口にした言葉をその場で書き起こす「口述筆記」。かつては障がいがある人の筆記・執筆を助けるための手段として、言葉を聞いた人が手書きやキー入力で文字起こし/テキスト化する作業をいいましたが、音声認識機能(Speech to Text)の進化により、PCやスマートフォンがその役割を果たすようになりました。
iPhoneの音声認識機能も、iOSのバージョンアップにあわせ進化しています。かつては誤認識が目立ったものの、iOS 15までには認識精度の向上により、かなり実用的なレベルに到達しています。iOS 16ではそれが日本語対応を含め進化・改良され、実用性がさらに増しています。
最大の進化点は、音声入力とキー入力を並行して進められるようになったことです。従来は音声入力とキー入力のモード切り替えが必須で、誤認識されたときはキー入力に切り替えたうえで修正処理を行わなければなりませんでしたが、iOS 16ではA12 Bionic以降を搭載したモデル(iPhone XS/XS Max/XR以降)では音声入力時もキーボードが表示されたまま、モード切り替えなしにそのまま修正処理を開始できます。
句読点や疑問符の自動認識も可能になりました。従来は「さて、頑張ろう」と話すと、読点なしに「さて頑張ろう」でしたが、iOS 16では「さて、頑張ろう。」と読点・句点が適所に挿入されます。「今日のごはんは何だろう?」と疑問形の場合には、末尾に疑問符が付きます。文脈次第、話しかた次第の部分はあるものの、「てん」や「まる」、「はてな」などと口にする場面は少なくなりました。
さらに、絵文字も音声入力に対応しています。「泣き顔の絵文字」や「猫の絵文字」などとiPhoneに話しかければ、適した絵文字がカーソル位置に挿入されます。キー入力が苦手な人も、これで絵文字が使いやすくなるかもしれませんね。