見逃せないのがバッテリー駆動時間です。最大160分の長時間撮影に対応するほか、バッテリーの持ちが短くなりがちな低温の状況(-20度)でも最長150分の撮影が可能とのことですが、実際、動画や静止画を撮りながらの1日でも、意外にバッテリーが持続するという印象。

合間に撮影するぐらいならばバッテリー1個でも十分でしょうし、2個あれば積極的に撮影していても1日は持ちそうな印象でした。「Osmo Action 3 アドベンチャーコンボ」(実売価格は66,000円)ならバッテリーが3個付属し、さらに3個のバッテリーを同時に充電できる多機能バッテリーケースも付属します。このバッテリーケースはUSB PDに対応するので、80%まで18分で充電できるとしています。PD対応のモバイルバッテリーを併用すれば、まず充電には困らなそうです。

Adventure Comboには1.5mの自撮り棒(延長ロッド)やマグネットマウントが2つも付属しており、やや高価とはいえ便利に使えそうです。

  • 手に持っているのが延長ロッド。筆者の身長は170cm

  • このように伸ばして撮影できるので、ドローン的な映像も簡単に撮れます

地上と水中撮影が切り替わる際などにホワイトバランスと露出を補正する色温度センサーや、3つのステレオマイクも備えるので、安定した撮影と高音質録音が可能なようです。水中撮影は今回実施していませんが、音に関しては前後の音もまんべんなく取得してくれて良好な印象でした。

  • 「ACTION 3」のロゴにある左右の穴は前面マイク、「O」にあるのは色温度センサー

高度な手ブレ補正と高画質に満足

カメラのセンサーは1/1.7型。スマートフォンでいえばXperia 1シリーズが1/1.7型センサーを搭載していますが、比較的大きめなので、ダイナミックレンジや低ノイズが期待できます。ただ、画像処理の問題か、ノイズは比較的多めという印象です。

  • 描写は自然な写りで、スマートフォンのような派手さはなく、見た目通り

  • ゆがみ補正もあるので、極端にゆがんだ映像にはなりません

  • 広がりがあってインパクトのある写真が撮れます

撮影解像度は、動画で4K・30fpsだけでなく、60fps、120fpsでの撮影も可能。高画質なハイスピード動画が撮影できるのはうれしいところです。1080pなら240fpsまでサポートします。

レンズは単焦点ですが、デジタルズームは静止画で4倍まで、動画は手ブレ補正の有無とフレームレートで変わりますが、2~4倍まで切り替えられます。レンズの画角は標準(ゆがみ補正)、広角、超広角の3段階から調節可能です。

撮影モードは最小限で、静止画、動画、スローモーション、ハイパーラプス。モード切り替えは画面スワイプのほか、側面の電源ボタン単押しでも入り替わります。ハイパーラプスの中にタイムラプスがあったり、動画の中にループ撮影設定があったり、他社のアクションカメラに存在する機能の一部は各撮影モード内あります。夜景モードのような機能はないようで、暗所撮影は弱めでしょうか。

  • 作例

  • 作例

  • 暗所撮影の作例

画質は、十分な光源下であればスマホカメラと遜色ないレベル。超広角の広々とした写真が撮影できます。デジタルズームの画質はそこそこなのであまり期待しない方がいいでしょう。動画に関しては問題を感じない、さすがの画質です。

手ブレ補正の能力はスマホカメラ以上ですし、タフネス性能と超広角という特徴はアクションカメラならでは。Action 3はそれに加え、縦動画の撮影を重視したUI設計と、マグネットを使った使いやすさが特徴です。

もちろん、スマートフォン経由の操作にも対応します。画面が比較的大きく単体でも使いやすいAction 3ですが、スマートフォンアプリ「DJI Mimo」アプリの操作は快適。ただ、一部縦横が混在してしまうUIなので、逆に本体の方が縦持ちのUIは徹底している印象です。ただ、これはそのうちアプリのアップデートで解消するでしょう。

DJI Mimoの問題としては、Android版はGoogle Playからインストールできないことが挙げられます。検索しても発見できず、指定のURLからダウンロードしてインストールすることになります。iOS版はApp Storeからインストールできるため、本来ならばGoogle Playからダウンロードできるようにするべきです。

  • DJI MimoのAndroid版。右は撮影時のUI。微妙に縦横のUIが混在しています

アプリの機能としては、よくあるカメラコントロールや編集機能を搭載したアプリで、いたって普通に使えるよくできたアプリです。特徴的な機能としては「InvisiStick」があります。これは、動画内に写り込んだ自撮り棒を消してくれる機能ですが、ローカルではなくクラウド処理によって編集しています。

  • InvisiStickでは、まずアップロードをします。クラウド上で補正して、そのデータがダウンロードされます。それなりに時間がかかります

  • 大元の延長ロッドが見える動画。こちらはロッドが消えています。ただし、完全に消えているわけではなく、持ち方ももう少し工夫しないとダメそうです

動画の時間にもよりますが、アップロード、クラウド編集、ダウンロードと続くため、結構な時間がかかります。ロッドは完全に消えるわけではないのですが、なかなか自然な形で消してくれますので、撮影方法を工夫すれば「ドローンで撮ったような空撮映像」風の映像は撮影できそうです。

全般的に、Action 3は完成度の高さと操作性の高さ、そして使い勝手の良さが光ると感じます。マグネットマウントだけでも十分購入価値があると感じますが、アクションカメラとしての充実した機能に加え、マグネットによるマウントのしやすさ、縦動画の撮影のしやすさ、バッテリー駆動時間の長さなど、ライバルに負けず劣らずの製品に仕上がっています。