に表示されてすぐに分かるようになっています。応援スタッフはこの画面を見て迅速に席へ駆け付けます

  • これがメインボード。メインボードの表面にはできるだけ触れないように注意して取り扱います

  • メインボードの取り付け位置が画面に表示されます

  • 取り付け手順はネジを締める順番までていねいに解説。ひとつひとつの工程で作業の実演動画が再生されるので、それを見れば迷うところもそうそうありません

  • 親子で楽しんでいる様子が伝わってきます。パズル感覚で、どこだ? ここか? こっちじゃない? なんて声が聞こえてきます

  • うまくできないときは「応援」をタップすることで応援スタッフが駆け付けます。ヘルプで多かったのは「位置や向きが分からない」「これで本当に合ってる? ちゃんとできたか不安」「こんなに力を入れて大丈夫? 壊れない?」といったもの

  • LOOXの画面を見ながら真剣に作業

  • メインボードのネジ止めが完了。不思議なもので、ちゃんと指示通りにやったはずでも「これであっているのかしら?」となんだか不安になります

第2工程~第3工程:ケーブル接続は侮るなかれ

第2工程は「フラットケーブルの接続」、第3工程は「スピーカーケーブルの接続」です。フラットケーブルといっても小学生には難しい言葉。「このケーブルのことだよ」と、いかに上手に教えるかが重要に感じました。

  • フラットケーブルをコネクタに差し込んだあと、抜けないようにフタで閉じる工程が小さくてやりにくい!

  • 楽しそうに組み立てる大隈社長の後ろ姿。余裕しゃくしゃくです。鼻歌が聞こえてきそうなひょうひょうとしたペースで取り組んでいます

  • 一方、マイナビチームは……。「見えん」とつぶやく林編集長。何がつらいって、若さ不足で細かいところが見えないこと(目の衰え)。ネジ穴など目をつぶって指で触ったほうが分かるくらいなんですよ

  • たとえば第3工程のスピーカーケーブルを挿すこの作業

  • PCをしょっちゅう自作していたころに比べると、各パーツやコネクタはかなり小さくなっています。自分の指が邪魔で入らん! この指なんとかしたい!

第4工程~第8工程:ノートPCらしい姿になっていく

第4工程は「キーボードの接続」、第5工程は「フレキケーブルの接続」、第6工程は「リチウム電池の接続」、第7工程は「液晶パネルの取り付け」、第8工程は「液晶パネルのケーブル接続」と続きます。フレキケーブルは、フレキシブルフラットケーブルの略で配線材のこと。フレキと呼ぶこともあります。

  • キーボードフレキは、中央の白い平たいケーブルです。これをつないだあと、2本のフレキケーブルを接続。キーボードフレキの右で宙ぶらりんになっている先の青い細いケーブルと、その右の画面外にある折れ曲がっている黄色い短いケーブルがそれです。ここではケーブルの表裏に注意。この2つの工程は意外と簡単でした

  • リチウム電池の接続。赤い線が左側になる向きでスキ間ができないように接続します。間違えたらきっと爆発するに違いないと、無邪気な気分でムダにドキドキしながらチャレンジ。モノづくりは想像力が重要なのです

  • 液晶パネルの取り付け。カバーで覆われた液晶パネルを黒い箱から取り出し、ヒンジをはさむようにしてネジを締めます。ノートPCらしくなってきましたね

  • 真剣な表情で液晶パネルを取り付けています

  • 液晶ケーブルの接続。集中力が発揮される場面。ケーブルが少し固くて、力を入れて良いのか不安になりながらの作業でした

  • 液晶ケーブルを取り付けたところ。針金のレバーで押さえているのが分かるでしょうか。端子の表裏に気を付けながら、レバーを持ってスライドして接続し、スキ間ができないようにレバーを倒してロックします。慣れれば簡単と言われても、困惑するくらい細かい作業です

第9工程~第12工程:いよいよ最後のネジ!

第9工程は「アンテナケーブルの整線」、第10工程は「SSDの取り付け」、第11工程は「バッテリーの取り付け」、第12工程は「Dカバーの取り付け」となります。

  • アンテナケーブルの整線(ケーブルをまとめる作業)にて、おや~、ここまで順調だった大隈社長がスタッフの「応援」を呼んだため、しっかり激写。人に厳しく自分に甘いマイナビチーム。油断も隙もありません

  • 取り付けるSSDを手のひらに。いまどきノートのSSDってこんなに小さいのかと改めて驚きます

  • バッテリーの取り付けでは、両手を使ってドライバーを真っ直ぐ立てて、きれいに慎重にはめていきます

  • 「ここかな?」「あってる?」親子で相談しながら組み立てていく様子が微笑ましいですね

  • 黒い箱からDカバーを取り出します。もうすぐ完成です

  • 「こっちのドライバーのほうがいいんじゃない?」「大丈夫だよ、ちゃんとできるよ」なんて会話が

  • Dカバーの取り付けはネジの数が多いため、親子で手分けして取り付けているところも

  • Dカバーをネジ止めしたあと、ゴム足もネジ止め。これでネジ締めはおしまい!

