警察庁は、110番の通報者がスマートフォンやタブレットから事件・事故などの現場の映像を送れる「110番映像通報システム」の試行運用を、全国の警察で10月1日からスタートする。テスト期間を経て、2023年4月から本運用する予定だ。

  • 110番映像通報システムの使用方法イメージ(出典:警察庁の広報資料より)

警察官が現場に到着する前に、視覚的に状況を把握することで、110番通報に迅速かつ的確に対応できるようにすることを目指す。運用にあたり、通報者の安全確保等に十分配意するとしている。

試行運用では、情報セキュリティの確保を踏まえ、以下の流れでシステムを活用する。

  • 110番映像通報システムで110番通報を受理すると、通信指令室の担当者が通報内容に応じて、通報者に対して映像等の送信が可能かどうかを確認
  • 通報者が同意した場合、通報者のスマートフォンなどにショートメッセージ(SMS)でワンタイムURLを発行・送信
  • 通報者がワンタイムURLから同システムにアクセスし、担当者から口頭で伝えられるアクセスコードを入力してログイン
  • 通報者のスマホなどのカメラ機能が起動。リアルタイムで映像などを撮影して送れるほか、既に保有している映像なども送信できる
  • 通信指令室で受信した映像等は、現場に臨場する警察官に送信。初動警察活動に活用する。県境の事案等については、他県警察の通信指令室へも送信可能

通報者に対しては、システムにアクセスしたときに、映像の撮影・送信に関する留意事項を画面に表示。送信する映像等に係る著作権の放棄や、GPS機能を用いた通報者の位置情報取得のほか、第三者のプライバシーを不当に侵害しないこと、データ送信時の通信料金は通報者の負担となることへ同意する必要があるという。

なお、システムを通して受理した映像は自動で保存されるが、原則として取得日の翌日から起算して7日間が経過した後は自動消去するという。警察庁では、半年間の試行運用中に、通報者の利便性向上などの改善点があれば、都度改善を図るとしている。