カウントダウンで電源オン

今回はあらかじめOSの起動画面に、受付時に撮影した自画像が表示されるというギミックになっていました。みんなでカウントダウンして一斉に電源オン! 我らがマイナビマシンは無事に起動したのか!?

  • 電源ケーブルを挿して、あとは電源を入れるだけ

  • カウントダウンの音頭を取る、島根富士通の神門明社長

  • 参加者全員のPCが無事に起動しました。大隈社長も無事に完成。重責に堪えた社長の笑顔がまぶしい!

  • どうじゃー! マイナビマシンも完成して、起動画面がしっかり表示されました

FCCLの大隈社長と島根富士通の神門社長に聞く

今日のパソコン組み立て教室を振り返って、大隈社長と神門社長がインタビューに応じてくれました。

―― 3年ぶりのパソコン組み立て教室はいかがでしたか?

神門氏:久しぶりで忘れていることもあって、我々、迎える側のスタッフのほうが参加者より緊張していたかもしれません。今回、会場や日程の都合から抽選で20組40名にするしかありませんでしたが、全国から組み立てを希望する熱烈なファンレターを頂戴しました。本当にありがたく思います。

―― 今回はFMV LIFEBOOK UHの組み立てでしたが、機種選定になにか狙いはありましたか?

神門氏:深い狙いはありませんが、いまは軽くて丈夫なノートPCのLIFEBOOK Uシリーズを全面的におしていることや、軽くて持ち運びやすく、子どもでも使いやすいことを考慮して選びました。

大隈氏先ほど保護者のコメントを少し聞きましたが、自分で作ったノートPCを子ども用として使わせてあげられることを評価していました。家にはデスクトップPCや15インチくらいのノートPCというご家庭が多く、子どもと共有する場合もそうしたマシンになります。「マイファーストPC」を自分が作って自分のPCとして持つというのは、体験としてとても良いことだと思っていただけていると感じました。

  • インタビューに応じてくれた大隈社長と神門社長。今日は一日ありがとうございます!

―― 大隈社長、実際に作られていかがでしたか?

大隈氏ひとつひとつの作業はそれほど難しくはないのですが、現場ではあれを何倍もの速さで検品までやって、ミスなく作り上げなければならないのですから、やっぱり匠の技なのだなと再認識しました。

【動画】大隈社長の組み立ての様子をタイムラプスで! 楽しそうでしょう?

―― 参加者の様子をどのように感じましたか?

大隈氏(マスクをずっと付けていることもあって)黙々と作業しているようにも見えましたが、皆さん真剣な表情ですごく集中しながら作業していて楽しそうでしたね。モノづくりに触れる機会というのは、普段の生活シーンにはなかなかありません。パソコンのような身近なものが、どんな風に作られているのか、身をもって体験できるのは良い思い出になったのではないでしょうか。

―― 来年(2023年)に向けて意気込みをください。

神門氏:モノづくりの楽しさは、実際にやってみないと分かりません。来年(2023年)も、パソコンを組み立てる楽しさを伝えていきたいです。

大隈氏国内製造は、国内での企画や開発と密接につながっています。開発の時点で作り方を意識しますし、作っている現場からのフィードバックもあり、そのループがうまくまわっているのが、FCCLと島根富士通の特長だと思っています。参加者にはその一端を見てもらい、その価値を感じてもらえたらうれしく思います。

島根富士通のエントランスには、PCの生産工場らしい、歴代のマイルストーンとなった機種や、PCの中身が見られるさまざまな展示も。これらを見学できるのも魅力です。

  • スケルトンモデルやメインボードの切り出し前など、興味深い展示がたくさん

  • ノートPCの時代ごとの最小パーツを並べたもの。いかに小型化してきたかが分かる展示です。1980年代のパーツと2019年以降のパーツでは、体積比が15.6倍も異なります

  • 記念モデルもたくさん。これは出荷台数1,000万台を記念して特別に制作した1,000万号機です

  • フローティングヒンジ構造や、黒い本体に黒い刻印が渋いフルブラックモデル

  • 4,000万号機は島根県ふるさと伝統工芸品に指定されている八雲塗を施しています。天板デザインは、日本の夕日百選に登録されている宍道湖の夕日です